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モーター スポーツ コラム 2020年9月25日

2020SF第2戦プレビュー|今回はタイヤ交換義務“あり”、その他も色々と変わります!

モータースポーツコラム by 吉田 知弘
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開幕戦を制した平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)

2020年の全日本スーパーフォーミュラ選手権は新型コロナウイルスの影響で、年間スケジュールが大幅に変更され、当初予定していたドライバー全員が揃わないなど困難な状況が続いている。その中で8月末に行なわれた開幕戦では平川亮(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)がポール・トゥ・ウィンを果たし、タイトル獲得に向け幸先の良いスタートを切った。

舞台を岡山国際サーキットに移して行なわれる第2戦だが、前回と比べていくつかの変更点がある。

まずは大きな変更点となるのが、レース中のタイヤ交換義務が今回は追加されることだ。

開幕戦のもてぎではサーキットに多くの関係者が集まる時間をなるべく低減するために、予選・決勝を同日開催とし、決勝レースの距離を短縮。さらに給油も禁止するなどのルール変更も行なわれた。

これにより開幕戦のトップ争いはピットストップを行なうことなくスタートからゴールまで走り続け、結果的に順位変動の少ないレースとなってしまったのだが、開幕戦に関しては新型コロナウイルス感染防止対策と政府や日本自動車連盟(JAF)が打ち出していたイベント開催に関する指針に沿って、可能な限り開催規模を縮小することに重点を置いた、ある意味“コロナ対策における緊急的な対応”の中で採用されたレースフォーマットでもあった。

ただ、9月中旬に政府がイベント人数規制の制限緩和を発表したのを受けて、本来のレースフォーマットに戻すべくスーパーフォーミュラも動き出している。その第1段階として今回導入されるのがタイヤ交換義務の追加だ。

タイヤ交換義務が追加となったことで、チーム戦略は開幕戦から大きく変わってくるであろう。

具体的なルールとしては10周目以降でタイヤ交換が可能となり、先頭車両が最終ラップに入るまでに最低1度のタイヤ交換を行なわなければならない。なお、レース距離も開幕戦より少し伸びて51周(188.853km)で争われる。

過去にもピットストップでの逆転劇が見られた岡山国際サーキットでのレース。今回は、このルール変更がどのようなドラマを生むことになるのか。目が離せない。

その他にも開幕戦と異なっているのが、1レースで供給される新品タイヤのセット数だ。開幕戦では3セットが全車に供給されたが、この岡山大会では4セットに変更となった。これにより次戦に向けた持ち越し用タイヤの用意やフリー走行でのタイムアタックシミュレーションで使うタイヤのことを考えると余裕が出てくるため、開幕戦とは異なる勢力図になる可能性も出てきそうだ。

さらにオーバーテイクシステム(OTS)についても新たな試みが導入される。基本的な運用方法は開幕戦と変わらず決勝レースで1台あたり最大100秒間の使用が許されているが、一度使うと次回までに100秒間の使用制限がかかる。OTS作動時はコックピット上部のLEDランプに加えてリアコーションランプも連動して点滅するため、後ろにいる車両も相手の使用状況が分かる仕組みになっている。

今回変更となるのはOTS作動時の表示“タイミング”だ。開幕戦までは使用したのと同時に点滅が始まったのだが、今週末のレースでは作動から8秒後に点滅が開始されることになる。

シリーズを運営する日本レースプロモーション(JRP)によると、岡山国際サーキットの最終コーナー手前で作動させた場合、メインストレートの中間部分でランプの点滅が開始されという計算になるとのこと。これでOTSを使用していることが8秒間だけ相手に知られないため、接近戦のバトルの際にはこれまでとは違った駆け引きが見られるだろう。

テクニカルな岡山ではOTSの使用タイミングなど相手との駆け引きも重要な作戦となる。

そして、第2戦岡山でも新型コロナウイルスによる来日規制や帰国・入国後の待機期間の関係で参戦できないドライバーが続出している。前回の開幕戦では中嶋一貴、小林可夢偉、山下健太に関しては帰国後14日間が経っていない状態だったが、サーキット内に専用の待機場所を設け、表彰式への登壇も控えるなど、関係者との接触機会を最大限に減らして「自主待機」と同じような環境を整えたことで、彼らの参戦が可能となった。

しかし、今回の彼らは前週のル・マン24時間レースから帰国後わずか4日しか経過していないため、現場での行動管理の対応をしても条件を満たしているとは認められないという判断が下った。これにより上記の3人に加えて同じくル・マン24時間に参戦したタチアナ・カルデロンも第2戦岡山への参加は叶わないこととなった。

ThreeBond Drago CORSEはタチアナ・カルデロンに代わって塚越広大を起用。塚越はSUPER GTで今季2勝と波に乗っており、チームに良い影響をもたらしそうだ。

また、開幕戦と同様にユーリ・ビップス、セルジオ・セッテカマラ、シャルル・ミレッシについては来日できるビザの発給に関する目処が現時点でも立っていない模様。JRPは引き続き関係省庁に働きかけをし、第3戦以降の参戦実現に向けて尽力していくとのことだ。

全国的に少しずつ規制緩和の動きが見られており、スーパーフォーミュラでも本来のレースフォーマットに戻していこうという動きが見られている。しかし、コロナ禍の影響が色濃く出ており、現場もバタバタの状態が続いているが、今週末はそういったネガティブな話題を一掃してくれるような、手に汗握るバトルを期待したい。

文:吉田 知弘

吉田 知弘

吉田 知弘

幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ

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