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モーター スポーツ コラム 2020年9月24日

TOYOTA GAZOO Racingの3連覇も、やはりいつもと違ったル・マン24時間

モータースポーツコラム by J SPORTS 編集部
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ル・マン24時間レース

いつもであれば、世界中から集まったファンが埋め尽くし、お気に入りのメーカーや自国の旗を振り、その前を轟音を立てスタートしていく。ル・マン24時間は、それが毎年の光景だった。しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、前代未聞の無観客で開催された今年のル・マンは、ガランとしたスタンドの前からその熱戦の火ぶたが切られた。日本でもSUPER GTが第4戦まで無観客で開催され、“ファンの力”を大いに感じさせることになったが、2020年は改めてそれを感じさせた。

この新型コロナウイルスの影響は、観客の有無だけではない。例年の6月開催とは異なる9月開催であったことから夜間走行が長く、これが関連したか、リタイアしたマシンは昨年よりも多かった。加えて、コロナ禍のなかで少なからぬチームのオペレーションにも影響があったという報告もあった。

そんな2020年のル・マン24時間は、結果的に「TOYOTA GAZOO Racingとしてレースに勝つことがすべてだった(中嶋一貴)」というセバスチャン・ブエミ/中嶋一貴/ブレンドン・ハートレー組8号車TOYOTA TS050 HYBRIDが制し、TOYOTA GAZOO Racing、ブエミ、一貴は3連覇という偉業を達成することになった。

8号車はレース序盤にパンクやブレーキダクトのトラブルに見舞われていたにも関わらず、その他はまったくのノーミスで速さをみせたレベリオン勢を最後まで寄せつけなかった。ドライバー3人の走り、さらにチームもノーミス。村田久武TOYOTA GAZOO Racing WECチーム代表も「チーム全員が、素晴らしい仕事をしてくれました」と胸を張った。いまやその安定感は、黄金期のアウディやポルシェのような勝ちっぷりだった。

ちなみに蛇足だが、レース後TOYOTA GAZOO Racingはル・マン24時間3連覇を報告するテレビCFを流している。筆者も拝見させていただいたが、これまでのル・マン挑戦史を踏まえた秀逸なものだった。ぜひ今後も続けて欲しい取り組みだ。

一方で、ここ2年間勝利の可能性を感じさせていた僚友のマイク・コンウェイ/小林可夢偉/ホセ・マリア・ロペス組7号車は、3年続けてトラブルに泣くことになった。12時間までは快調に走り、トップの座を守っていたが、ターボトラブルに見舞われてしまうことに。「3位という結果は我々が望んでいたものでも、予想していたものでもありません」と小林可夢偉も悔しがった。「今回のトラブルは初めてのこと」というだけに、ここにもコロナの影響があったのかもしれない。

TOYOTA GAZOO Racing 8号車

今回は総合優勝をTOYOTA GAZOO Racingの8号車が飾り、TOYOTA、そして日本にとって忘れられないル・マンとなったが、可夢偉組7号車を含め、その他の日本勢にとってはリスクをとっての参戦だったにも関わらず、運には恵まれないレースとなった。

ハイクラス・レーシング

LMP2クラスではハイクラス・レーシングから参戦した山下健太がスタート直後にレースを大いに沸かせたが、トラブルによりリタイア。同じくLMP2にユーラシア・モータースポーツから参戦した山中信哉も初参戦ならではの苦労を強いられた。

MR-RACING/CARGUY-RACING 70号車フェラーリ488 GTE

また、LM-GTE Amクラスに参戦したMR RACING/CARGUY RACINGの木村武史/ケイ・コッツォリーノも、2年目で大いに自信を深める走りをみせていたものの、トラブルで悔しいリタイアとなった。ただ、彼らが得たものは結果以上のものがあったであろうことはコメントの端々から伝わってくる。2021年のル・マンへ向け、ジャパンパワーのさらなる躍進に期待を高める年となった。

ル・マン24時間レース

筆者も含め、今季は日本からのメディアもスタッフも多くが現地に行くことができず、距離を感じながらル・マンを見届けることになった。「何かが違う」という印象を感じながらのレースとなったのは、きっと表彰台に立ったドライバーたちも感じたはずだ。来季ふたたび、日常と、そして新たなレギュレーション、新世代のマシンとともに6月のレースが楽しめることを願わずにはいられない、2020年のル・マンだった。

J SPORTS編集部

J SPORTS 編集部

 

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