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富士24時間プレビューコラム
2018年から始まり、今では日本のモータースポーツシーズンの風物詩となりつつあるスーパー耐久富士24時間レース。今年は新型コロナウイルスの影響で開催スケジュールが大幅に代わり、9月4日~6日というスケジュールでシリーズ開幕戦として開催されるのだが、開催3回目となる今回は各チームともトップレースで実績のあるドライバーを起用し、“超本気モード”の雰囲気が早くも漂っている。
2020シーズンも全8クラスで争われるスーパー耐久。新型コロナウイルスの影響もあり今季の参戦を取りやめるチームもいくつかあったが、開幕戦の富士24時間には45台が集結した。
開催初年度は各チームとも手探りという印象が強かった24時間レースだが、2回目の開催となった昨年は各チームとも万一に備えてパーツどり用の車両やドライバー・スタッフの休憩スペースを充実させるなど“24時間レース対策”を整えつつある様子だった。
今年もパドックを一瞥すると、パーツ取り車が散見されるほか、ピット内にいくつもモニターを並べて各コーナーやライバルの状況を逐一チェックできるように準備を整えているチームも多く見られた。昨年にも増して本格的に色々なものを準備したいところではあるが、今年は新型コロナウイルス感染防止対策も徹底しなければいけないため、マスクの着用や三密対策の対応に追われているという様子も見られた。
そんな中、2020年の富士24時間レースで注目を集めているのが“参戦ドライバーたちの豪華さ”だ。昨年と同様に普段はSUPER GTに参戦しているトップドライバーが富士24時間レースのみ助っ人としてスポット参戦するケースが増えている。
昨年連覇を果たしたGTNET MOTORSPORTS。今大会は星野一樹、平峰一貴、藤波清斗、坂口夏月、大八木信行、大八木 龍一郎という豪華メンバーを揃え3連覇を狙う。※写真は第1回大会2018年
最高峰のST-Xクラスでは富士24時間3連覇を目指すGTNET MOTORSPORTSが、かつて全日本GT選手権などで活躍したTeam DAISHINとコラボ。星野一樹を始め現役SUPER GTドライバー4人を起用し今年の24時間レースに臨む。開幕前の専有走行でもトップタイムを記録するなど順調な仕上がりを見せており、今年も総合優勝の本命になることは間違いなさそうだ。
富士24時間初挑戦となる松田次生。SUPER GT第3戦では約2年振りとなる優勝を遂げた。松田が参戦するMP Racingは影山正美なども擁し、念願のチャンピオン獲得を狙う。
この他にもトピックスとなっているのが2度のGT500チャンピオン経験を持つ松田次生の富士24時間初挑戦だ。最近はSUPER GT以外のレースにも挑戦している松田が、今回はNo.9 MP Racing GT-Rの助っ人としてエントリーする。こちらもライバル相手にどんな走りを披露するのか楽しみなところだ。
ST-Xクラスを含め、この他にもほぼ全てのクラスで現役のSUPER GTドライバーが名を連ねている。それだけ今年はハイレベルなレース展開になっていきそうで、各クラスともレース終盤まで勝敗の行方が分からないような熱戦が楽しめそうだ。
さらに今年はSUPER GTのみならず、世界最高峰のF1を経験したことがあるドライバーが多く参戦するのも特徴だ。
ST-TCRクラスにはS耐3年目となる中野信治がNo.97 ホンダカーズ桶川 DOME CIVICの一員として参戦する。過去2年はトラブルなどで悔しい結果に終わっているだけに今年は何としてもクラス優勝がほしいところだろう。さらに同じクラスのNo.65 REBELLION Mars Audi RS3 LMSには山本左近、No.290 F・Link Home CIVIC TCRには井出有治が参戦する。今年は参加台数が減ったST-TCRクラスだが、例年以上に見どころの多いレースウィークとなりそうだ。
さらにST-1クラスのNo.12 FMR Porsche Cayman GT4には元F1ドライバーのミカ・サロが加入し、富士24時間レースに参戦することとなったのだ。彼が日本のレースに参戦するのは2002年のF1日本GP以来のこと。ここ最近はレースに参戦する機会も減りつつあるが、ル・マン24時間を始め数多くのレースカテゴリーを経験してきていることもあり、チームにとっても力強い存在となっているようだ。また今季から日本でレース活動を開始することになった息子のマックス・サロもチームメイトとしてエントリー。サロ親子の夢の競演が、今週末の富士スピードウェイで見られる。
今年の富士24時間レースの見どころはドライバーだけではない。例年以上に新規参入の車両が多いのも特徴のひとつとなっている。
なかでも昨年と比べて大幅に参戦台数が増えたST-ZクラスにはメルセデスAMG GT4、KTM X-BOWに加えてアウディR8 LMS GT4、アストンマーティン ヴァンテージGT4、BMW M4 GT4、ポルシェ718 GT4 MRが新たに加わることとなった。昨年はNo.3 ENDLESS AMG GT4が独走する展開となったST-Zクラスだが、今年は同一周回での緊迫した戦いが期待される。
参戦車両のバリエーションが豊富なものもこのレースの魅力の一つだ。
そして、今回最も注目のマシンといえば、ROOKIE RacingのGRスープラ(ST-1クラス)とGRヤリス(ST-2クラス)の2台だ。ここまで入念にテストを重ねマシンを熟成させてきたが、このレースウィークでフルカラーリングされた車両を初公開した。ドライバーズラインナップも超豪華な体制を整えており、2台揃ってのデビューウィンも期待される。
とにかく見どころ満載の2020富士24時間レース。決勝レースは9月5日(土)15時にスタートが切られ、6日(日)15時にゴールを迎える予定。台風10号の影響で週末は雨模様が予想されていることもあり、例年以上に白熱かつ波乱のレースとなるかもしれない。
文:吉田 知弘
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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