何から何まで真っ暗闇よ〜

高橋 二朗 氏

古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。

鶴田浩二さん、このご意見には反対です※。ハイ、私は古い奴でございます。しかし、新しいものに馴染めず、四苦八苦しているのでございます。何が？って、コロナ禍で【New Normal】 の生活を皆が過ごしている。そしてモータースポーツにもこのヌーベル・バーグ、つまり新しい波が押し寄せてきて、その波で揉まれ揉まれて古い奴＝おっさんは、アップアップなのでございます。

プレスルームは、ソーシャルディスタンスを保つために人数制限されて、年間プレスパスを有していても事前取材申請を行なって、選ばれなければ取材ができない。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためには致し方ない。そして。記者会見は、リモート方式でネットを介して。コンファレンスルームに記者が立ち入ることはできない。40年ほど仕事させていただいているのでございますが、こんなの初めてでございます。そして、そして、予選、決勝の結果表が全てデジタル配信されて、印刷では出されない。感染防止対策。古い奴には、これがとても、とてもショックです。悲しいです。心細いのでございます。無観客、または5,000人上限とされて、ファンへ向けてのプログラムも製作されない。プログラムに印刷された結果表を差し込んで帰る。その満足感、充実感、達成感が味わえない。印刷結果表Come Back!!!

悲しんでいると、「簡素化されて、スピーディーで良いではないですか」と若い奴らが嘲笑うのでございます。それは、【違う！】
結果表を机の上に並べながら、ノートの予選、決勝のラップチャートを見つつ、その情景を思い起こしながら原稿を書く。それが古い奴のNomalなのでございます。クリック、クリックしてPCモニターに示された結果では、どうも雰囲気が出せない。New Nomalには、馴染めない。こうやって古い奴は、去ることしか道はないのでございましょうか。そんな世の中、右も左も真っ暗闇じゃぁござんせんか。取材現場ではデジタル配信の結果をプリントアウトもできず、事務所に戻ってからプリントアウト。やっと心の安らぎを取り戻した月曜日なのでございます。なんだかんだと愚痴ばかり申しましたが、そういう私も日陰育ちの捻くれ者。今や、お天道様に背を向けて歩く、馬鹿な人間でございます。　　
でも印刷結果よ　I need you. I want you. I really want you to come back!!!

ようやくスーパーフォーミュラとスーパーフォーミュラライツが開幕しました。印刷した結果表を机に並べて、さて原稿を書き始めようとしても、暑かったことしか思い起こせない、古い奴なのでございます。

※「何から何まで真っ暗闇よ〜」は故・鶴田浩二氏が1970年に発売した楽曲『傷だらけの人生』の一節です。

文：高橋 二朗