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モーター スポーツ コラム 2020年8月25日

【スーパーバイク世界選手権 第4戦アラゴン:プレビュー】ラズガットリオーグルの巻き返しがキーポイント

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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FIMスーパーバイク世界選手権

「FIMスーパーバイク世界選手権」は新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け中断していましたが、8月から再開。これまで3戦9レースを消化し、ここからが重要なスペイン3連戦の中盤戦となります。J SPORTSでは今年も全戦を放送。8月29日〜30日にモーターランド・アラゴン開催されるレースの模様を8月31日(月)からオンエアします。

さて、ここに来て「スーパーバイク世界選手権」王者のジョナサン・レイ(カワサキ)の勢いが止まらなくなってきました。アルガルヴェで開催された第3戦ではレイはなんと3連勝。開幕戦・フィリップアイランドのレース1でノーポイントとなったビハインドを見事に埋め合わせ、スコット・レディング(ドゥカティ)とのランキングを逆転。レイが4点リードのランキング首位で第4戦を迎えることになります。

今季はアレックス・ロウズがヤマハからカワサキに移籍、トプラク・ラズガットリオーグルがカワサキからヤマハに移籍、アルバロ・バウティスタがドゥカティから新型CBR1000RR−Rを投入したホンダに移籍、バウティスタの抜けた穴に昨年、MotoGPから母国の英国スーパーバイク選手権に参戦してドゥカティで圧勝したスコット・レディングが加入と、今季は移籍やチーム体制の変更が多買ったシーズンです。

その分、混戦模様になるか、それとも体制が変わらないジョナサン・レイ(カワサキ)の逃げ切りか、どういう流れになるか楽しみではありましたが、やはり王者レイの巻き返しが来たという印象です。

第3戦終了時点ではランキング3位にトプラク・ラズガットリオーグル(ヤマハ)が首位のレイから33点差でつけていますが、ラズガットリオーグルにとってはこれからのスペイン3連戦がチャンピオン争いに残れるか否かを決する重要なレースになるでしょう。アラゴンで2週連続全6レースの戦いが待っています。しかし、ラズガットリオーグルはヘレスでは3位表彰台をすでに3度経験しているにも関わらず、アラゴンでは最高位が8位。実は意外に目立ったリザルトを残せていないサーキットなんですね。アラゴンでラズガットリオーグルが覚醒できるかどうかはチャンピオンシップを占う上でも大きな鍵となってくるでしょう。

さて、チャンピオン争いはもちろん気になるのですが、新型マシンCBR1000RR−Rを投入して18年ぶりにワークス参戦したホンダの調子が気になります。アルバロ・バウティスタとカワサキから移籍のレオン・ハスラムのベテラン2人をもってしてでもベストリザルトが5位というのはちょっと普通ではありませんね。パワーがあり、直線の速さはベースモデルの中でナンバーワンであるCBR1000RR−Rですが、8月に開幕した全日本ロードレース選手権でもヤマハワークスに敗れてしまいましたし、昨年鳴り物入りで破竹の連勝を飾ったドゥカティ・パニガーレV4Rとは明らかに状況が違いますね。

プライベート体制「MIE Racing Althea Honda Team」から参戦する高橋巧(ホンダ)にとっても苦しく、歯がゆいレースの連続になっています。シーズン最下位前にはチームメイトのジョルディ・トーレスが離脱し、イタリア選手権600ccクラスの王者、ロレンツォ・ガベリーニが加入。1000ccバイクが初めてのルーキーにも遅れをとってしまっている状況は何かがうまく噛み合っていないと言わざるを得ません。元全日本ロードレースのチャンピオンですからね。異常事態です。

これまでスポット参戦を含めてアラゴンでのレース経験がない高橋巧。一つポジティブな要素としては2週連続で同じサーキットでレースが行われるということでしょう。F1やMotoGPでも2週連続同じレースというのがコロナ禍の中で行われていますが、こういった連続開催はチームやルーキーにとっても好都合。スプリントレース含めて6レースも走れるわけですから、しっかりデータを取って終盤戦に繋がるように頑張って欲しいところです。

辻野ヒロシ

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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