一緒に我慢しましょう

人は、その今際まで、そして死して後まで他の人のために尽くしている。
法事の際にお坊さんから御説教いただいた中にあった一説だったと記憶しています。

志村けんさんの逝去。新型コロナウイルスによる肺炎に対して再度注意喚起していただいた。自分も含めて今回のウイルスの脅威を軽んじていたと思います。出社した際、帰宅したらアルコールで手の消毒はしていたものの、正直、対岸の火事で、日本ではそれほど・・・と思っていたところへ、稀代のコメディアンの死は自治体の首長、国家の宰相のメッセージより強烈だった。氏への感謝と同時にご冥福を祈ります。もう、言い尽くされていますけれど、不要不急の外出はできる限り控えて、目に見えないウイルスの撲滅に皆で努力しましょう。

毎日の新コロナウイルス、COVID19報道でとても気になることがありました。
横文字表現です。
最初にエッ、と思ったのが「クラスター」。以前英国のモータースポーツ産業協会（MIA）のお手伝いをさせていただいた際に同協会の紹介文にイギリスにはモータースポーツの技術と産業のクラスターが点在しているという説明があった。そのクラスターの本来の意味は、果実の房、塊、集団。MIAが表現したかったのは、F1チームが点在する地域などはその周辺にパーツのサプライヤーなどが集合して、ひとつのモータースポーツ 産業の集合体が形作られているというもの。蛇足ですが、某電気機器メーカーが製品に盛り込んだ機能を「クラスター」と名付けて、製品にブドウの房をマーキングしていますよね。

しかし、最近の新型コロナウイルス報道では、「・・・この状況はクラスターが発生していると考えざるを得ない・・・」と。頻繁に報道にこの言葉が用いられると、＜クラスター＞とは、ウイルスの集団発症を意味するとすり込まれてしまいますよね。事実周りの何人かに聞いた結果は、クラスターを危険な何かと受け取っている割合が多かった。あまりにも唐突に横文字で今回のウイルスの広がる状況や対処方を表現されても全く分からない。先週末ぐらいからコメンテーターがテレビで横文字を使って表現をすると、モニターの端に瞬時にその意味が表示されるようになっています。やっぱり、多くの方がその意味をわからなかったということです。
モータースポーツにおいても横文字表現することがとても多いです。それを使うことでモータースポーツに深く関わっているのだ、オレはと、使うこともあったと自戒をしています。

これからは、できる限り中途半端に理解しているモータースポーツ用語をそのまま使うのではなく、使った後には説明を加える努力をしようと思っています。

Super GTの第2、3戦の延期も先日発表されました。現在の状況を考えると正しい判断だったと受け入れます。

モータースポーツに携わる関係者、モータースポーツを愛して止まない皆さん全員で感染拡大を阻止する努力をしましょう。重ねて、不要不急の外出を控えて、密閉、密着、密集は避けましょう。そして、一日も早くモータースポーツを楽しめる環境を作りましょう。それまでは、一緒に我慢です。

文：高橋 二朗