風が吹けば・・・

コロナウイルスの新型肺炎の猛威は、想像を超えていましたね。
国民も日本国政府も初期対応で戸惑ってしまい、先週ごろまではどのように対応して良いものかと考えていました。ボクが参画しているNPO法人が毎年開催しているイベント、モータースポーツ ジャパン（MSJ）も先週の内に緊急幹事実行委員会を招集してイベントの中止を決定。その夕方に政府が小中高校の休業を要請。要請といっても総理大臣がコメントしたことでこれは事実上の規制。それにしても週末を挟んで数日後の実施はあまりにも唐突だと思いました。

さて、MSJをはじめ、この春からスタートするモータースポーツ のイベントも軒並み中止や延期を余儀なくされていますね。予想はしていたものの、現実となると気持ちがダウンする。2003年のSuper GT（SGT）のセパン戦の中止を思い出します。

個人的にはモータースポーツ のイベントは無観客レースを実施するのではないかと考えていました。しかし、現時点でSuper Formulaの開幕戦は延期という発表がされています。Super GTのテストはサーキットへの一般観客は入場できない状態で行われます。つまり無観客のテストですね。

そもそもレースイベントは誰が主催しているのか・・・。それは各サーキットが主催して券売し利益を上げるわけですね。だから、延期や中止の最終判断は各サーキットさんがする。当然シリーズのプロモーターも判断に至るまでオブザーバーとして参加していたでしょう。

無観客イベントでテレビ放送するという手もあるのではないかと考えていました。解説で繋ぐ以上に臨場感ある映像と現場のノイズをより多く取り入れて、これまでとは違った形でモータースポーツファンの皆さんに楽しんでいただければと思っていたのですが、サーキットさんにとっては券売収入がないイベントは全く採算を度外したことなのですね。そんなことはできない。サーキットさんだけでなく、参加チームも大変。スポンサーさんとの契約はトータルレース数で契約金を決定していることがほとんどなので、1戦減ったらチームの収益にも大きく響く。だから延期してリスケジューリングという判断に至ったわけですが、現在のモータースポーツカレンダーはかなり過密なので今後どこにはめ込んでゆくのか・・・。鈴鹿のSF開幕戦が延期という情報が流れた途端に鈴鹿サーキット周辺の宿泊施設や飲食店は、青ざめた。

モータースポーツは、一つの産業が移動して開催されるようなもの。その土地に多額のお金（税金も）を落とす。モータースポーツファン、観客だけではなく、参加チーム関係者、オフィシャルさん達、われわれのようなメディアなどを含め＜アゴ・アシ・マクラ＞全てに経費が発生し、税金を含めたお金がその自治体に落ちる。

コロナが吹けば自治体が凹む。モータースポーツも。

文：高橋 二朗