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2019-2020世界耐久選手権第5戦がアメリカ・テキサス州のサーキット オブ ジ アメリカ(COTA)で行われました。深夜にもかかわらずテレビ観戦していただいた皆さん、お疲れ様でした。そしてありがとうございました。ワークスチームとして孤軍奮闘しているトヨタさんは、厳しいサクセス・ハンディに苦しめられながらノーミスで完走するもレベリオンの後塵を拝する結果となってしまった。レベリオンもミスがなかったのでハンディキャップ通りにLMP1の順位が決したのですが、6時間のレースでフルコースイエローが一回もなくクリーンなレース展開は、珍しかったし、それによって順位変動のドラマも起きなかった。トヨタファンの皆さんにとってはスタートからゴールまでまんじりともせずに日本の夜明けを迎えたことでしょう。
第5戦直前にWECの今後に関してムムムッ、と思われる動きが・・・。ルマン・デイトナ・ハイブリッド=LMDhという車両規則の施行がどんどんと進んでいることが明らかになったのですね。先に行われたデイトナ24時間の会場でアメリカの耐久レースをオーガナイズするIMSAとルマンのACOの両代表が笑顔でシェイクハンド。何を握ったのかというとアメリカとWECの統一車両規則=LMDhを設けて相互交流できるようにしようというもの。
ちょっと待ってよACOさん。一昨年のルマン24時間の会場で未来のWECはハイパーカー=LMHという車両規定で行うと発表し、それにトヨタさんがいち早く参画を表明。その車両をアンベールしたではないの。昨年の東京オートサロンでトヨタさんのブースでそのハイパーカーがお披露目されましたよね。
来シーズンからの参戦を目指している『GRスーパースポーツ・コンセプト』をベースとしたハイブリッド・プロトタイプ車両だが、開発が遅れているとの報もある。
なのに、年が変わってLMDhを促進するという変わり身の早さ。そしてLMHに参戦を表明していたアストンマーティンがプログラムの延期とLMDhへの興味をほのめかした。同じく参戦を表明しているプジョーもLMHとLMDhのどちらが良いかを検討するようなコメントをし始めている。COTAの会場でトヨタのテクニカルディレクター、パスカル・バセロン氏は「トヨタはLMHのプログラム進め、LMDhへの変更は考慮しない」とキッパリとコメントした。
LMDhという規定の車両は、大雑把に言って現行のLMP2のシャシーにハイブリッドパワーユニットを搭載した後輪駆動のスポーツカーであってLMHよりも出力は低いようだ。LMHとLMDhが混走すると今行われているWECのような状況が再現されて、LMHには何らかのハンディが設けられる可能性がある。トヨタにとって手枷足枷の現実からLMHへの移行でスッキリと勝負できると思っていたのに再びハンディに挑戦するWEC参戦となりかねない。これって・・・・。
文:高橋 二朗
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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