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2019年WRC第14戦ラリー・オーストラリア “最終戦でのメーカー・タイトル争い”
Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄前戦のスペインではトヨタのタナックが見事な勝負でドライバーズタイトルを獲得しました。僅か0.4秒差で2位を獲得、加えてパワーステージ1位を勝ち取っての年間チャンピオンです。周りがハラハラするような目一杯の見事な走りでした。ヒュンダイはストップ・タナックのためヌーヴィル、前チャンピオンのローブ、それに地元のソルドの3名でトヨタ勢を囲い込む作戦でした。ラリー後半までその効果は充分に発揮されヒュンダイが1―3位独占でしたが最後にタナックがその一角を破り、2位に浮上しタイトルを獲得。長い間続いたローブ、オジェ時代が終わり、新しいチャンピオンの誕生です。
一方でメーカー・タイトルの方はまだ決着がついていません。同一チーム2台の合計点ですから計算は難しくなります。トヨタはミークが頑張っていますがやや不安定、ラトバラはトップを常に争うタイプではなくなった感じです。一方のヒュンダイも2台目の安定さに欠けます。その結果、最終戦を迎えた得点はヒュンダイ380pt、トヨタ362pt、シトロエン284pt、フォード218ptとなっています。トヨタとヒュンダイの差は18pt。理論的には逆転可能ですが、仮にトヨタが1―-2フィニシュしてもヒュンダイが全車下位に沈まなければ逆転不可能です。トヨタにとって優位なのはタナックのタイトルが決まっているので目一杯走れることでしょうか。ラフなグラベル戦なのでトラブルもあるでしょうからスリルある観戦が出来ます。狭い林間コースでのコースアウトは致命的になります。スポーツの世界であまり話題にしたくないのですが、ヒュンダイ本社の対日意識は大きいのでチームにはプレッシャーが掛かっているでしょう。
オーストラリアはスタート順の影響が特に大きいと言われています。初日を上手く切り抜けた上位ドライバーが有利になるだけにセカンド・サードドライバーの結果に注目です。 最終戦は各メーカー3台のフル・グリッド。トヨタはタナック、ミーク、ラトバラ。ヒュンダイはヌーヴィル、ソルド、ミケルセン。シトロエンはオジェ、ラッピ、オストベルグ。フォードはエヴァンス、スンニネンと地元のパッドン。WRカーが12台出場します。
主戦場は、イーストコーストのコフス・ハーバーをベースに日常使用のない林道と生活道路の組み合わせでグリップが極端に異なると言われています。埃がものすごく、この時期はドライコンデイションが予想されます。
SSが25ありますがその内4本は1.3キロのSSSとなっています。
ラリー概要は下記のとおりです。
SS本数 | SS km | Liaison km | Total km | |
---|---|---|---|---|
L-1 (11/14-15) | 10 | 125.88 km | 243.01 km | 368.89 km |
L-2 (11/16) | 9 | 116.99 km | 367.48 km | 484.47 km |
L-3 (11/17) | 6 | 81.66 km | 148.98 km | 230.64 km |
Total | 25 | 324.53 km | 759.47 km | 1084.00 km |
文:福井敏雄
福井 敏雄
1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。
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