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モーター スポーツ コラム 2019年10月23日

2019年WRC第13戦ラリー・オブ・スペイン “終盤の年間チャンピオン争奪戦‘

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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このラリーは正式名称が“55 Rally RACC Catalunya-Costa Daurada,Rally de Espana 2019”という長~い名前です。最終戦のオーストラリアが荒っぽいグラベルなのに比べWRC唯一のミックス路面の戦いになります。ターマックとグラベルの独立したラリーをひとつにまとめてWRC参入したいきさつを継続したものです。WRC入りが1991年、その当時はデイ1と4がターマック、2と3がグラベル(当時は4日制でした)ということで 車両の仕様を現地で2回変更するものでした。チームの負担が重いのでFIA方針によりその後ターマックの単一路面に変更されました。2010年よりシリーズの面白さを強調するため再びミックスが採用され現在に至っています。3日制の初日はグラベル、残りはターマック路面です。初日の最終サービスは通常45分のところデイ2以降のターマックスペックに変更のため75分のサービスタイムをとっています。タイアサイズ、ブレーキ、サスが全く違うので作業は大掛かりなものになります。ターマックが長いので北欧ドライバーより大陸ドライバーがやや有利とされていますがドライバーポイントを争っているトップクラスの路面による有利さはそれほど差があるとは思いません。

第12戦のGBはいつもの年より時期が早出しのためドライ路面になるかと思っていましたが、期待通り(?)いつもの通りウエットになりました。泥道での激しい戦いで上位3人の中から犠牲者が出るかと思いましたが夫々慎重且つ勇敢にこなしリタイアなし。その中でタナックの強さが光りました。GB終了後のドライバーポイントはタナック240ポイント、オジェ212、ヌーヴィル199と最終2戦で何かあれば逆転可能な範囲にそれぞれのメーカーのトップドライバー達がいます。

一方メーカーポイントの方はヒュンダイとトヨタの一騎打ちです。現在ヒュンダイ340ポイント、トヨタ332で競い合っています。トヨタはタナクが6回も優勝しているのにセカンドドライバー特にラトバラの活躍が期待通りでないので2台合計のメーカーポイントでは苦戦している状況です。それでも一発逆転の距離にいるのでシーズン終わりにはダブルタイトルのチャンスは十分です。トヨタはクリス・ミークの参入はメーカーポイントの下支えに大きく貢献しています。オジェは単独でトップ狙いです。

今回のラリースペインはヒュンダイが全力投入です。ヌーヴィル(シリーズ3位)を助けるためローブと地元のソルドという布陣でタナックとオジェの順位を落とす囲い込みを図るでしょう。最終戦のオーストラリアまで何があるか分りませんが、私にはこのスペインで今シーズンの決着が着くような気がします。

SSは初日グラベル、残りはターマックですが初日のSS3/6の38.85 キロは83.26%がグラベル、16.74%がターマックという同じSSの中でのミックスがあります。この2SSは最長SSですからこれも一番の見どころかもしれません。

ラリー概要は下記のとおりです。

 SS本数SS kmLiaison kmTotal km
L-1 (10/25)6129.70 km459.68 km589.28 km
L-2 (10/26)7121.72 km341.24 km462.96 km
L-3 (10/27)474.14 km162.47 km236.61 km
Total17325.56 km963.29 km1288.85 km

マキネン・チームよりWRカーで勝田選手もエントリーされています。注目しましょう。

文:福井敏雄

福井 敏雄

福井 敏雄

1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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