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モーター スポーツ コラム 2019年9月19日

SUPER GT第7戦プレビュー

SUPER GT by 秦 直之
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決勝レースはウェットコンディション? 恵みの雨になるか、恨みの雨になるか!

いよいよ今年のSUPER GTは、残すところ2戦だけとなった。スポーツランドSUGOが舞台の第7戦は、ラス前の一戦ということもあり、全戦出場している車両に関しては、ウエイトハンデが半減、すなわち獲得しているポイントと同数値ということになる。昨年までSUGOのレースは第6戦と一戦前で、フル搭載の状態だった。基本どの車両も従来ほどの負担を強いられることなく戦えることが、どう影響を及ぼすか注目される。

前回のオートポリスとは違ったタイプのテクニカルコースではあるが、ただしアップダウンに富むという点では共通するSUGOとあって、軽いに越したことはないのは事実だ。その上で、ひとつ気になるのが週末の天気。どうも土曜日、日曜日とも崩れそうなのだ。雨に見舞われないことを、祈りたいが……。

今度こそNSX勢が来る? ドライでもウェットでも!

8月10〜11日に、SUGOでは公式テストが行われており、まずはその結果から紹介したい。2日間トータルでトップにつけたのは、KEIHIN NSX-GTの塚越広大/ベルトラン・バゲット組。1分10秒634をマークしている。前回のオートポリスではポールポジションを獲得し、途中2回のピットストップを強いられたものの、結果的にはその積極的な戦術が功を奏し、2位を獲得。ウエイトハンデは26kgでしかないため、引き続きの活躍も予想される。

仮に雨が降ったとしても、テスト初日のセッション1がウェットコンディションだったのだが、ここでも塚越は1分11秒805をマークしてトップ。そういう意味において磐石ともいえよう。もちろん8月と現在、9月では気象条件が異なるが、ウェットコンディションであれば、そう大差もないだろうと予想されることから、雨が降ればよけい有利だと考えられる。

また今回はNSX-GT勢の上位独占もあり得るのでは? 最も好タイムが出ていた初日のセッション2では、上位を独占。KEIHIN NSX-GTに続いたのは、Modulo Epson NSX-GTのナレイン・カーティケヤン/牧野任祐組で、3番手、4番手はRAYBRIG NSX-GTの山本尚貴/ジェンソン・バトン組、そしてARTA NSX-GTの野尻智紀/伊沢拓也組だったからだ。NSX-GTの特性が、特に超ハイスピードコーナーの最終コーナーで生きることは請け合い。目を見張るようなスピードで駆け抜けてくる光景が、今からもう容易に想像できる。

この中でダークホース的な存在が、やはりModulo Epson NSX-GTではないか。搭載するウエイトはわずか9kg。コンディションと唯一装着するダンロップのタイヤがマッチすれば、かなり期待の一台となりそうだ。

一方、先に挙げた他のNSX-GTも30kg前後ということもあり、勝ちに行ける重さながら、前回早々にリタイアを喫したこともあり、あえてRAYBRIG NSX-GTを本命としたい。リベンジの期待がかかるとともに、昨年は80kg積んで勝っている、相性の良さも合わせ技としたい。

ランキング上位を占めるLC500勢は、どれだけ高得点を稼げるか

LC500勢では、2日目セッション3で2番手だった、WedsSport ADVAN LC500の国本雄資/坪井翔組を有力候補として挙げたい。ここはウエイトハンデ24kgで、ちょうどいい重さ。一方、ランキングトップのWAKO’S 4CR LC500をドライブする、大嶋和也/山下健太組は65kg、10ポイント差で追いかけるKeePer TOM’S LC500の平川亮/ニック・キャシディ組は55kgと、それぞれ実際には燃料リストリクターで絞られての出場となる。高地に位置するオートポリスほどの影響は受けないにせよ、やはり苦戦は必至。ここでどれだけ高得点を稼げるかで、タイトル争いを有利に進められるか明確に分かれるだろう。

GT-R勢では、絶えず安定のスピードを見せる、MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生/ロニー・クインタレッリ組か。ウエイトは39kgで優勝は難しいかもしれないが、表彰台の一角は確実に狙ってくるだろう。というよりタイトルを争う上で、GT-R勢はこの一台頼み。他の車両は不運続きというか、歯車が噛み合っていないというか……。

GT300はHOPPY 86 MC! が、しかし……

歯車の噛み合わなさで言えば、GT500のGT-R勢以上にGT300のHOPPY 86 MCが……。しかも、こちらは予選では確実な速さを見せ、ここまで3戦でポールポジションを獲得。決勝でも一時トップを走っているのだから、「天国から地獄」感は相当強いはずだ。が、そんな悔しさが松井孝允や佐藤公哉のみならず、土屋武士監督のモチベーションとなっているのは間違いない。七転び八起きとでも言うべきか? いずれ起きれれば、それで上等と考えているのでは。

公式テストにおいても最速タイムをマーク。1分18秒307で他を圧していたこともあり、もうそろそろ……とこのプレビューで何度書いたか分からないが、来てもまったくおかしくはない。ついで優勝候補として挙げたいのが、SUBARU BRZ R&D SPORTの井口卓人/山内英輝組だ。公式テストでは2番手のタイムを記し、前回のオートポリスでも予選は4番手。しかしながら決勝ではミッショントラブルが発生し、早々にリタイアを喫している。この2台はウエイトハンデにほとんど苦しんでいないこともあり、激しくトップ争いを繰り広げるとさえ断言したいほどだ。

ランキングトップのARTA NSX GT3にとってはSUGOが正念場に

FIA-GT3勢では、JAF-GT勢に圧倒的有利とされるコースだけに、表彰台を目指したいところ。昨年は3位だったグッドスマイル初音ミクAMGの谷口信輝/片岡龍也組、4位だったModulo KENWOOD NSX-GT3の道上龍/大津弘樹組は、公式テストでも好結果を残しており、今回も期待できそうだ。

一方、ランキングトップをひた走る、ARTA NSX GT3の高木真一/福住仁嶺組はどうか? ドライコンディションではあまり芳しい結果は残せていなかったが、やはり雨に見舞われた2日目のセッション4ではトップタイムを出している。単純にそのことだけ考えると、恵みの雨を最も望んでいるのは、このふたりかも。2位以下が徐々に近づいているだけに、できるだけ高得点を稼いでおきたいという思いは極めて高いはず。NSX GT3は最終戦のツインリンクもてぎは「苦手そう」というのが高木の予想。「SUGOで大勢を決めていなければ、チャンピオンの可能性は薄い」と語っている。正念場での激走を期待することとしよう。

文:秦 直之

秦 直之

秦 直之

大学在籍時からオートテクニック、スピードマインド編集部でモータースポーツ取材を始め、その後独立して現在に至る。SUPER GTやスーパー耐久を中心に国内レースを担当する一方で、エントリーフォーミュラやワンメイクレースなど、グラスルーツのレースも得意とする。日本モータースポーツ記者会所属、東京都出身。

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