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モーター スポーツ コラム 2019年7月23日

いやー53だね

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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「イヤゴサンなれペリーさん」 これって、歴史の年号を覚える方法で教わった語呂合わせですよね。 アメリカから来たペリー司令官長率いる艦隊(黒船)が神奈川県の浦賀沖に現れて、久里浜に上陸。時の幕府に開国を要求。それが、1853年(嘉永6年)だった。


小欄で何回か今リーズンは、インバウンドの年と書いた。
国内で行われているいろいろなカテゴリーに外国のチームが参戦している。ワンレース単発の参戦ではなくて、シーズンを通しての参戦であるところがこれまでとは大きく異なる。そして、日本はモータースポーツに限らず、<外圧!?>に影響されやすいのが常。

先日行われた全日本F3選手権第10戦と第11戦でチームトムスの36号車が車両規則違反によって失格となってしまった。他の参戦チーム=外国(ヨーロッパ)から来たチームからの抗議から始まり、最終的に大会の審査委員会が失格と判断。細かな経緯は割愛するけれど、車両に装着している部品が認定部品であるか否かでの判断だったのですね。認定部品のリストがヨーロッパでは配布されていたけれど、日本にはされていなかった。トムスチームは、独自で同じ形状だけれど、素材が異なる部品を製作して装着していた。ヨーロッパでは指定メーカーの製作した認定部品以外は装着してはならないとされていたので、抗議したチームは「あの部品は、違うよね」となった。これは至極当たり前の抗議。また、認定の部品でも加工は一切してはならないという点でも抵触していたと。チームトムスは、昨年のマカオGPに参戦した際に国際自動車連盟の車両規則の責任者に確認したら、同部品について、独自に製作しても問題ない。認定部品のリストは、ヨーロッパ向けに出したものだという判断を仰いだとのこと。ヨーロッパと日本では、同じF3でも異なる規則があったということが判明して、騒ぎとなった。

【太平の眠りを覚ます上喜撰(じょうきせん) たった四はいで夜も寝られず】
(お茶の高級ブランド、上喜撰を4杯飲むと眠れない=蒸気船が4杯来ただけで眠れない)

黒船が来た時にあたふたした世情を比喩した川柳ですが、異国チームが出した抗議に対して日本のF3界がこの川柳のような状況になっていたようです。

これは、個人的な見解であるとお断りしておきますが、失格の判断に至ったのは、理由があってのことでしょうが、バッサリと鉈を振るう前に猶予期間を設けて規則に関する認識を統一してから日本独自の判断をしても良かったのではないでしょうか。参加チームの統括団体、F3協会は、少なからず、即失格という審査委員会の処置に驚きを隠せない様子。規則は規則という大前提はありますが、独自の発展を遂げてきた日本のモータースポーツに対して外圧(言い過ぎかもしれませんが)に右往左往しない判断もあっても良かったかな。
「いやー誤算だねF3協会さん」

文:高橋 二朗

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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