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モーター スポーツ コラム 2019年5月28日

2019WRC第7戦 ポルトガル “伝統的なヨーロッパグラベルラリー”

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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2019WRC第7戦 ポルトガル “伝統的なヨーロッパグラベルラリー”

今年53回目の開催を迎える名門ラリーの一つです。ポルトガル航空(TAP)のスポンサーとなり1967年より開催され1973年に創設されたWRC(当時はメーカー選手権のみ)のオリジナルメンバーとなりました。その後は長いあいだWRCの発展に寄与していましたが2000年頃からWRCのローテーションの影響を受けたり、熱狂する観客安全の対策等の問題もあり一時休んでいました。その後安全問題の再検討や開催地の選定など体制を整えて2007年に本拠地を南部の保養地アルガルベに移して再開しました。2015年にはポルトを中心に里帰り、有名なファフェのSSも再開して今日に至っています。

コースは表面がややソフト、反復使用の2回目は荒れて石の露出もあり中々の難コースです。SSスタート順は大きな影響があります。晴天であれば埃が視界を妨げインターバルを3分にすることもあるでしょう。風の無い日の針葉樹の森は車両通過後の埃が抜けてくれず後続車を悩ませます。初日の金曜日はSS6本約95キロ、タイヤ交換と給油以外は中間サービスなしです。初日、とくに早いSSでのトラブルは致命的遅れを生ずるため慎重な走りが求められます。土曜日は3日間SS合計距離の半分以上の165キロ走破です。2本のロングステージ37.5キロがありこの辺で勝負が見えてくるのかなと思います。最終日はWRCの名物ステージであるファフェの大ジャンプ2回目がパワーステージで幕を閉じます。11キロの比較的短いファフェのSSに数万人の観客が集まると言われこれに注目しましょう。

前戦までのチャンピオン争いは毎回目まぐるしく変わっています.3大ファクトリーチームのエースドライバーは6戦中、それぞれ2回優勝。合計ポイントの差はパワーステージの差だけという接戦です。ヌーヴィルが抜け出すかと思いきやチリで大クラッシュしましたが、怪我がなかったようなので安堵しました。オジェ:122pt、タナック:112pt、ヌーヴィル:110ptと激戦です メーカーポイントではヒュンダイ:178pt、トヨタ:149pt、シトロエン:143ptとなっています。ヒュンダイはメーカーポイントを守るために年初の計画よりもっと多く安定性が期待できるローブの参戦を要請することになるでしょう。

今年のWRCシーズンは新入りのチリが入って既に6戦終了しました。メキシコ・アルゼンチン・チリと3つの米州大陸イベントをパッケージ1つでこなした輸送作戦は成功したように思われます。残る遠距離はオーストラリアだけになりました。ラリーは世界興業をしているF1よりも機材、人員体制が大きいので移動には手間と時間と金がかかります。これを当初から見越してスケジュールを決めます。いま話題のラリージャパンもチームの輸送作戦から見てオーストラリアのパッケージと関連をつける以外になさそうです。ファクトリーチームは参加義務ありますがWRC2にはありません。WRC2カテゴリーに何台エントリーしてくれるか個人的には疑問を持っています。なぜならばWRC2チームは財政が豊かではないこと、日本にWRC2カテゴリーがないこと。もしラリージャパンが全日本戦と併催の場合には国内の一流選手は全日本戦カテゴリーに出場するでしょうから、国際カテゴリーはWRCカーにごくわずかの外国勢WRC2のみが参加する寂しいものになりそうです。 日本のラリー界も早く国際ルールでやってほしいと思います。

ポルトガルラリー概要は次のとおりです。

 SS本数SS kmLiaison kmTotal km
L-1 (5/31)794.50 km435.44 km529.94 km
L-2 (6/1)8165.20 km489.88 km655.08 km
L-3 (6/2)551.53 km224.62 km276.15 km
Total20311.23 km1149.94 km1461.17 km

このところRC2カテゴリーでトミ・マキネンチームから出場の勝田貴元選手が活躍しています。以前に比べると完走率が上がり我慢すれば上位に入れるコツを見出しつつあります。今回ポルトガルにはRC2の参加台数が非常に多いのでその中で貴元選手がどのような走りを見せるか注目しています。チームスタッフを与えられて育成プログラムに乗っている選手はあまり多くないので、この恵まれた環境を充分に生かしてもらいたいと期待しています。

福井 敏雄

福井 敏雄

1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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