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4月20日、21日に鈴鹿サーキットで行われた2019全日本スーパーフォーミュラ選手権の開幕戦。新型マシン『SF19』の導入や、今年は何かと話題が多い新人ドライバーたちのデビュー戦に注目が集まったが、予選・決勝ともに大荒れのレースとなってしまった。
特に今季デビューを果たす新人ドライバーたちにとっては鬼門のデビュー戦となり、予選・決勝ともにコースオフやクラッシュを喫するドライバーが多かった。改めてスーパーフォーミュラの厳しさを痛感させられたレースだったのではないだろうか。
しかし、その中でも開幕戦で印象に残る走りを見せた新人がふたりいた。今季TCS NAKAJIMA RACINGからデビューしたアレックス・パロウと牧野任祐である。
予選Q1、Q2ともにパロウがトップタイムを記録すると牧野も2番手で続き、TCS NAKAJIMA RACINGが好調な走りをみせた。特にパロウはプレシーズンテストから好タイムを連発しており、この開幕戦でも好調さを維持していた。しかし、チームメイトの牧野も負けていられないと最終のQ3で奮起。0.026秒逆転しポールポジションを勝ち取った。ルーキードライバーがデビュー戦でポールポジションを獲得するのは前身のフォーミュラ・ニッポン時代を含めても初めてのこと。ルーキーふたりがフロントローを独占するというのも前代未聞の快挙だった。
その新人ふたりの活躍に一番喜んでいたのが、チームを率いる中嶋悟総監督だ。これまで国内トップフォーミュラでは4度のドライバーズタイトルと4度のチームタイトルを獲得した経験を持つ名門チーム。それだけでなく、高木虎之介、松田次生、アンドレ・ロッテラー、小暮卓史、ロイック・デュバルなど数多くの名ドライバーを輩出。昨年チャンピオンを獲得した山本尚貴も、デビューイヤーはナカジマレーシングに在籍していた。ここ数年は成績が低迷し優勝から遠ざかっていたのだが、今年加入した若いふたりが開幕戦から速さをみせ、チームとしては2010年第4戦もてぎ以来となるポールポジションを獲得。予選フロントロー独占は2009年最終戦以来、およそ10年ぶりの出来事だった。
この快挙に、中嶋総監督は「夢のようです!」と満面の笑み。一時は予選Q1での脱落が当たり前になるほど辛い時期も経験していただけに、久しぶりのフロントロー独占を心から喜んでいた。
しかし、レースは決勝結果が一番重要。そういう意味で、彼らにとってはスーパーフォーミュラで勝つことの難しさを感じる1戦となった。
スタート前のフォーメーションラップ時にはパロウのマシンの輪止めの外し忘れが原因で、作業禁止時間のタイミングにメカニックが取り外し作業を行った。そのためスタート手順違反の裁定が下されドライブスルーペナルティを受けた。
それでも、他を圧倒する速さをみせたパロウは、終始アグレッシブな走りを見せたが、18周目にホイールナットが緩むトラブルが見舞われストップ。リタイヤを余儀なくされた。一方、ポールポジションからスタートした牧野もトップ争いに食らいつく走りを見せていたが、26周目のスプーンカーブで右リアタイヤが外れるトラブルが発生。そのままタイヤバリヤに突っ込んでしまい、こちらもリタイアとなった。
前日の予選フロントロー独占から、一転して2台ともにリタイア……。
中嶋総監督はピットウォールエリアの放心状態のまま椅子にもたれかかり、しばらくその場を動こうとしなかった。このレースを制すことができれば、チームにとって9年ぶりの勝利だった。ここ数年はライバルチームが台頭している中で、ここでひとつ成績を残して“名門復活”を狙っていたのだが、その目論みが音を立てて崩れしまった瞬間。やりきれない思いが頭の中を駆け巡ったのだろう。
結局、レースはニック・キャシディ(VANTELIN TEAM TOM’S)が優勝、2位に山本尚貴(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)、3位に山下健太(KONDO RACING)が入り、昨年の最終戦と同じ顔ぶれが表彰台を分け合った。
予選結果をみて“名門ナカジマレーシング完全復活”というレース後の吉報を心待ちにしていたファンも、きっと多かったことだろう。残念ながら……今回お預けとなってしまったが、それで“速さ”という部分ではライバルを寄せ付けないものを持っていた。それをひとつの好材料として次戦以降の奮起を期待したい。
吉田 知弘
幼少の頃から父親の影響でF1をはじめ国内外のモータースポーツに興味を持ち始め、その魅力を多くの人に伝えるべく、モータースポーツジャーナリストになることを決断。大学卒業後から執筆活動をスタートし、2011年からレース現場での取材を開始。現在ではスーパーGT、スーパーフォーミュラ、スーパー耐久、全日本F3選手権など国内レースを中心に年間20戦以上を現地取材。webメディアを中心にニュース記事やインタビュー記事、コラム等を掲載している。日本モータースポーツ記者会会員。石川県出身 1984年生まれ
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