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モーター スポーツ コラム 2019年4月22日

2019WRC第5戦アルゼンチン “南米大陸2連戦は大草原と高地の戦い”

Mr.フクイのものしり長者 de WRC ! by 福井 敏雄
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2019WRC第5戦アルゼンチン “南米大陸2連戦は大草原と高地の戦い”

シーズン開始から4戦終了しフォード以外のファクトリーはシトロエンのオジェが2勝、タナクとヌーヴィルが夫々1勝をあげてその結果上位3名のポイント累計はヌーヴィル82、オジェ80、タナク77と大接戦です。メーカーポイントではヒュンダイ114、シトロエン102、トヨタ98とこれも接戦ですがメーカーポイントではセカンドドライバイーが安定して支えることが必要です。その意味でミークはよくやっています。ラトバラが常に上位で完走すればトヨタはもっと楽になるでしょうに。ラッピがもう少し安定すればシトロエンの2台体制は強力です。前半戦はしばらくの間、総合順位が毎回入れ替わる混戦が予想されます。

ラリー・アルゼンチンは1980年からの始まったコダスール・ラリーから数えると39回目の開催です。アルゼンチンは広大な国土と豪農が築いた豊かな国でF1などにもファンジオ、ロイテマンなどの有名ドライバーを輩出しており、ファンは熱狂的です。南半球の最先端ですからチームの本拠があるヨーロッパからは気が遠くなるほど離れて、別世界に行くようなエキゾチックなイメージがあります。実際にパンパと呼ばれる大草原に立つと人間の小ささを感じます。引退したドライバー達やFIAの役員等になって活躍している先輩たちの昔話の話題はアルゼンチンやサファリの話が多いのです。パンパと月面状の奇岩のあるエルコンドルがコースの目玉です。最終のパワーステージもエルコンドルです。ラリーの出発点は首都ブエノスアイレスから約750キロ北の同国2番目の都市コルドバの郊外のカルロス・パスです。ソフトとハードグラベルのミックスですが柔らかい路面の2本目走行は轍のせいで難しいとされています。季節は初冬、標高が高いところでは霧がかかることがあります。一部凍結のリスクもあります。雨になればウオーター・スプラシュもあります。

2019WRC第5戦アルゼンチン “南米大陸2連戦は大草原と高地の戦い”

このラリーに関し私の思い出話が2つあります。一つは1993年、チームが既にアルゼンチンに入ってからカンクネンのコ・ドライバーであるユハ・ピロネンが脳梗塞で倒れ、急遽英国から今までWRC出場のなかったニッキー・グリストと組ませたことがありました。結果は見事優勝。ニッキーはピロネンのペースノートをそのまま使わざるを得なかったのですが、フィンランド人ペアーが英語のペースノートを使っていたのは幸いでした。もう一つは1990年トヨタの第3ドライバーとしてアルゼンチン人初のWRCドライバーであるホルヘ・リカルドに乗ってもらったことです。数年後彼は他チームのイベントでエンストした際、マシンを必死に押してコントロールラインを越えようとし、心臓麻痺を起こし死去しました。彼の人柄に惚れ込んでいた私には深い悲しみだけが残りました。彼のコ・ドライバーであったマーチン・クリスティーとは今でも交信があります。
こんな思い出に浸りながら、今年のラリー・アルゼンチンを楽しむことにします。

ラリー概要は次のとおりです。

 SS本数SS kmLiaison kmTotal km
L-1 (4/25-26)8147.82 km 520.20 km668.02 km
L-2 (4/27)7146.52 km195.95 km342.47 km
L-3 (4/28)3 53.16 km233.91 km287.07 km
Total18347.50 km950.06 km1297.56 km

ファクトリー・ドライバーのエントリー
ヒュンダイ:ヌーヴィル、ソルド、ミケルセン
シトロエン:オジェ、ラッピ
トヨタ:タナク、ミーク、ラトバラ
フォード:エヴァンス。スニネン
日本人ドライバー:勝田〈WRC2〉

福井 敏雄

福井 敏雄

1960年代から欧州トヨタの輸出部員としてブリュッセルに駐在。1968年、トヨタ初参戦となったモンテカルロからラリー活動をサポート。トヨタ・モータースポーツ部のラリー担当部長、TTE(トヨタ・チーム・ヨーロッパ)副社長を歴任し、1995年までのトヨタのWRC圧勝劇を実現させた。

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