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先々週の同欄で本山 哲氏の現役引退について書かせていただいた。
彼の才能を強烈に印象付けられた1987年全日本カート選手権開幕戦、猿島カートランド。予選でP.P.を奪取するも決勝で彼はトラブルによってリタイヤする。
そのレースの結果表6位に山本雅史選手の名がある。モータースポーツのコアファンは、ご存知ですね。そう、本田技研工業(株)のモータースポーツ部部長。2018年シーズンはSuper GTとSuper Formulaのツーリングカー、フォーミュラのトップカテゴリーを【ホンダ】が制した。
氏は、30数年前に自らいちカーターとして全日本カート選手権のトップクラスで戦っていた。その当時は(株)本田技術研究所に席を置いていたと記憶する。3年前に本田技研工業(株)のモータースポーツ部長に就任、独自のバイタリティでホンダの全てのモータースポーツ活動をグイグイと牽引して来た。特に復帰したF1では、レッドブル陣営との絆をどんどんと太く、強くし、2019年シーズンに本家レッドブルにエンジン供給を開始する。
2月19日に突然その山本部長が4月1日の人事移動によって現職を離れるという一報が流れた。多くのモータースポーツ関係者にとってこのニュースはショッキングだった。まさか、更迭!!?
いえいえ、ご心配なく。その移動は、F1活動に専任するためのものだった。八郷隆弘社長から直々に「F1に専任しろ」と指示が飛んだのです。実にホンダらしい。
他のメーカーのモータースポーツ部長とホンダのその職は、名前は同じでもその責務は大きく違う。世界を相手に2輪、4輪活動、それも世界のトップカテゴリーの全てを統括するという重責だ。ご自身は、F1以外の活動でやり残した感があると報じられているけれど、本家レッドブルとのタッグでホンダとしては、不退転の決意と覚悟を山本部長に託したと理解できる。氏は、実にホンダマンらしい人柄。勝利の後に祝辞を伝えて握手を交わすと喜びとともにモータースポーツへの情熱を込めて、力いっぱいに握り返してくれる。
F1での弥栄を送る。そして、氏の下で2019年は、ドラスティックなドライバーシャッフルが行われた2019年の国内モータースポーツシーンにも期待したい。
そういえば、昨年の末に久しぶりにカートコースに足を運んだ際に会ったある古参カート関係者は、「雅史はさ、すごいよね。今や部長だろう。もう、マサシ!などと軽々しく呼べないよね(笑)」と語っていた。いちカーターがホンダのF1を力強く率いる。
高橋 二朗
日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。
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