【スーパースポーツ世界選手権 第12戦カタール プレビュー】コルテセvsクルーゼルは僅か6点差で最終決戦へ

カワサキ レーシングチーム

「スーパースポーツ世界選手権」の最終戦がカタールのロサイルインターナショナルサーキットで10月26日（金）～27日（土）に開催されます。J SPORTSでは日本人ライダーの大久保光（おおくぼ・ひかり）が出場するこのレースを10月27日（土）に生放送でオンエアします（詳しくはこちら）。

いよいよ最終戦となった今季の「スーパースポーツ世界選手権」ですが、今年は例年以上にスリリングなチャンピオン争いが展開される面白いシーズンになっています。その主役となっているのはサンドロ・コルテセ（ヤマハ）とジュール・クルーゼル（ヤマハ）。元グランプリライダー同士のハイレベルな戦いはフランス、アルゼンチンとクルーゼルの連勝で、ポイント差は僅か6点に縮まりました。

今季グランプリから転向してきたサンドロ・コルテセはシーズン開幕からいきなりの速さを見せつけていました。第3戦のアラゴンで初優勝し、その後ドニントンパークでも優勝。今季２勝で現在ランキング首位＝189点につけています。

一方で600ccプロダクションバイクの経験が豊富なジュール・クルーゼルはシーズン序盤はなかなか結果に繋がらなかったもののアッセン、イモラと連勝し、ブルノでも勝利。全戦で上位フィニッシュを果たしているコルテセに対し、クルーゼルは２回のリタイアを喫したことが響き、ポイント差は大きく開き、流れが完全にコルテセに向いたかと思われました。

しかし、クルーゼルはフランスで勝利すると、新設コースのアルゼンチンでも連勝。勢いづいたクルーゼルは6点差の183点となっています。トータル５勝は今季の勝利数では他を圧倒している状態。カタールも勝利で飾り逆転チャンピオンを狙いたいところです。とはいえ、6点差というのは非常に微妙な数字です。優勝25点、2位20点というポイントが与えられるので、仮にクルーゼルは優勝したとしても2位にコルテセが入れば逆転することができません。ですから、クルーゼルは優勝することが大前提ですが、他のライバルに頑張ってもらってコルテセを３位以下に追いやってもらう必要があります。

カタールのロサイルインターナショナルサーキットはコルテセも走り慣れたコースです。125cc、Moto3時代には表彰台経験がありますし、Moto2時代にもシングルフィニッシュを２回経験しています（最高位7位）。一方のクルーゼルはスーパースポーツ世界選手権での優勝こそないものの、表彰台が３回ありますし、250cc、Moto2時代にも表彰台を経験しています。両者共に勝てばカタールでの初勝利ということになりますが、過去のリザルトのデータはほぼイーブンと言えるでしょう。一つ違いがあるとすれば、コルテセはプロダクションバイクでカタールを走るのは初めての経験だということです。

今季を引っ張ってきた2人によるチャンピオン争いがどうなるか非常に楽しみですし、テレビで観戦される視聴者の皆さんも分かりやすい構図のバトルが楽しめるのではないでしょうか。

そして、注目は大久保光の走りです。今季からカワサキにスイッチして序盤は苦戦をしていましたが、シーズン後半からは安定してシングルフィニッシュを果たすようになり、前戦のアルゼンチンでは今季ベストの８位フィニッシュ。またもやチームメイトのエクトル・バルベラよりも前でチェッカーを受けました。今季は特にヤマハ優勢の状況が生まれ、かなり厳しい戦いを強いられた大久保ですが、泣いても笑っても最終戦です。3年目となる「スーパースポーツ世界選手権」への参戦を納得のいく好成績で締めくくり、ランキングを一つでもあげてもらいたいものです。