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モーター スポーツ コラム 2018年10月11日

歯止めを!と考え始めた

今日も今日とてプッシュ&ルーズ by 高橋 二朗
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先週末は、鈴鹿F1の30周年大会でしたね。
練習走行がスタートしたその日にイギリス人ベテランジャーナリストがツイートしていました。
「S字コーナーで走行を観ていた。改めてF1の物凄い速さに驚かされた」と。
何を今更という感じだけれど、同じようなことを感じたことを思い出しました。
スーパーフォーミュラの現行車であるSF14導入のシーズン前テストでS字コーナーのアウト側土手に出向いて走行を観ていました。1コーナーに進入する速さもさることながら、2コーナーを立ち上がって、上り勾配が始まって、3コーナーからS字に入ってきたマシンの速さに全身が<ゾクッ>として鳥肌が立ったのを覚えています。

モータースポーツ=速さを競う

SF14の速さを観て、感動さえ覚えた。上気する気持ちを抑えつつ、パドックに戻りドライバー達にコメントを聞くと彼らは目を輝かせて、その速さをコントロールする悦びを語ってくれた。
速く走るために多額の資金を投じ、気の遠くなるような時間と、先進の技術と膨大なマンパワーを導入し、車両を開発。それを生身の人間、ドライバーが操って勝敗と順位を決する。人間の勝りたいという本能に訴えるこのスポーツ、モータースポーツが大好きです。

しかし、最近真剣に考え始めたのは、速さをそろそろ抑えるべきということです。際限なく速くなってしまって良いのだろうかと思い始めました。

手元の記録から、国内トップフォーミュラの速さ(ポールポジションラップタイム)の変遷を示してみます。
※鈴鹿&富士の現行サーキット距離で比較=鈴鹿2003年以降、富士2005年以降

鈴鹿:
2003年1分45秒161
2018年1分36秒911

富士:
2005年1分28秒340
2014年1分23秒044

鈴鹿で約8%、富士で約6%タイムが速くなっている。
来年から導入されるSF19は、現在のテスト走行の段階で非公式ながらコースレコードを更新している。同じ比較で10%速くなる可能性もある。これは、とても素晴らしいことだけれど、一度立ち止まって一度速さについて考えてもよろしい時期にきているのではないでしょうか。1%に満たない速さの向上を実現するのも大変なのに…。近年の上昇率は凄すぎる。

速さを制限することについて、モータースポーツの関係者は、拒否はしないものの、これまで永年追求してきた速さをつき進めたいという行動を止めない、でしょう。速さへの開発の動きを止めることは、関係者の存在意義を否定されてしまうと考えるだろう。特にドライバーは、海を高速で泳ぐマグロみたいにじっとしていることができない、止まることができない性分だから、彼らにゆっくり走るモータースポーツを考えようと提案しても無理。だから、モータースポーツ全体として止めどない高速化への歯止めを実施しつつ魅力的な競技を創り上げるアイデアを出す時期にきていると思うのでした。

今週末は、富士でWECです。トヨタの凱旋レースは如何に!

高橋 二朗

高橋 二朗

日本モータースポーツ記者会。 Autosport誌(英)日本特約ライターでもあり、国内外で精力的に取材活動をするモータースポーツジャーナリストの第一人者。1983年からルマン24時間レースを取材。1989年にはインディー500マイルレースで東洋人としては初めてピットリポートを現地から衛星生中継した。J SPORTSで放送のSUPER GTのピットレポーターおよび、GTトークバラエティ「GTV」のメインMCをつとめる。

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