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モーター スポーツ コラム 2018年9月28日

【スーパースポーツ世界選手権 第10戦マニクール プレビュー】~クルーゼル痛恨のリタイアから地元優勝なるか?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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ジュール・クルーゼル(ヤマハ)

「スーパースポーツ世界選手権」の第10戦がフランスのマニクールサーキットで9月28日(金)~30日(日)に開催されます。J SPORTSでは日本人ライダーの大久保光(おおくぼ・ひかり)が出場するこのレースを9月30日(日)にオンエアします。また、J SPORTSオンデマンドでも配信します。

さて、前戦・ポルティマオのレースは序盤から波乱の展開となりました。チャンピオンを争うサンドロ・コルテセ(ヤマハ)とジュール・クルーゼル(ヤマハ)が2周目に接触、転倒。クルーゼルはコルテセの転倒に巻き込まれる形となり、そのまま再スタートできず、痛恨のリタイア。コースの縁石を叩いて悔しがる姿が印象的でした。シーズンも終盤に来て、なんという不運でしょう。

クルーゼルの悪夢のような状況はコルテセが再スタートを切って、5位まで追い上げたことでさらに最悪の状況になりました。これでクルーゼルがノーポイントに終わり、サンドロ・コルテセ(ヤマハ)=149点、ジュール・クルーゼル(ヤマハ)=133点で16点差にポイント差が広がりました。前線までは5点差の接戦だったことを考えると、終盤戦に来てこの差が付くのはクルーゼルにとって非常に痛い状況です。

「スーパースポーツ世界選手権」は激しいレースで非常に見応えがありますが、あの展開の中でもトップライダーたちはきっちりとフィニッシュまでバイクをもっていきます。ランキング首位のサンドロ・コルテセ(ヤマハ)は今シーズン1度もリタイアしておらず、全てのレースで6位以内のフィニッシュを成し遂げています。一方、ジュール・クルーゼル(ヤマハ)は今季3度の優勝を飾っていますが、2度目のリタイアということで、これが16点の差になってしまっているということです。今回に関してはクルーゼルが可愛そうすぎますが。

とはいっても、残り3戦。まだまだ逆転するチャンスはクルーゼルにあります。今回は地元・フランスのレースですから、クルーゼルにとっては応援を受けての素晴らしい走りに期待したいですね。彼はやはりホームコースであるマニクールが得意です。これまで「スーパースポーツ世界選手権」ではマニクールで3勝を飾っているのです。今季からヤマハYZF-R6に乗っていますが、2012年にはホンダで優勝、2014年と2016年はMVアグスタで優勝。果たしてヤマハでも優勝を飾れるかというところです。

一方のコルテセはグランプリを長く戦ってきましたが、フランスGPが開催されるのはル・マンのブガッティサーキットということで、マニクールでのレース経験は近年ありません。そういう意味では追う立場のクルーゼルは勝たなければならないレースになります。

また、ランキング3位は2連勝を飾ったフェデリコ・カリカスロ(ヤマハ)の129点。クルーゼルに4点差に迫っていますから、こちらはレース終盤戦で流れを一気に引き寄せています。トップのコルテセからも20点差ですから、大逆転のチャンピオンの可能性も秘めています。クルーゼルにとってもカリカスロにとっても絶対に落としてはいけないレースです。

地元といえば、昨年のチャンピオン、ルーカス・マヒアス(ヤマハ)も忘れてはいけません。今季は表彰台がわずかに2回と苦戦していますが、前戦のポルティマオではポールポジションも獲得しました。ただ、2戦連続のノーポイントに終わり、トップのコルテセからは46点差。2連覇は厳しい状況になっています。

今季はヤマハが上位を独占してきたシーズンで、すでにマニュファクチャラータイトルはヤマハが獲得しましたが、ポルティマオではなんとホンダのカイル・スミスが2位表彰台。そして3位表彰台の常連となっているMVアグスタのラファエル・デローサがまたもや3位と、久しぶりに表彰台を3つのメーカーが分け合うという形になりました。

その中にカワサキも加わって欲しいところですが、カワサキ勢の中でランキング最上位だったアンソニー・ウエストがドーピングテストで使用禁止の薬物が検出されたことで出場停止になってしまいました。そして、ソフォーグルの後釜として加わったエクトール・バルベラもスーパースポーツ初陣のポルティマオでは10位と振るわず。カワサキ勢にとっては苦しいレースが続いています。そんな中で日本人ライダーの大久保光は2戦連続のシングルフィニッシュとなる9位。苦しい中でも結果に繋がり始めているので、残り3戦はさらなる上位フィニッシュに期待です。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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