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「FIMスーパーバイク世界選手権」は長い約2ヶ月のサマーブレイクを終えてようやく再開。第10戦がポルトガルのポルティマオにあるアルガルヴェ国際サーキットで開催されます。残すは4戦、チャンピオンを決する終盤戦を「J SPORTS」でお楽しみください。9月14日(金)~16日(日)に開催されるレースの模様はJ SPORTSでは9月17日(月)にオンエアされますし、J SPORTSオンデマンドでも配信します。
さて、このインターバルの間に日本では真夏の祭典「鈴鹿8耐」がありました。「スーパーバイク世界選手権」のファンの方はもちろんご覧になられたと思います。今年は3年連続の「スーパーバイク世界選手権」王者、ジョナサン・レイが「Kawasaki Team Green」から参戦。テストから格の違う速さを見せつけ、ポールポジションを獲得。そして、来季からスーパーバイク世界選手権でレイのチームメイトになることが決まったレオン・ハスラムと組み、「YAMAHA FACTORY RACING TEAM」のマイケル・ファンデルマーク 、アレックス・ロウズとビッグバトルを繰り広げました。今年の鈴鹿8耐はまるで日本に「スーパーバイク世界選手権」がやってきたかのような見応えのある大会でしたね。
その鈴鹿8耐ではジョナサン・レイがセーフティカーラン中に雨で足元をすくわれ、まさかの転倒。これでヤマハ陣営に風が吹き、ホンダワークスがヤマハワークスを追いかける展開となり、パトリック・ジェイコブセンもホンダCBR1000RRWで走行しましたが、レオン・キャミアの代役として急遽ワークス入りしたジェイコブセンは実力を発揮できず、ヤマハワークスが鈴鹿8耐を4年連続で優勝。今年もマイケル・ファンデルマークとアレックス・ロウズの走りはお見事で、エースの中須賀が負傷して走れない中、スーパーバイク世界選手権で今季優勝も飾っている二人が8時間をパーフェクトな走りを展開しました。
今年の鈴鹿8耐はスーパーバイク世界選手権で国内メーカーを代表するライダー達がそれぞれのメーカーのプロモーションにも大きく貢献するパフォーマンスを披露したレースだったと言えます。鈴鹿8耐を前にファンデルマークとロウズは2019年以降もヤマハとの契約が成立。また、レイもカワサキとの契約が延長されましたが、9月の全日本ロードレース選手権のオートポリスで新型のカワサキZX-10RRがお披露目され、デモンストレーションランを担当しました。このニューモデルの登場はレイが契約を延長する大きな要素になったと考えられます。
さて、ヨーロッパよりも日本国内で様々な動きがあった「スーパーバイク世界選手権」ですが、舞台は再びヨーロッパに戻っての終盤戦です。ここまでの流れを振り返ってみましょう。今季はレギュレーションの変更により、様々な性能調整が加えられ、常勝のカワサキにとって苦しいシーズンになるとの予測もありました。確かにヤマハの台頭、序盤戦のドゥカティの躍進などありましたが、第9戦までの18レースで、ジョナサン・レイ(カワサキ)が10勝を飾り、ポイントリーダー(370点)になっています。
ランキング2位はチャズ・デイビス(ドゥカティ)で、獲得ポイントは278点と92点もの差がレイとの間にはついてしまっています。アメリカ・ラグナセカを含むレイの4連勝で両者には大きな差がついてしまいました。約4レース分の差ということで、これだけの差がつくとデイビスの自力での逆転は厳しい状況です。ドゥカティはメランドリが開幕2連勝、デイビスが第3戦アラゴンで優勝したのを最後に、それ以降未勝利が続いています。来季から投入される予定の新型4気筒マシン、ドゥカティ・パニガーレV4の開発に注力か、それともドゥカティ・パニガーレRに華を持たせる大逆転のストーリーが待っているのか、ドゥカティ陣営の動向が注目されます。ちなみに17回チャンピオンを獲得している「スーパーバイク世界選手権」の代名詞的存在のドゥカティは2008年以降すでに10年も王座から遠ざかっています。
そしてランキング3位はイギリス・ドニントンパークで2連勝を飾ったマイケル・ファンデルマーク(ヤマハ)の248点。デイビスとの差は30点ですから、これは十分に逆転可能な点差になっています。自身4度目の鈴鹿8耐ウイナーに輝き、次はタイ記録となる5度目の優勝がかかっていますから、来季もヤマハからの参戦が確実視されています。今後、ヤマハのエースとなっていく彼が手にする環境は今まで以上に大きなものになっていくでしょう。そういう意味では今季の終盤戦からパフォーマンス向上に大いに期待したいものです。
ポイント差はそれぞれ大きく開いているトップ3ですが、まだ残り8レースもあるので一寸先は闇。誰がうまく流れに乗って行くでしょうか。ちなみに昨年のポルティマオではジョナサン・レイ(カワサキ)がポールポジション、レース1&2優勝、ファステストラップという完璧なレースウィークを展開しました。ホンダ時代の2014年にも優勝を飾っていますから、まさにジョニーズサーキット。レイがまた2連勝となれば、チャンピオンシップはほぼ決まりになるでしょう。
辻野 ヒロシ
1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。
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