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モーター スポーツ コラム 2018年6月15日

「ウイナーズクラブ」入りへ大きなプレッシャーがかかるTOYOTA GAZOO Racing 重圧を打ち破り、ル・マンを制することができるのかーー

モータースポーツコラム by 平野 隆治
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いよいよ今年も、ル・マン24時間の季節がやってきた。筆者は6月13日、本来パリからTGVでル・マンに向かうはずだったのだが、ストライキで列車がキャンセルになり、急遽レンタカーを手配し現地にやっと到着。ドタバタのなかでの往路だったが、街の雰囲気はいつものとおり。「ああ、今年も来たな」と感じることができた。

ただ、今年のサルト・サーキットの雰囲気はやはり昨年までと違う。その年の雰囲気というのはパドックに立ち並ぶホスピタリティやスタンドの看板、チームウェアを着て歩くスタッフたちの表情から、なんとなく「今年はこういう年」というのが感じることができるのだが、2016~17年あたりまでと今年とは違うのだ。

昨年までは、LMP1の日独メーカーの激突がハイライトだった。しかし皆さんニュースや雑誌でご存知のとおり、ポルシェはLMP1活動を終え、メーカーとしてLMP1に参戦するのはTOYOTA GAZOO Racingのみとなった。LMP1にはチャンスと見たプライベーターたちが参戦しているが、メーカーの戦いの場はLM-GTE Proクラスに移行したと言っても過言ではない。今年の見どころは、『TOYOTA GAZOO Racingが初勝利を収めるか、収めないか』、『LM-GTE Proはどこが勝つのか』という2点だ。

とはいえ、TOYOTA GAZOO Racingはル・マン24時間においていまだに勝ったことがないメーカーだ。ル・マンを包む空気は、彼らが“ウイナーズクラブ”に入ることができるのかを固唾を呑んで見守っているように見受けられる。

もちろん今年、TOYOTA GAZOO Racingがル・マンの優勝候補ナンバーワンなのは間違いない。性能調整によってガソリンエンジンを使うプライベーターたちとの性能は近づけられているのはたしかなのだが、資金力やチーム力には大きな差がある。また、6月13日のプラクティスでは、TOYOTA GAZOO RacingとLMP1のそれ以外のマシンとは1秒近い差があるほか、WEC世界耐久選手権開幕戦スパの成績をみても分かる。

ただ、それでもひと筋縄ではいかないのがル・マン。圧倒的優位にいたとしても、例えばレース中に大きなアクシデントに見舞われたらそれで終わりだ。TOYOTA GAZOO Racingとプライベーターの戦力差を考えると、2~3時間の修復を要するトラブルがあっても危うい。筆者は個人的には、シリーズの盛り上がりを考えても今年も3台体制を継続するべきではないかと考えるが、その判断は非常に難しいところだっただろう。

そして今年、TOYOTA GAZOO Racingにかかるプレッシャーも大きい。自慢のハイブリッド技術を鍛える場として挑むTOYOTA GAZOO Racingだが、「勝って当然」なレースで勝てなかった場合、世界のファンは「そういう目線」で見るはずだ。筆者はTOYOTA GAZOO Racingのハイブリッド技術はル・マンで勝利するに値するテクノロジーをもっていると思う(ちなみに今回急遽手配したレンタカーではC-HRが出てきたが、なかなか快適なドライブを楽しませてもらった)が、レースという舞台で勝つためにはテクノロジーだけでは勝てない。

もちろんTOYOTA GAZOO Racingが勝つに越したことはないが、ル・マン24時間というレースは、その参加者が全身全霊を込めて挑んでこそ、勝利の女神が微笑むレースだと思っている。TOYOTA GAZOO Racingは、LMP1のなかでは最も“力が入っている”のは間違いないのだが。筆者はこのコラム内で毎年TOYOTA GAZOO Racingには「足りない部分がある」と書いてきたが、その足りない部分は今年埋まっているのか、それともウイナーズクラブ入りへの“合格点”をもらえるのか。それを今年見せてもらおうと思う。

もう一点。『LM-GTE Proはどこが勝つのか』という部分だが、このクラスには今季17台ものエントリーがある。すべてメーカーの威信を背負ったワークスカーで、ある意味LMP1以上に豪華なメンバーだ。そして毎年のように、このクラスはゴール直前まで非常に激しい戦いが展開される。

70周年の記念の年を飾りたいポルシェ、昨年のリベンジを期するシボレー、新車投入のアストンマーチン、このレースでは強いフェラーリ、フォード、そして新規参入のBMW。それぞれ音、走りに特徴があり、観ていて楽しめるのもこのカテゴリーだ。当然、メーカーの活動であるためにホスピタリティやスタンドの看板等の力の入れ方もすごい。ただ、いかんせん今年までのル・マンではトップカテゴリーではないため、やっている側もファンも力の入れどころが難しいのだろうな……というのが実感だ。これも今年の「どこか違う」ル・マンの雰囲気に繋がっているのだと思う。

現在のところ、現地の天候は週末までは良さそう。ドライでの真っ向勝負が楽しめそうだ。果たして今年のル・マンはどんなドラマが展開されるだろうか……!? ぜひJ SPORTSで一瞬たりとも見逃さないで欲しい。

平野 隆治

平野 隆治

1976年横浜市出身。モータースポーツ専門誌、サイトの編集部員を経て、2015年からモータースポーツを中心にした“自称なんでも屋”に転身。SUPER GTは10年以上ほぼ全戦現地で取材をこなしてきた。

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