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モーター スポーツ コラム 2018年6月7日

【スーパースポーツ世界選手権 第7戦ブルノ プレビュー】~6年ぶりのブルノはGP経験者が優勢か?

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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「スーパースポーツ世界選手権」の第7戦がチェコのブルノサーキットで6月8日(金)~10日(日)に開催されます。J SPORTSでは日本人ライダーの大久保光(おおくぼ・ひかり)が出場するこのレースを6月10日(日)に生放送。また、J SPORTSオンデマンドでも6月11日(月)に配信されます。

接戦が続く今季の「スーパースポーツ世界選手権」ですが、前戦のドニントンパークではドイツ人ライダーのサンドロ・コルテセ(ヤマハ)が独走で今季2勝目をマーク。そして、ジュール・クルーゼル(ヤマハ)が終盤のラファエル・デ・ローサ(MVアグスタ)との2位争いに競り勝ちました。

これで首位にコルテセ(ヤマハ)の102点、2位にクルーゼル(ヤマハ)の95点、3位にクルメナッハー(ヤマハ)の94点、4位にマヒアス(ヤマハ)の90点とランキングも目まぐるしく入れ替わることに。1戦ごとに勢力図が変わる激しいシーズンとなっています。

そして大久保光(カワサキ)は予選5番手を獲得するなど好調でしたが、残念ながら転倒によりリタイア。アンソニー・ウエスト(カワサキ)も右手首の怪我でまだ本調子とは言えず、カワサキ陣営の苦しい戦況は変わっていません。

さて、そんな中で迎える第7戦はチェコのブルノサーキット。MotoGPも開催している1周5.4kmのお馴染みのグランプリコースです。実はスーパースポーツ世界選手権の開催は2012年以来6年ぶりで、現役ライダーでこのクラスの優勝経験があるライダーはケナン・ソフォーグルが引退したために誰もいない状況です。

しかしながら、グランプリが毎年開催されているコースであり、グランプリからスーパーバイクに転向してきたライダーにとってみれば経験豊富なコースと言えますから、中には良いイメージでレースができるライダーもいるかもしれません。

その中で最もブルノを得意とするライダーと言えば、ランキング首位のサンドロ・コルテセ(ヤマハ)でしょう。彼は13シーズンに渡ってグランプリサーカスに身を置いてきたライダーですからブルノの走行経験は豊富です。そしてコルテセは2011年(125ccクラス)にグランプリ参戦7シーズン目にしてようやく初優勝を飾っていますが、実はそのコースがブルノなんです。

コルテセはブルノでの初優勝で勢いに乗り、翌2012年に4ストローク化したMoto3クラスで見事チャンピオンを獲得。その年もブルノで3位表彰台に登っています。600ccのMoto2にステップアップしてからも3位表彰台を初めて獲得したのがこれまたブルノ。今季2勝目を飾り波に乗るコルテセにとって非常に相性が良いコースでのレースがやってくるわけです。グランプリ仕込みの走りを見たいですね。

そして、ジュール・クルーゼル(ヤマハ)は2010年(Moto2クラス)で表彰台まであと一歩の4位フィニッシュをしましたが、逆にスーパースポーツ世界選手権に初めて参戦した2012年はここブルノでは表彰台に立てませんでした。

また、ランディ・クルメナッハー(ヤマハ)も長くグランプリを戦ってきたライダーの一人です。しかしながら、チェコでの最高位は2007年(125ccクラス)の9位とあまり芳しくない結果です。そして、ルーカス・マヒアスはグランプリ経験がワイルドカードによる5戦のみですが、そのうちの2戦がブルノでのMoto2参戦。こちらもスポット参戦ということで成績はイマイチな感じ。

他にブルノを得意とする元グランプリライダーはいないのか?というところでしたが、伏兵が居ました。アンソニー・ウエスト(カワサキ)です。ウエストは2007年途中から最高峰MotoGPクラスにカワサキワークスのライダーとして参戦し、2008年はフル参戦をしていますが、彼のMotoGPでの最高位となる5位フィニッシュを飾ったのが実は2008年のブルノです。

ウエストはMotoGPからカワサキが撤退したことで、シートを喪失した2009年にスーパースポーツ世界選手権にフル参戦。ブルノでは2位表彰台に上がりました。優勝こそ無いものの、ウエストにとってみれば良いイメージで挑めるサーキットでしょう。そんな彼は先週、鈴鹿サーキットで開催されたアジアロードレース選手権にヤマハのチームから参戦。レース2ではプライベーターのマシンで厳しい状況ながら素晴らしいレース運びと衰え知らぬ走りで優勝を飾りました。カワサキからヤマハ、ヤマハからカワサキの乗り換えは大変だと語っていましたが、怪我をしていようがマシンを変えようが御構い無しのアンソニー・ウエスト。その勢いでカワサキに今季初の表彰台をもたらすことはできるでしょうか。

お馴染みのコースでも、6年ぶりだからこそ分からないその戦況。グランプリライダーたちの走りはレースの軸になって行くでしょう。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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