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モーター スポーツ コラム 2018年5月18日

【フォーミュラE 第9戦ベルリン プレビュー】~ベルニュが王座をかけて挑む空港コースのバトル!

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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電気自動車の「FIAフォーミュラE選手権」のシーズン4(2017年~18年)は3週間のインターバルを経てドイツのベルリンへ。5月19日(土)に第9戦が開催されます。J SPORTSでは「Berlin ePrix」の予選、決勝の模様を生放送でお送りします。

今回はシーズン3(2016年~17年)には2レース制で開催されたドイツ・ベルリン戦です。今年の会場は昨年と変わらず、かつて国際空港として使われていたベルリン・テンペルホーフ空港の跡地で、1レースのみ開催で行われます。弧を描くような形をした旧ターミナルビルを背に、かつて旅客機が駐機していた敷地に作られたコースで、距離は約2.25kmと短いですがコースレイアウトや幅に制限の多い市街地コースと違い、ドライバーたちの腕の見せ所であるコーナリングしながらのブレーキング勝負が存分に楽しめます。

さて、前戦パリではシリーズランキング首位で地元のジャン・エリック・ヴェルニュ(テチータ)が見事にポールポジションから優勝。今季3勝目をマークして、ランキング2位のサム・バード(DSヴァージン)とのポイント差を31点に広げました。1レース分のマージンを得たということで、シリーズチャンピオン獲得に向けては優位な条件が揃ってきました。

サム・バード(DSヴァージン)もパリで3位表彰台を獲得してランキング2位をキープ。一方ランキング3位のフェリックス・ローゼンクビスト(マヒンドラ)は予選から上位につけることができず、レースでは8位完走。首位のヴェルニュとの差は61点に広がってしまいました。同じ週末に鈴鹿で開催される「SUPER GT」を欠場して挑むベルリン大会はローゼンクビストにとって負けられないレース。ヴェルニュとの差が76点以上に広がると逆転チャンピオンの可能性は消滅してしまうことになります。「マヒンドラレーシング」としてはトラブルだけは絶対避けたい重要な意味を持つ1戦です。

昨シーズン、「フォーミュラE」にデビューし、速さと電費走行の上手さでその名を轟かせたフェリックス・ローゼンクビスト。ルーキーイヤーとなった昨シーズンで初優勝を飾ったのがベルリンのレース1でした。レース中盤にトップに立った後は独走で優勝を飾る素晴らしい走りを見せました。思えば、日本のファンにローゼンクビストの存在感が増していったのもこの優勝からです。同じ月に「ルマン24時間レース」をLMP2で走り、1ヶ月後の「スーパーフォーミュラ」富士では2位表彰台を獲得しました。まさに彼が各方面から引く手あまたとなる契機となったのがこのベルリンでした。良いイメージを持ってベルリンに挑むローゼンクビスト(マヒンドラ)がヴェルニュやバードを凌駕し、ポイント差を詰められるか注目です。

しかし、ヴェルニュを追うバードとローゼンクビストには強敵が大勢居ます。ヴェルニュのチームメイト、アンドレ・ロッテラー(テチータ)も好調でパリではフロントローを獲得して6位入賞。母国レースとなるドイツでロッテラーが今度は僕の番だとばかりに初優勝を狙います。

そして、電気自動車へのシフトが顕著なドイツの自動車メーカーにとって、ここは負けられないレース。ドイツ国籍の「アウディ」にとっては譲れない大会です。エースドライバーでチャンピオンのルーカス・ディグラッシ(アウディ・スポート)は3戦連続の2位表彰台を獲得中。序盤の不振は何処へやらという状態でランキングも5位に浮上してきました。チームとしてはダニエル・アプト(アウディ・スポート)がすでにメキシコ大会で優勝していますが、ディグラッシは好調ですから今季初優勝を狙ってチャンピオン争いに留まりたいところですが、首位ヴェルニュとのポイント差は89点とかなり崖っぷちです。

また、昨年のレース2で優勝を飾ったセバスチャン・ブエミ(ルノー・edams)はランキング4位。ここ最近はシングルフィニッシュを続けていますが、ヴェルニュとの差が77点と大きく、これまた崖っぷちの状態にありますから勝負の1戦です。ブエミは2週間前のWECスーパーシーズン開幕戦・スパでフェルナンド・アロンソ、中嶋一貴らと共に優勝。ルマン優勝に向けても幸先良いスタートを切っていますから、その勢いに乗ってヴェルニュに一矢報いたいところでしょう。

チャンピオン争いもいよいよ佳境に入ってきたシーズン4も残すところベルリン大会を含めて4レース。シーズン5(2018-19)に向けては元F1ドライバーのフェリペ・マッサが「ヴェンチュリ」からの参戦を発表するなど、またまた注目度が上昇する要素が増えてきました。いよいよメジャーなモータースポーツカテゴリーとして認知されつつある「フォーミュラE」。現行シャシーのラストシーズンの終盤戦もお見逃しなく!

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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