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モーター スポーツ コラム 2018年4月13日

フォーミュラE~初開催のローマでローゼンクビストは追いつけるか?ヴェルニュが大きくリード!

モータースポーツコラム by 辻野 ヒロシ
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電気自動車のフォーミュラカーレース「FIAフォーミュラE選手権」のシーズン4(2017年~18年)の後半戦は舞台をヨーロッパへと移し、ローマ、パリ、ベルリン、チューリッヒとヨーロッパの主要都市を転戦します。その最初の舞台となるのは、イタリアのローマ市街地。初開催コースでの第7戦です。J SPORTSでは4月14日(土)に開催される予選、決勝をJ SPORTS 4で生放送。今回から見やすい時間帯のレースとなるのは嬉しいですね。

さて、前戦のウルグアイ戦ではジェン・エリック・ヴェルニュ(テチータ)が調子を取り戻したルーカス・ディグラッシ(アウディ・スポート)とのスリリングなバトルを制して優勝。今季2勝目を飾り、シリーズランキング首位の座を譲ることなくシリーズを折り返すことになりました。第4戦チリ・サンチアゴの1-2フィニッシュに続き、ヴェルニュ(テチータ)は今季2勝目です。

ランキング2位は今季の序盤で2勝をあげたフェリックス・ローゼンクビスト(マヒンドラ)。しかし、第5戦メキシコシティでのトラブルによるリタイアが尾を引く形でヴェルニュに対して30点差にギャップが広がってしまいました。美しいドライビングとエネルギーマネージメントの巧さで、今や「フォーミュラE」のスター選手になりつつあるローゼンクビスト。昨年は日本国内のスーパーフォーミュラで表彰台、そして今季はSUPER GTのGT500クラスにレクサスLC500で参戦し、開幕戦・岡山では4位フィニッシュを果たしました。GT500初陣ながらチームに素晴らしい結果をもたらす器用さは改めて驚かされます。

そんな日本ですっかりおなじみになったローゼンクビストですが、30点差は非常に大きなビハインドと言えます。これから始まるヨーロッパ連戦で連勝するくらいの勢いが無いと他力本願な状況に頼らざるを得ない立場です。そんな中で注目したいのはローマが初開催のコースであるということで、ローゼンクビストが彼の持ち味である器用さとストリートマイスターとしてのアグレッシブさを見せられるか期待したいところです。

ローマ市街地コースのレイアウトは21のコーナーで構成され、1周の距離はマラケシュについて2番目に長いコースとなります。高速コーナーがほとんどないという意味でもストリートマイスターとしてのローゼンクビストの巧さが活きるコースになるのではないでしょうか。これからSUPER GTと合わせて超多忙なスケジュールをこなすことになるローゼンクビストのヨーロッパラウンドでの巻き返し。彼にとってはレーシングドライバーとしての株を上げるビッグチャンスです。

ランキング3位にはローゼンクビストから3点差でサム・バード(DSヴァージン)が続きます。今季の開幕戦・香港以来、勝利に恵まれていませんが、常にトップグループを走る速さを見せています。ただ、今季はここまでまだポールポジションがありませんから、ヴェルニュとローゼンクビストに逃げられないようにするには初コースを予選から攻略しなくてはいけません。過去にはGP2時代にモナコでポールポジションを獲得したり、スパ・フランコルシャンで速さを見せたり、WECでもLMP2のチャンピオンに輝いた実績を持ち、速さと器用さではローゼンクビストにも引けを取らない実力の持ち主ですから、そのパフォーマンスに注目です。

また、ヴェルニュと熾烈なトップ争いを展開したルーカス・ディグラッシ(アウディ・スポート)にも注目。アウディワークスとしてはチームメイトのダニエル・アプト(アウディ・スポート)が1勝していますが、チャンピオンとして1勝をローマで狙ってくるでしょう。

「フォーミュラE」は今後、自動車メーカーとして「BMW」「メルセデスベンツ」「ポルシェ」というドイツの巨人たちが参戦してきます。2019年以降のシーズン6からはこれらのメーカーが揃うことになり、来季のシーズン5からよりプロフェッショナルなレベルで激しいコンペティションになることは間違いありません。自動車メーカーが来季以降の参戦PRを活発化させることになるヨーロッパラウンドでは、このカテゴリーの先駆者「アウディ」は勝利が何よりも欲しいはずです。

いよいよ始まるヨーロッパラウンド。まだ来季のドライバーラインナップが決まっているチームは少なくドライバー市場も激しいストーブリーグ(夏ですが)になりそうな後半戦は、ドライバー同士の意地の張り合いに注目して楽しみましょう。

辻野 ヒロシ

辻野 ヒロシ

1976年 鈴鹿市出身。アメリカ留学後、ラジオDJとして2002年より京都、大阪、名古屋などで活動。並行して2004年から鈴鹿サーキットで場内実況のレースアナウンサーに。
以後、テレビ中継のアナウンサーやリポーターとしても活動し、現在は鈴鹿サーキットの7割以上のレースイベントで実況、MCを行う。ジャーナリストとしてもWEB媒体を中心に執筆。海外のF1グランプリやマカオF3など海外取材も行っている。

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