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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
Week 7 - Manchester City 5-0 Crystal Palace
(1) Pepが最初の30〜35分に強くこだわるワケ
この試合も5-0で圧勝するも前半の内容に満足しないグアルディオラ監督
●前半中、何度か緊張・イライラしてそうな表情を見せたグアルディオラ監督。
●前半39分、まだ0-0の段階でボールボーイにまで細かい指示をした姿が話題にあった!
●映像:38:35 グアルディオラがボールボーイに指示
Pep Guardiola、試合後コメント: 前半30分までは全てが遅過ぎて駄目だった
●"If you analyse 30 minutes in the first half, we were not ready to be there. It was slow.
「前半の30分を分析してみれば、我々は試合に入れていなかったし、スローだった」
●"If there was a foul, no-one went to take the ball and start to play. There was five, ten seconds before someone goes to take the ball and start to play. When this happens everything is slow.
「ファウルがあっても、誰もリスタートのためにボールを取りに走らず、プレーが再開されるまでには、5秒、10秒とかかっていた。こんなことでは全てがスローになる」
●"So the ball boys were slow, everybody was slow. And we have to create in the game, to provoke the game. And we didn't for most of the time in the first half."
「それはボールボーイたちも同じで、誰もがスローだった。試合を動かしていくために、クリエイティブにならねばならなかったが、前半の大半の時間でそうはできなかった」
●"In the second half, you could see immediately that the team was ready."
「後半に入ってからは、チーム全体がしっかりと準備できていたのが皆にも分かっただろう」
出典:Daily Mirror紙
翻訳:桐谷 圭介
その後、圧勝したのに、グアルディオラ監督は何故、最初30分のことがそんなに気になるのか?
実はグアルディオラ監督のシティは前半35分までにゴールを決めないと苦労する傾向が強い!
●2016/17の公式戦成績を、前半35分までにゴールを決めた試合と決めなかった試合に分けて比較すると、傾向がはっきりしている。
●前半35分までにゴールを決めれば、ほぼ確実に勝利する。
●しかし、前半35分までに決められない試合は、3分の1ぐらいしか勝利しない。
出典:The Blizzard
理由:ペップの哲学を実行するには相当の集中力が必要だが、人間の集中力は30〜35分しか保てない
●実は、バルセロナ時代とバイエルン時代に遡っても、グアルディオラ監督のチームはどれもこの傾向が強いそうだ。一番良いサッカーが出来るのは、前半の35分ぐらいまで。
●その理由は、昨シーズンの『Foot! TUESDAY』で一度紹介した、グアルディオラ監督の「juego de posicion=ポジション・ゲーム」。
●ピッチを20のゾーンに分け、全員がそのゾーンとチームメイトがどのゾーンにいるかを常に意識しつつ、正しいポジションを取る必要がある。
●そのために高い集中力が必要だ。
●だが、科学研究によれば、人間が高い集中力を保てるのはだいたい30分?35分ぐらいだけで、その後、集中力が落ちるのは当然だそうだ。
●だから、昨シーズンからグアルディオラ監督がシティに新たな哲学を導入することにあたり、2つの大きな問題があった。
●1つは、前にあったものを徐々に崩し、新たなものを導入することにあたり、選手が慣れるのに時間がかかり、1年目で結果が悪化する可能性が高い。というのは、昨シーズンに見られた。
●もう1つは、高い集中力が必要な哲学を完璧に実行したとしても、30分?35分から益々機能しなくなる傾向があるので、前半30分?35分までが非常に重要な時間帯となる!
●その2つの問題について、『The Blizzard』でUriah Kriegelが興味深い文章を書いた。
Uriah Kriegel、The Blizzard
●Assimilating a new set of athletic instincts takes time, and it involves a period in which the new and superior instincts have not yet settled in but the old, tried and true ones are starting to disintegrate; in this period one plays worse.
様々な新たな運動能力を本能的に身につけるには時間がかかる。新しく、より優れた本能がまだ安定せずに、これまでに主に使われてきた方が崩れ始めると、一時的に選手のプレーが悪くなる期間がある。
●Between 2004 and 2007 Roger Federer won 4 Wimbledons, 4 US Opens, and 2 Australian Opens ? but not once at Roland Garros. Deciding that his only remaining wish was to complete a career grand slam by winning on Parisian clay, he reworked his game to adjust it to that peculiarly bouncy surface. And indeed, on 7 June 2009 he beat Robin Soderling in straight sets to secure his coveted career grand slam. But this had been only his second grand-slam victory in 21 months! While injuries were also a factor, clearly the project of rewiring his brain to play clay-court tennis took its toll.
2004年から2007年にかけて、ロジャー・フェデラーはウィンブルドンを4度、全米オープンを4度、全豪オープンを2度制したが、ローラン・ギャロス(全仏)では一度も勝てなかった。パリのクレーコートで勝って個人のグランドスラムを達成することだけが残された目標だ、と心に決めたフェデラーは、特にボールの弾むサーフェスに自分のプレースタイルを合わせ直すことにした。そして、2009年の7月にロビン・セーデリングをストレートで下して、切望していたキャリアでのグランドスラムを達成した。しかし、それは21ヶ月の間でクランドラムでは僅かに2度目の優勝だった。同時期の負傷も一因ではあったが、頭をクレーコートに適応させる、というプロジェクトは高くついたのだ。
●Learning Guardiola's style of football was always going to exhibit the same dynamic. It requires considerable training and a non-negligible threshold of intelligence, but it also requires a real capacity for concentration, a cognitive resource notorious for its fast rate of depletion. It is a constant of Pep's career that his teams play their best football in the first 30 to 35 minutes of a game. That is precisely the human brain's natural capacity for sustained concentration, as cognitive psychologists determined some years ago.
グァルディオラのスタイルのフットボールを学ぶ際には、同様の労力が求められることになる。相当な量のトレーニングと無視できないレベルの知性が求められ、また、一気に消費されていく認知能力の源泉である、真の集中力も必要だ。ペップの監督キャリアでは、彼のチームは最初の30?35分まで最高のフットボールを見せる、という傾向がある。それは、人間の脳が集中を継続できる、と数年前に認知学者が究明した時間と正確に一致する。
●That's why it had always been so crucial for Pep's Barca and Bayern to score in the first half hour.
それこそ、ペップが率いたバルサやバイエルンで、最初の30分にゴールを決めることが非常に大事だった理由だ。
出典:The Blizzard
翻訳:桐谷 圭介
(2) 参考:Guardiolaのハイレベル哲学:Juego de posición
2016/17シーズン『Foot! TUESDAY』、#32の前半レポートより。参考の為にコピペしました。
●Guardiolaが選手たちに求めるのはかなりハイレベルの哲学である。
●かなり細かい哲学だから、それをこなせるまで長時間の練習も必要であり、試合中もそれを常に意識する必要がある。
●2015/16シーズンまでの『Foot!』ではVan Gaalの「フィロソフィー」について何度も話したが、実はGuardiolaの哲学もその延長線である。
Guardiolaは自分の哲学を「juego de posición=ポジション・ゲーム」と呼ぶ。
●それを選手たちに教える為に、練習場のピッチを20のゾーンに分けて練習を行う。
●哲学の基本として、現在ボールが入っているゾーンに合わせて、各選手がポジションを調整する。
●また、チームメイトのポジションにも合わせて、各選手がポジションを調整する必要がある。
その中でチームの形を簡単に説明すれば、基本的に2つの条件がある。
●(1) 横には、最大3人まで同じ列のゾーンで並んでも良い。しかし、4人以上は並んではいけない。
●(2) 縦には、最大2人まで同じ列のゾーンで並んでも良い。しかし、3人以上は並んではいけない。
●つまり、チームメイトの動きにより同じ横列のゾーンで4人が並ぶことになれば、なるべく直ちに残り3人の誰かが必ず自らのポジションをそれに合わせて調整する必要がある。
●それが出来れば、ボールを持った選手にとってはどこからでも、パスの選択肢が2つか3つ確保されているはずだ。
更にハイレベルに実現する為には
●理想的には、上記の基本を固い感じではなく、むしろ流動的な感じに実現できれば最高である。
●流動的なポジションチェンジにより、重要なゾーンに人数をかけつつ、全体の組織を保つのがベスト。
●それが出来れば、パスの選択肢も相変わらず2つ、3つあるはずだし、万が一ボールロストがあっても、すぐに取り返す為のカウンタープレス(独:gegenpress)をかけ、相手のカウンターを素早く止めることができるはずだ。
●ボールを奪って、すぐに攻撃できない場合は、まずショートパスを繋ぎながら組織的な形を取り戻す。
●15本以内のパスで、正しい形に戻っているはず。ここから攻撃もカウンタープレスも機能する。
(その形を取り戻す為のパス回しが、他者には「tiki-taka」と呼ばれた。)
●つまり、試合中はずっと20ゾーン図を頭に入れて、常にそれを意識しながらボールとチームメイトのポジションに合わせて自分のポジションを調整する必要がある。かなり難しいことだろう!
(3) 今季は35分までに決めなくても、90分も勝負できるシティ
今季のシティは、イメージとして攻撃力がすごい
●今季のシティと言えば、攻撃力が半端ない。ゴールも多く、相手を圧倒する為の引き出し・方法をたくさん持っている。
●攻撃の厚みも半端ない。Bernardo Silvaはまだレギュラーに定着できていない。Gabriel Jesusはこの試合では要らなかった。Leroy Saneは先発起用が少なかったが、いきなり2試合連続で爆発。
●シティはクラブ新記録となる、開幕から6試合で21得点(1試合平均:3.5得点)。
公式戦では8試合で27得点(1試合平均:3.375得点)。
●ただ、今季の強みはそれだけではない。
しかし、今季は「35分のジンクス」を乗り越えて90分も勝負できるようになった
●#1 BHA 0-2 MCI - Aguero 70', Dunk OG 75'
●#2 MCI 1-1 EVE - Rooney 35' // Sterling 82' (※後半はずっと10人でプレーした)
●#6 MCI 5-0 CRY - Sane 44', Sterling 51', 59', Aguero 79', Delph 89'
「35分のジンクス」を乗り越えるも同点で終盤を迎える試合でも、勝ち切れる
●#3 BOU 1-2 MCI ? Daniels 13' // G. Jesus 21', Sterling 90'+5
●LC3 WBA 1-2 MCI ? Sane 3' // Yacob 72' // Sane 77'
まとめ
●だから、振り返ってみれば公式戦8試合のうち、5試合は必ずしも思い通りに行かなかった。
●Maneの一発退場までSalahなどにチャンスを与えてしまったリヴァプール戦も含めると、8試合中6試合で苦労する時間帯があった。
●しかし、今季のシティはこれまでになかった勝負強さを持っている。いつもよりも遅い時間帯にあっても、点を決めて勝ち切れる。
●残された疑問は、敢えて言うなら守備。
●現在はリーグ戦で2失点、公式戦で3失点しかないが、攻撃が最善の守備というベースになっている。
●リヴァプール戦のように、攻められるときは大丈夫か?という疑問についてはまだ証拠が足りない。
●だが、あのリヴァプール戦でも結局5-0で圧勝したし、見ていて楽しいので、絶賛に相応しいチームだ!
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