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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
Week 36 - Manchester United 2-0 Chelsea
(1)写真表示:MUN 2-0 CHE:戦術・黒板の話はこの為にする
人生はパーセンテージだ!
●世の中に、「戦術とかシステムについて語る意味が無い。ボールを蹴るのはシステムではなくて選手だから」という人間も居る。中に指導者や記者も居る!
●しかし、先月と今月のチェルシー戦でモウリーニョが練った対策を見たら、戦術について語る理由が明らかであろう。
●サッカーでは点数が少ないので、小さなことのランダム変動が結果に大きな影響を与える。
(FAカップ戦ではHerreraのレッドカードとか、この試合ではAlonsoの欠場やHerreraのハンド疑惑とか。)
●だから、幾ら準備しても勝利を保証することはできない。
●だから、厳密に言えば、監督の戦術やプランニングは勝利する為ではなく、勝利する可能性をなるべく高める為にするのである。
●人生も同じだ!人生には何の保証も無いので、人生もパーセンテージの問題だ!
●戦術を分析するのは、スコアに囚われずに、その有利・不利のパーセンテージをもたらす要因を見出す為にする。
●それがその試合では結果に繋がったかどうかは別にして、今後に繋がる傾向は見出すことが出来る。
FAカップで負けた試合では、この対策ではチェルシーに勝てるという兆候があった
●FAカップの対戦では、前半途中にHerreraのレッドでユナイテッドのゲームプランが台無しとなり、結局1-0で負ける結果となった。
●しかし、その結果よりも、印象に残ったのはモウリーニョの対策だった。
●あのときの戦術が面白かった!チェルシーを止める作戦として、非常にうまく機能していた。
●従って、明らかにユナイテッドの勝利する可能性をデフォルトよりも大幅に高めた。
●だから、結果は負けだったにもかかわらず、戦術を分析してユナイテッドを有利にする要素をピックアップすることに意義があった。
●もう一回やれば、ユナイテッドが十分勝てるという兆候があった。
●そして、この試合ではまた同じ戦術で戦うと、前回と同じ理由でそれが機能して、今回は勝利に繋がった。
(2)みんなが止めなくても止められなかった、チェルシーの強み
●Conte監督のチェルシーは秋からずっと3-4-3(3-4-2-1)のシステムでプレーしているが、その特徴が分かってもなかなか止められないというパターンが続いている。
●#26の『Foot! TUESDAY』、アーセナルに勝ったときに紹介したように、1つの強みはPedroとHazardのポジションである。
●FWでも無い、ウィンガーでも無い、MFでも無いが、一歩動けばどれにもなれる。
(英語では「three-quarter position/space」と呼ばれるようになりつつある。)
●相手にとって、一体誰が対応すれば良いかが混乱の原因となる。
●そして、もう1つの強みは、WBの上下である。攻撃のときは5トップ、守備のときは5バック、だから攻守ともにピッチ全体の幅を活かせる。
中盤: 万が一、高い位置でボールロストがあっても、カウンターされる前に相手ボランチに対して3対2
●20:04 Costaの前にMustafiがインターセプト。CoquelinがOxlade-Chamberlainへパス。
●20:07 Oxlade-Chamberlainがボールを受けると、アーセナルのボランチ2人を相手にチェルシーは3人(Matic・Kante・Pedro)も居る。3人がOxlade-Chamberlainを囲み、ボールを取り返す。
(その流れでチェルシーが再び攻撃へ。両WBは既に高い位置まで上がっている。)
トップ: 相手のSBが攻撃参加すると、カウンターでその裏を取り、相手CBと3対2
●29:25
Courtoisが素早くHazardへ投げる。アーセナルの最終ラインがすぐにピンチへ。HazardはMonrealとCoquelinを左サイドまで釣り出し、Costaへのパスで2人をかいくぐる。29:34これでCostaとPedroはCBになったOxlade-Chamberlainを相手に2対1。Costaがパスを出せば良いのに...
サイド: 5トップとして、どちらかのサイドで数的有利を作り、アーセナルの形を崩す・釣り出す
●1-0 GOAL
12:18 ボールが右サイドのMosesへ送られる。Monrealを相手に2対1になる為、Koscielnyがサポートすることを余儀なくされる。最終ラインがまた片方のサイドに釣り出される。
●12:24 この時点では、Monreal対Moses、Koscielny対Pedro、Mustafi 対Hazard、Bellerin対Costaとなっているが、左サイドのAlonsoが余ってフリー。Pedroがクロスを送る。
●12:26 フリーになったAlonsoをマークするべく、Walcottがダッシュして戻るが、セカンドボールにはAlonsoだけが反応して走り続ける。
さて、一体どうやって止められるのか?
●これまで、一番うまいチェルシー対策を練ってきたのはスパーズ。
●しかし、スパーズはプレミアリーグでは珍しく「同じレベルでチェルシーと戦える」チームというのもあり、フォーメーションをほぼマッチアップして勝負することが出来た。
●ユナイテッドにはその手が無かったかもしれない。
●だから、先月のFAカップ6回戦に続いて、モウリーニョがこの試合でも練った対策は、1対1の相手を決めて、極端なフォーメーションにてマンツーマンでマークすることだった。
●その中、一番分かりやすかったのはHerrera対Hazardのバトルだった。
●Hazardがどこに動いても、Herreraが必ずついていった。
(3)一番分かりやすかったのは、Herrera対Hazard
●1:05 ハーフウェイ付近の深いところまでHazardがポジションを下げても、Herreraがついていく
●1:58 マンツーマンのズームインした映像...2:03 ピッチの逆サイドまでついていく
●11:33 Hazardが中央で自陣内まで下がり、Herreraがついていく
●11:55 走りながらマンツーマンのズームインした映像
●17:05 ユナイテッドのボールロストからチェルシーがカウンター。珍しくHazardが無事にボールを受けることが出来るも、Herreraが素早くリカバリーして、パスをインターセプト。
●33:45-35:15 HerreraがずっとHazardにマンツーマンでついていく。ハードワーク付近で中央の位置から、左サイド、そして右サイドへ流れてもずっとついていく。チェルシーにとって、Hazardにパスを出すのが非常に困難となる。 (最終的にHerreraがHazardにファウルしてしまう。これが、この戦術の落とし穴である。FAカップでの対戦では、Herreraが退場となってユナイテッドが負けた。しかし、この試合では全体的にこの戦術が成功した。チームとして、うまく実践できた。)
●61:25 HerreraがHazaraに近くついていき、Maticのパスをクリア。サポーターが「Ander Herrera」と歌い出し、2人のズームインした映像へ。
2人の試合データ
●Hazard:シュート0本、チャンスメイク1回、ドリブル成功数0回、相手を交わす回数0回
●Herrera:シュート1本(1ゴール)、チャンスメイク2回(1アシスト)、タックル成功数4回(両チーム合わせて2位)、インターセプト回数4回(両チーム合わせて2位)
(4)黒板:しかし、Herrera対Hazardは 11分の1に過ぎず
システムとマンツーマン
●しかし、Herrera対Hazardのバトルはあくまでも全体の11分の1に過ぎなかった。
●全体が連動する戦術もこのゲームプランでは重要だった。
●Herreraとは逆サイドでは、DarmianはPedroを相手にして同じ仕事をしていた。
(PedroはHazardほどあっちこっち動かなかったので、Herreraほど目立ちはしなかったが、役割とポジションが同じだった。)
(19:33 PedroにDarmianがついて、HazardにHerreraがつくことにズームインした映像。)
●ユナイテッドのフォーメーションは4-4-2の一種ではあるが、6-2-2と呼んだほうが正解かな。
●その鍵を握ったのは、どこのポジションにも1対1でマンツーマンということ。
●チェルシーは普通は逆サイドのWBがフリーになるという特徴を持っているが、ここではYoungとValenciaが同じ幅でAzpilicuetaとMosesについていた。
●そして、中盤ではMaticとKanteを相手にPogbaとFellainiがマンツーマンでいった。
その目的・それを活かす為の連動したプレー
●ユナイテッドの前線にはスピーディーの2人が居る。その2人はチェルシーのCB3人にプレッシャーをかけて、ゆっくりパスコースを選ぶ時間を与えない。
●その状況の中、チェルシーは理想的にはショートパスを繋いでプレッシャーをかいくぐるところだが、ユナイテッドのマンツーマンによって、ショートパスの選択肢が全て止められている。
●だから、プレッシャーをかけられたチェルシーのCBやGKはロングパスを出すしかない。しかし、Diego CostaはユナイテッドのCBを相手に1対2になっているので、ボールが収まらない。
●そして、Hazardが万が一裏を取ったとしても、CBが1人余っているので安心だ。
●それに関して、両チームの最終ラインに大きな違いがある。どちらも1枚余っているが、Costaは1対2というのに対して、ユナイテッドが2対3なので負担の割合が違う。
●だから、ユナイテッドがボールを持つときは、LingardとRashfordが自由に裏やサイドまで走ったり、相手CBを釣り出すこともできる。
(5)ユナイテッド、チームとしての戦術
前半1分から、Lingard・RashfordがCHEのDFにプレッシャーをかけ、ロングパスを急がせる
●0:00 キックオフ直後にLingard・Rashfordが走り出し、David Luizにプレッシャーをかける。滑りながらロングパスを出すしかない。
●0:50 Lingard・RashfordがチェルシーのDF・MFにプレッシャーをかける。ロングでクリアすることを余儀なくされる。
代表的なシーン:マンツーマンでショートパスの選択肢を無くし、前線プレスで急がせ、マンツーマンで奪う
●8:08 チェルシーのDFがボールを持っている。この時点で、PogbaとFellainiの位置をハイライトしよう。それぞれKanteとMaticについているので、チェルシーが前にショートパスを出すことができない。David LuizはCahillに出すと、Rashfordがスプリントして寄せる。プレッシャーをかけられたCahillは急いでHazardに出すが、Herreraがついているので、インターセプトされてしまう。
あらゆるエリアで上記⑥で紹介した流れで、チェルシーにボールを長く持たせず、攻撃を一切させない
●1:35 チェルシーのスローイン。明らかにFellaini・PogbaがKante・Maticをマークしている。チェルシーは最終ラインとGKに戻すしかないが、そこでRashfordとLingardも待っている。簡単なショートパスを出すコースが全て止められている。
●4:30 ユナイテッドのポゼッションが長く続いても、形を保つ(つまり、全員が相変わらずマークする相手からあまり離れない)ように注意する。そのプレーの続きで・・・
4:52 De Geaが長くクリアすると、全員が相変わらずマークする相手に近くついている。パスの選択肢が現れる前にLingardがDavid Luizにプレッシャーをかけてボールを奪う。Rashfordのチャンスへ。
●9:20 Lingardのボールロストだが、Begovicのクリアがすぐに、相変わらずHazardをマークするHerreraにカットされてしまう。Costaは相手CBに対して1対2だったし、チェルシーにとって「out ball」が無い。
●18:45 PedroにマンツーマンでついていくDarmianが高い位置へ。ユナイテッドはスローインを獲得。Azpilicuetaはナーバスにクリアする。Costaはボールを受ける為にポジションを下げるも、Rojoがずっとついていく。(ここでBaillyが後ろに残りスペアマンになる。)
●23:48 PogbaにプレスをかけられたKanteは後ろ向きへ。David Luizは時間を与えられるが、ショートパスのコースが全て止められている。Costaへ低いコースのパスを出すが、Rojoが直ちにインターセプト。
2つの大きな戦術的要素、そして1つの例外が重なり、早い時間の1点目に繋がる
●6:35 ユナイテッドのボールロスト直後、PogbaがMaticへ、FellainiがKanteへついていくし、Herreraも相変わらずHazardにマークしている。だからKanteは急いでCostaに出すしかないが、Costaは相手CBに対して1対2になっているので、ボールをキープできない。
●6:49 その後、De Geaのクリアミスの為に、Herreraが例外的にHazardから離れてボールの方に行く。これはユナイテッドのプランから離れた、ギャンブルである。
●しかし、ハンド疑惑も有りながらボールをカットしてから、ユナイテッドのもう1つの戦術的要素がゴールに繋がる。チェルシーがポジションを引き上げている為、ユナイテッドは前線のスピードを攻撃に活かすことができる。RashfordがDavid Luizの裏を取って決める。
(6)サイドではいつものチェルシーの有利が無かった
●2:30 プレーがチェルシーの左サイドで混雑。普通はこの状況から逆サイドのMosesへ大きくサイドチェンジするところだが、Youngがそのコースをカバーしている。
●8:35 Valencia・Bailly はタッチライン付近で Azpilicueta・Costaを通らせない。逆サイドではYoungがMosesについている。ユナイテッドがボールを奪うと、Youngが走り出す。(ボールが来る前にプレーが止まってしまうが、ユナイテッドのWBがチェルシーのWBの裏を取る可能性はここで見える。いつも、チェルシーにとって有利なエリアが有利ではない。)
●15:50 Lingard・Rashfordの連携でチェルシーDFの形が崩れる。YoungがMosesの外側のスペースに入り、シュート(Rashfordにクロス?)。いつもだったらMosesがこのように相手の左SBの外側のスペースに入っているが、この試合ではYoungがMosesの外側のスペースを活かしている。
●16:35 Youngが左サイドを攻める。Fellainiへのクロスが失敗するが、逆サイドでValenciaも同時にワイドで攻撃参加している。両WBが同時に上がり、ピッチ全幅を活かすのは、普通はチェルシーの特徴である。
●27:25-28:10 ユナイテッドのカウンター。Youngは最初から左サイドでフリーだし、ボールを求める。攻撃がそのサイドまで展開され、そして逆サイドへ。Valencia・RashfordがMoses・Maticを交わす。すると、Youngが左サイドから中へカットインしてシュート。ここでまた、ユナイテッドは逆サイドのWBがフリーになっている。
●39:35 Cahillが左サイドで前へ運び、Rashfordが追いかける。Mosesが高い位置まで上がっているが、Valenciaがついているので、交わせる・パスを通せるわけがない。逆サイドでYoungもAzpilicuetaについている。
●40:55-41:30 Lingard・Young・Darmianが左サイドで攻撃。逆サイドへ展開し、Valencia・Rashford・Lingardが数的有利な状況を作る。RashfordのクロスがCahillに当たり、クロスバーの上。試合のこの段階では、スピードが若干落ちているが、両WBがピッチ全幅を活かしているし、サイドまで流れるFWが一緒に連携してチャンスを作る。
(7)チェルシーの優勝が分からなくなってきた?
Conte監督の試合後コメントが気になった
●"They [United] showed more desire, more ambition, more motivation. It is very simple and in this case the fault is with the coach. It means the coach was not able to transfer the right concentration, desire, ambition to win this game."
「ユナイテッドは我々よりも意欲も野心もモチベーションも高かった。非常に簡単な説明だが、これは監督の責任である。監督としてこの試合で勝つ為の集中力や意欲、野心を選手たちに与えることができなかった。」
●The league is open and we have a 50% [opportunity] to win the league.
「リーグの優勝争いがオープンだ。我々は優勝するチャンスが50%だ。」
●"It won't be easy because I think Tottenham are now the best team. They are in good form and they have a lot of enthusiasm. They are feeling the possibility to write history and it is important for us to know this."
「今、スパーズが最強のチームだと思っているので、我々にとっては簡単ではない。スパーズは調子が良いし、熱意を持っている。彼らは歴史に名を刻む可能性を感じているだろうから、我々はそれを覚えておかないといけない。」
出典:Guardian紙
しかし、「FiveThirtyEight.com」というデータサイトによると、チェルシーの優勝する可能性がまだ85%
●これまでの試合成績や残りのカードだけではなく、試合内容のあらゆるデータに基づいて算出した「期待値」をベースに確率を計算する方式である。
●このサイトによると、チェルシーの優勝する可能性が85%。スパーズは14%。その他は1%。
出典:FiveThirtyEight.com
残りのカードを見たら、チェルシーのほうがずっと楽なはずだが...
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