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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年07月12日

J2第20節 京都×栃木@西京極

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201107101715000[1]nisikyo.jpgJ1からの降格チームであり、新監督に日本代表のコーチを務め、甲府を昇格に導いた経験を持つ大木武氏を招聘したことで、今シーズンの有力な昇格候補と目されていた京都が苦しんでいます。現在は直近の連敗含む3戦勝ちなし。トータルでも3勝3分け8敗の17位と、まさかの下位に低迷。何とか浮上のキッカケを掴みたい所でしょう。一方、8勝4分け2敗の2位と昇格圏内をキープし続けている栃木は、ここ7試合負けなしと、もはや上位の貫禄すら付いてきた印象。対照的な両チームの激突は、18時キックオフでも暑さの残る西京極です。
立ち上がりから、なかなかお互いに攻撃の手数を出し切れない中、7分には京都に決定機。渡部博文の「安易に出したパス」(松田浩監督)をかっさらった京都は、高い位置からカウンター。伊藤優汰のラストパスに、内藤洋平がコースを狙ったシュートは右ポストを直撃。中山博貴がこぼれに詰めるも、カバーに入った栃木DFが何とかクリアで逃れましたが、栃木からすれば嫌なゲームの入り方になってしまいます。
ただ、それでもチャンスを創り出すのは勢いの為せる業か。10分には角度のない所から、チェ・クンシクがシュートを枠へ飛ばすと、2度目のチャンスは確実に。15分、右サイドから杉本真が入れたアーリークロスを、うまい体の使い方で収めたチェ・クンシクは、コースを狭めるべく飛び出したGK水谷雄一の股間を射抜く、冷静な一撃。アウェイチームが、先にゴールを記録しました。
さて、決してリズムは悪くないにもかかわらず、先制を許してしまった京都ですが、失点以降もいい形は創ります。20分、エリア内で収めたドゥトラのシュートは、わずかに枠の左へ。22分、中盤ダイヤモンドの右に入った駒井善成が右へ流し、3トップの右を務める伊藤を追い越した、3バックの右を務める酒井隆介のクロスはDFがクリア。23分、駒井が右へ振ると、伊藤はピンポイントで折り返し、力んだドゥトラのシュートはヒットしませんでしたが、完全に栃木を崩してチャンスを量産します。
京都が攻撃的に出ていけた理由は主に2つ。1つは「こぼれをドゥトラに拾われて、ターンされることが多かった。彼をフリーにし過ぎた」と栃木の松田浩監督が話したように、チームトップスコアラーの久保裕也が期末テストのために試合を欠席する中で、3トップのセンターに入っていたドゥトラが時には中盤まで降りてボールを引き出したりと、広範囲に渡って基点創りに奔走。「CB2人がドゥトラへチェックに行かず、見ているシーンは問題だった」と松田監督も話した部分については、当のCB大和田真史も「ドゥトラ1人にラインを下げられることが多かった」と振り返るなど、ドゥトラへの対応で後手を踏んだ感は否めません。
もう1つは、「ドゥトラはCB2人が見て、3トップのサイドはSBに任せた」(大和田)栃木に対し、特に3トップの右に入った伊藤が自由を謳歌。伊藤はかなりワイドに張り出していましたが、「駒井や内藤さんがドゥトラとの間に入って、受けたボールを僕にくれたのでやりやすかった」とは本人。大和田も「伊藤にボールが収まっているイメージはあった」と認めています。
結果としてスコアは0-1で栃木がリードしていたものの、「あまりにも前半からミスが多かった」(松田監督)栃木に、「今まで出たゲームの中で、前半は一番楽しかった」と伊藤が話した京都。結果と内容が相反する形で、45分間は終了しました。
後半は負傷の影響と、「3バックの外側をうまく使ってくれれば」という指揮官の思惑で、栃木はスタートからチェ・クンシクと廣瀬浩二をスイッチしましたが、流れは変わらず。57分には、またも右サイドを崩して獲得した右CK。チョン・ウヨンのボールはDFがクリアしましたが、拾った中山の鋭いクロスを秋本倫孝が折り返し、ドゥトラのヘディングはGKキャッチ。61分には中山、内藤、駒井と繋いで、伊藤の狙いすましたシュートはバーの上へ。やや膠着状態ではありましたが、ペースは京都が握っていました。
ところが伊藤に対して「だんだんボールがもらえず、仕掛ける位置が低くなってきた」と判断した大木監督が、62分にその伊藤を下げて中村太亮を送り出すと、「向こうの選手交替で流れがこっちに来たかなと思った」と松田監督も言及したように、流れが一変。64分にリカルド・ロボがエリア内でさすがの切れ味から枠内シュートを飛ばすと、杉本に替えて松田監督が2枚目に切った水沼宏太というカードも加速装置に。67分には、その水沼が右サイドで素晴らしい縦パス。走った廣瀬のクロスにロボが合わせるも、ボールはゴール左へ。74分、鋭い出足でボールカットした本橋卓巳がそのままボレー。栃木が攻勢を強めます。
大木監督も74分には安藤淳に替えて中村充孝を投入。75分には水沼の左クロスから高木和正が、76分には高木のCKから大和田が、それぞれチャンスを外し、以降は京都も持ち直しますが、思いの外に失われた“12分間”の影響は大きく、決定的なチャンスは創れません。
そして終了間際に迎えた京都のラストチャンス。90+2分、自ら倒されて獲得したFKのスポットに立ったのはドゥトラ。目的地までは約25m。静まり返る西京極。走り出す9番。すると、ボールは左に弧を描いて描いて、目的地へ見事到達。爆発するピッチ、ベンチ、スタンド。「最後までよく戦ったと思う」と大木監督も語った京都が劇的な同点弾で、勝ち点1を強奪する結果となりました。
栃木は「全体としては低調な出来」と松田監督が渋い表情を浮かべたように、普段はあまり見られないようなイージーミスが多く、自ら流れを手放してしまったような印象です。ただ、それでもアウェイで勝ち点1を積み重ねたのは、内容を考えれば十分な成果。上位チーム特有のしぶとさを感じました。
京都は「悪くないゲームだった」と大木監督が話した通り、大半の時間で主導権を握ってゲームを進めており、最初の決定機をモノにしていれば、あるいは大勝の可能性もあったはず。それでも最終盤に追い付いてのドローは、今後への“キッカケ”として十分な要素でしょう。駒井、伊藤、酒井とルーキーも確実に計算できる戦力へと成長しているだけに、一度波に乗り切ればまだまだ上位への道は閉ざされていないと思います。   元・AD土屋

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