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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年07月13日

J1第4節 横浜FM×山形@ニッパ球

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201107140023000[1]mitsuzawa.jpg破竹とも言うべき4連勝で、順位も2位まで上がってきた横浜。リーグ2番目となる失点の少なさも目立ちますが、ここに来て3戦連発と調子を上げてきた渡邉の活躍も見逃せません。一方、4試合白星から見放されている山形は、3試合続けてのノーゴールが象徴するように、ここまでわずかに10得点と深刻なゴール欠乏症。降格圏脱出に向けて、得意の三ツ沢から勝ち点を持って帰りたい所です。
公式記録の27.2度という数字よりは涼しさを感じる中でキックオフを迎えたゲームは、電光石火の先制劇。中澤のクリアを大黒が頭で落とし、谷口がスルーパスを送ると、DFの間を擦り抜けた渡邉は独走。GKとの1対1も確実に右スミへ制し、スコアボードに“1”が躍ったのはわずか開始17秒。覚醒したストライカーの4戦連発弾。両チームの今をあまりにもハッキリと映し出すような衝撃。あっという間に点差が付きました。
さて、いきなり嫌な形でリードを許してしまった山形でしたが、10分には秋葉のパスから今シーズン初スタメンとなった宮崎が左足ミドルでチーム1本目のシュートを放つと、直後にも下村が粘って左へ回したボールを太田が繋ぎ、宮沢がGKにキャッチされたもののシュート気味の鋭いクロス。13分には石川の右FKから、こぼれを左へ展開すると、宮崎のクロスに合わせた太田のボレーは横浜の小林に体でブロックされるも枠内へ飛ぶなど、チャンスを連発。ゲームの入りは最悪でしたが、全体のラインもコンパクトに保ち、ボールアプローチでも上回った山形にペースは傾きます。
この流れに関しては、確かに山形もよかったのですが、「先制でちょっと緩んだのか、特にパスミスが多かった」と木村和司監督が苦虫を噛み潰したように、横浜の低調なパフォーマンスに因る所も大。「自分たちの攻撃でミスがあって、そこからカウンターを食らってた」とは中盤ダイヤモンドの底に入った小椋。とりわけ右サイドに位置する中村は、普段のクオリティから考えれば信じられないようなイージーミスの連続。途中からは完全に山形のボール奪取のターゲットになってしまい、34分にはその中村のパスミスをかっさらった宮崎が右サイドからドリブルで切り込み、フリーの太田はシュートを大きくふかしてしまったものの、決定機にまで結び付けられてしまいます。
さらに37分には、エリア外でルーズボールを収めた秋葉がハードヒットさせた左足ボレーは、クロスバーにもハードヒット。そもそも石川が戦列復帰したことで、山形は「左サイドからの攻撃はうまくできていた」(宮崎)上に、横浜はそのサイドでのボールロストが多い状況に、木村監督もたまらず2トップ下の谷口と中村を入れ替える処置。リードは横浜でしたが、ゲームの主導権は山形が握って、最初の45分間は終了しました。
後半はスタートから膠着した展開ながら、リズムは変わらずやや山形。55分には、右サイドから上がった園田の高精度アーリークロスに、飛び込んだ太田はわずかに届きませんでしたが、右サイドも活性化。「相手の思惑通りに進んでいないのは感じてた」と下村も振り返ります。
すると、57分にはやはり左サイドからチャンスメイク。秋葉が溜めて溜めて縦へ送ると、宮沢はDFとGKの間にグラウンダーのクロス。流れたボールを拾った宮崎が思い切り良く右足を振り切ると、軌道は枠を外れていましたが、ボールスピードが速かったために中澤へ当たり、そのままゴールへ吸い込まれます。「とりあえず蹴ったら、当たって入っちゃったみたいな。ラッキーでした」と本人も語った通り、確かに運も味方しましたが、流れを見れば必然とも言うべきゴール。スコアはタイに引き戻されました。
先に動いたのは木村監督。63分に中村と大黒を下げて、小野とキム・クナンを同時投入。なかなか上がってこない全体の機動力へてこ入れを図ります。70分には横浜に決定的なチャンス。小野がドリブルから左へ振ると、そこにはフリーのキム・クナン。ところがフィニッシュは、飛び込んだ山形DFが懸命のブロック。絶好の得点機も生かせません。
こうなると、「足が相当止まっていた」(下村)横浜に対して、山形がラッシュ。73分、石川のピンポイント左クロスに太田が合わせたヘディングは、今日2回目のクロスバー直撃。76分、秋葉の巧みなヒールパスから、追い越した石川のクロスはわずかに中央と合わず。78分、反応の鈍い2人の相手を尻目に、右サイドの深い位置でルーズボールを奪った大久保は中へ。フリーで走り込んだ下村のシュートはバーを越えましたが、勢いはアウェイチームにありました。
そんな中、山形は78分に「彼のクロスを考えると1枚前で使いたかったが、首が痛いということで」(小林監督)石川と小林亮をスイッチ。同時に園田と宮本も入れ替え、「守備的にできる選手」(同)を両SBへ配置することで、指揮官は少なくとも勝ち点1は確実に手に入れたい采配を奮います。
お互いに悠、アーリアジャスールと“長谷川”を3枚目のカードとして切り合い、迎えた4分の追加タイムも着々と経過。三ツ沢をドロー決着の雰囲気が支配する中、94分30秒を回った、まさにラストプレー。カウンターから獲得した右CK。兵藤が蹴ったボール。競った2人のDFより高く高く舞ったキム・クナン。頭にヒットした球体は左のポストへぶつかり、転がり込んだ行方はトリコロールの咆哮。昨年在籍したものの、真価を発揮したとは言い難かった古巣を、絶望に突き落とす痛烈な一撃。勝ち越しゴールと同時にタイムアップ。「最初の15秒と最後の15秒だけのゲーム。こういう勝ち方もあるんだな」とは木村監督。苦しみながらも、何とも好調のチームらしい勝負強さを発揮した横浜が、着実に勝ち点3を積み上げる結果となりました。
「中身は何もない。結果オーライにしちゃいけん」と指揮官も吐き捨てた横浜は、確かに見るべき部分の少ない90分プラスアルファに。「途中から4-4-2のドイスボランチにして、自分たちもブロックを作った方が、こういう相手にはバランスが良くなっていたかもしれない」と小椋。その見方は一理あるように感じました。
敗れた山形は、率直に言って「もったいない試合」(小林監督)の一言。2度のクロスバー直撃など、ツキに見放された面もありました。ただ、最後の失点の伏線になったのは、少し雑な攻撃から食らったカウンター。「バランスをもう少し考えていれば勝ち点1は取れたはず」(小林監督)なのも確かであり、ディテールではあるものの、だからこそ“3”なのか“1”なのかを突き詰めないと、結局“1”を獲得するのも難しいという厳しい現実を、改めて痛感させられるゲームになってしまいました。   元・AD土屋

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