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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年07月31日

J1第19節 川崎×浦和@等々力

foot!
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201107310548000[1]todoroki.jpg2005年3月12日。J1再昇格を果たした川崎が等々力に浦和を迎え、一時は2点をリードしながら終了間際に闘莉王の同点弾を食らい、勝ち点1を分け合った激闘から早6年。両者が対峙するゲームは常にスペクタクルな展開になる印象が、私にはあります。順位こそ5位と12位の対戦ですが、浦和は現在公式戦8試合負けなしと好調をキープ。好バウトの予感が漂う一戦は、キックオフ直前から雨足が増してきた等々力です。
立ち上がりから綺麗な攻撃を繰り出したのは川崎。3分、小宮山のクサビを小林はダイレクトで落とし、左に開いてジュニーニョのリターンを受けると中へ。DFのクリアを登里がシュートに変えたボールは枠を外れますが、しっかり崩してチャンスを創出します。5分には菊地が左へ正確なフィードを送り、ジュニーニョのクロスはファーへ走り込んだ田坂にピタリ。ボレーはヒットしなかったものの、加速する川崎の勢い。
ところが先制ゴールは唐突に。10分、山田直輝が左へ振ると、柏木は絶妙の浮き球スルーパス。菊地と小宮山の間から一歩前へ出たマルシオ・リシャルデスがシュート体勢に入り、小宮山が懸命に足を伸ばすと、ボールはゴール左スミへ吸い込まれてしまいます。ただ、確かに結果はオウンゴールでしたが、「ゴールに絡むプレーがしたいと思っていた」と話した柏木のパスで勝負あり。浦和が“個”の閃きで1点のリードを奪いました。
さて、エアポケットを突かれる形で失点を許した川崎は、ビハインドにもかかわらずラッシュ継続。11分には小林が繋ぎ、ジュニーニョのラストパスに登里が抜け出すも、飛び出した浦和GK加藤がキャッチ。12分にもジュニーニョとルーキーながらドイスボランチの一角を担う大島僚太のパス交換から、最後にジュニーニョが放ったシュートはスピラノビッチが体でブロック。浦和ゴールへ襲い掛かります。とりわけ、川崎で活性化していたのは左サイド。「(浦和から見た)右サイドは注意しろと言われていた」とは、右SHに入ったマルシオ・リシャルデスですが、その言葉通りに小宮山の果敢なオーバーラップに浦和が手を焼くシーンもしばしば。ゲームはかなり動きのある展開となりました。
ただ、15分を過ぎると浦和がボールを保持する時間が長くなり、同時にゲームは膠着。この理由としては、「コンディションがよくなく、動き切れていなかった」とペトロヴィッチ監督も評した1トップのデスポトビッチにボールが入らず、その下に位置する山田直輝も“受けて捌いて”にはさすがの才を発揮しますが、ゴールへ向かうプレーにまでは至らず。キープしている側にシュートまでの道筋が見つからず、自然とゲーム全体の動きが少なくなっていった印象です。
それでも30分には止まらない小宮山が、左サイドをスルスルと持ち上がって2人をかわし、枠内ミドル。44分にも小宮山のパスから、登里が同じロンドン世代の高橋をぶち抜いて上げたクロスに、走り込んだ山瀬のヘディングはバーの上へ。45+2分には浦和も小宮山のボールロストを起点に、デスポトビッチとのワンツーからマルシオが強烈な枠内シュートを放ちますが、川崎GK相澤に阻まれて追加点とはいかず。45+3分には再び左サイドの川崎。ジュニーニョのクロスに、再びチャレンジした山瀬のヘディングはバーの上へ。スコア上はアウェイチームが上回りましたが、内容はホームチームが一方的に攻め立てるような形で、前半は終了しました。
後半は開始からカードを切った相馬直樹監督。大島に替えて、病み上がりの中村を強行投入。さらに縦へのパワーを強めに掛かります。対する浦和は「プレスを掛けるラインを高めにして、真ん中が数的不利になる前に潰しきろうという形」(ペトロヴィッチ監督)をハーフタイムに指示されますが、さほどうまくいかず、やはり川崎が攻勢。
52分にはジュニーニョのドリブルがこぼれた所を、登里が枠外もシュートチャレンジ。同じく52分、中村のパスをジュニーニョがヒールで繋ぎ、右へ流れながら放った山瀬のシュートは加藤がファインセーブ。53分、中村の左CKは小林が頭にしっかりヒットさせるも、加藤が正面でキャッチ。惜しいシーンを連続して創ります。
54分には浦和に決定機。カウンターからマルシオが右へ展開し、原口のクロスはファーで待っていた山田直輝へ。ワントラップから冷静に繰り出したループは、詰めていたデスポトビッチがオフサイドを取られたため、「2-0にできるチャンス」(ペトロヴィッチ監督)は生かせませんでしたが、1つカウンターの脅威は突き付けます。
川崎も58分、田坂が相手のハンドを誘発させて奪ったFK。自ら直接狙ったボールはクロスバーにヒットし、スタンドをどよめかせるも、63分には浦和がこの日一番のスムーズな連携からチャンス。山田直輝が左へボールを送ると、柏木のパスをマルシオはダイレクトで捌き、デスポトビッチの左クロスはDFに当たり、飛び込んだマルシオの頭にも当たって、最後は相澤がキャッチしましたが、サイドをうまく攻略してみせます。
しかし、65分に山田直輝が田中と交替で下がると、直後の柏木が蹴ったFKから、こぼれを入ったばかりの田中がわずかにクロスバーの上へ外すシュートを放ちはしましたが、リンクマンを失ったことで、浦和の攻撃は停滞。逆に川崎は68分に山瀬とのスイッチでピッチへ登場した楠神が、持ち前の技術とスピードで攻撃の加速スイッチに。
79分には相手のCKから一転カウンター。ボールを持った楠神は長い距離を持ち上がりながら、最高のスルーパスを右へ。抜け出した田中裕介のシュートは、しかしここも加藤がファインセーブ。さらに83分、中村の右CKからこぼれたボール。拾った小宮山の豪快なミドルは、再度加藤がファインセーブ。トップ昇格9年目にしてリーグデビューを果たし、定位置まで掴んだ26歳が好守連発。まさに最後の砦として、「ボールを動かしながら、ゲームの主導権を握ることができた」(相馬監督)川崎の前に立ちはだかります。
90+6分のラストチャンス。福森晃斗の右CKは小林まで届きましたが、少し高さが合わなかったヘディングはヒットせず。「内容は川崎の方がよかった」と指揮官も認めながら、加藤とスピラノビッチを中心に守備の集中が切れなかった浦和が、冒頭に紹介したゲーム以来続いていた等々力でのリーグ戦無敗記録を7に伸ばして、勝ち点3を奪取する結果となりました。
勝った浦和は総シュート5本、枠内シュート2本で勝ち切る効率のよさ。「守らざるをえない形」(ペトロヴィッチ監督)の中で、加藤のファインセーブ連発も光りましたが、同様にスピラノビッチの体を張ったパフォーマンスも出色でした。「チームの中で迷いがなくなってきている」とは柏木。結果が内容を向上させるか。今後の浦和に注目です。
敗れた川崎は決定機も創り出し、「十分なボリュームを持ったゲームができた」(相馬監督)のは確か。正直、今日のゲームはツキに見放された印象で「サッカーとはこういうスポーツ」という指揮官の言葉に頷かざるを得ない気がしました。    元・AD土屋

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