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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年07月28日

第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準々決勝 神戸U-18×川崎U-18@敷島

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201107271357000shikishima.JPG第2試合はDグループを1位で通過した川崎フロンターレU-18と、同じくDグループを2位で通過したヴィッセル神戸U-18の対戦。実は、クラ選準々決勝のレギュレーション上、このゲームは1位全体の2位と2位全体の1位が激突するというコパ・リベルタドーレス方式を採用しているため、2日連続で同じチームが対戦するという“妙”が起きた訳です。
ちなみに前日のゲームは既にほとんどグループ突破を決めていたため、一部の主力を温存した神戸に対して、「ウチはいつもベストメンバーですよ」と安部一雄監督が笑った川崎が2-0で勝利しています。このゲームは4人の主力をスタメンに復帰させた神戸ですが、“小メッシ”こと松村亮(2年・宇治FC)が出場停止、右サイドの切り込み隊長でもある高見啓太(3年・たつの龍野西中)をケガで欠いての一戦に。一方の川崎はスタメンに1年生3人が名を連ね、攻撃的な中盤には中学3年生のレフティ三好康児(川崎フロンターレU-12)を起用。かなり若いチーム構成となりました。
ゲームは、まず神戸が機先。2分に前田凌佑(2年・ヴィッセル神戸JY)、和田倫季(2年・ヴィッセル神戸JY)と繋いで、内田祐介(2年・FCフレスカ神戸)のシュートはDFにブロックされましたが、3分にも宮村哲朗(2年・ヴィッセル神戸JY)のラストパスから、内田が川崎GK飯田和幸(3年・川崎フロンターレU-15)にファインセーブを強いる枠内シュートを放つなど、攻勢に出ます。するとこのCKは和田が素早く中へ。ニアでいち早くボールへ反応した免田朋己(3年・ヴィッセル神戸JY)のヘディングはゴール右スミへ吸い込まれ、早くもスコアが動きました。
さて、いきなり追い掛ける展開となった川崎。システムは中盤が正三角形の4-3-3。攻撃の形としては中盤から早めにサイドへ付けて、そこからワイドトップが縦に勝負というのが多かったものの、太田賢吾(1年・川崎フロンターレU-15)と坂口正高(1年・川崎フロンターレU-15)で組む170センチ台CBコンビも繋ぐ意識が見られ、少しずつ落ち着きを取り戻します。
10分には三好のパスから、左トップの平敷兼(3年・川崎フロンターレU-15)がカットインシュート。19分には右トップの伊藤大夢(2年・川崎フロンターレU-15)がドリブルで2人をぶち抜き、折り返しは相馬健一朗(1年・川崎フロンターレU-15)に合わなかったものの、サイドからチャンスを創出。少しずつ展開は拮抗してきました。
神戸は「和田と内田にボールが入らなかった」と野田監督が振り返ったように、チームの持ち味である“ライン間に潜って受けてターン”の回数が少なく、どちらかと言えばチャンスは「ウチの戦術の1つ」と野田監督も認める岩波拓也(2年・ヴィッセル神戸JY)のフィードから。それでも27分には和田が高い位置でボールを奪い、再三のオーバーラップが目立っていた山田真己人(3年・FCライオス)のシュートはDFに当たってクロスバーにヒット。35分には和田のスルーパスから井上哲大(2年・厚木森の里中)が抜け出すも、飛び出した飯田がファインセーブで阻止。41分、内田のパスを受けた小林成豪(3年・ヴィッセル神戸JY)は切り返しで1人かわしてシュートを放つも、DFが執念でブロック。神戸は時折見せる個の輝きでいいシーンを創りましたが、「ボールは支配されたが、肝心要の所は防いでいた」と安部監督が振り返ったように、川崎も土俵際で踏ん張ります。前半は神戸が1点をリードしてハーフタイムに入りました。
後半もまずは47分に神戸。前田がバーを越えるドリブルシュートを放ちますが、先に決定的なシーンを迎えたのは川崎。52分、太田が右へ振ると、伊藤は得意のドリブルで縦へ運んでクロス。相馬の負傷退場を受けて、3トップ中央に入っていた平敷が出した頭は数十センチの差で届かなかったとはいえ、あわや同点というシーンに少なくない人数が詰め掛けた川崎サポーターも頭を抱えます。
直後には神戸も宮村とのワンツーから、飛び出したGKの鼻先で浮かせた内田の絶妙ループを放ちますが、わずかにクロスバーを越え、突き放し切れずにいると、流れは徐々に川崎へ。53分にはルーズボールを拾った三好が、大きく枠の上へ外れたとはいえ、積極的なミドルにチャレンジ。さらに60分には三好が球足の速いスルーパスを通すと、平敷はシュートも打てそうでしたが右へパス。DFがクリアしたボールは小さく、大野宰(3年・川崎フロンターレU-15)はフリーでシュート。ボールは神戸GK杉本康輔(3年・FCフレスカ神戸)の正面を突いたものの、このゲーム最大の決定機を創出しました。
この時間帯、野田監督はテクニカルエリアまで飛び出し、「相手と同じペースにはならない。バタバタしないで繋ぐ、繋ぐ」と指示。これについて指揮官は「早めにボールを前へ入れる時は、ウチの悪い時」と説明。神戸のリズムは明らかに崩れていました。一方の川崎で、この時間帯に躍動したのは三好。今年はずっとU-18でプレーしているという14歳は「当然ユースの子と同じ要求はしている」(安部監督)中でも、3歳近い年齢差を感じさせないパフォーマンスを披露。特にセットプレーでは鋭い弾道のキックを連発するなど、「クラブとしても彼がどうなっていくかは、非常に興味深く見守っています」という安部監督の言葉にも頷けるプレーに、今後の成長がかなり楽しみになりました。
そんな中、ゲームを決めたのは世界を経験してきた17歳。70分に内田が獲得したFK。やや左、ゴールまで25mくらいの距離から岩波が直接狙ったボールは、ゴール左スミへ一直線。GK一歩も動けず。「欠かせない存在」(野田監督)が攻撃でも威力を発揮して、待望の追加点。粘る川崎も2点のビハインドを覆す力は残っておらず、前日のリベンジを果たした神戸が、「やはり三ツ沢までは行きたかった。僕の中では、やはり横国より三ツ沢」と語る、元横浜マリノスの野田監督に準決勝での三ツ沢凱旋をプレゼントする結果となりました。
勝った神戸は必ずしも思い通りに進められたゲームではなかったように感じます。ただ、それでもしっかり勝ち切れるのは総合力の高さでしょうか。次は難敵の名古屋グランパスU18ですが、「いつもやっているサッカーを変えるつもりはないので」と野田監督。クラブ史上初となるベスト4進出の勢いを駆って、頂点まで届くかどうかは非常に楽しみです。
敗れた川崎は「内容的には完敗。選手は昨日で燃え尽きていたかもしれない」と安部監督は語りましたが、随所にここまで勝ち上がってきた理由は見えました。下級生が多く出場しているということは、それだけのびしろもあるということ。「大会通じてよくやってくれました。ベスト8は立派な成績かなと思います」と指揮官は笑顔で話を締め括ってくれました。    元・AD土屋

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