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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年07月30日

第35回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会準決勝 名古屋U-18×神戸U-18@三ツ沢

foot!
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201107291857000[1]mitsuzawa2.jpgセミファイナルの第2試合は、ガンバ大阪ユース、サガン鳥栖U-18、三菱養和が居並ぶBグループを首位で抜け出し、準々決勝では優勝候補の呼び声も高かったコンサドーレ札幌U-18を、エース高原幹(3年・名古屋グランパスU15)の2ゴールで振り切った名古屋グランパスU18と、2日連続で川崎フロンターレU-18と当たり、1次ラウンドでは敗れたものの、準々決勝では快勝を収めて「チームとしても、個人としても目標だった」と元横浜マリノスの野田知監督が話す三ツ沢まで辿り着いたヴィッセル神戸U-18の対峙。両者は練習試合も含めて、今年度初めての顔合わせです。
再び空を覆い始めた厚い雲から、雨粒が落ち始める中でキックオフを迎えたゲームは、まず名古屋に決定的なシーン。2分、右サイドでボールを収めた都竹俊優(3年・名古屋グランパスU15)が中へ送ると、高原は鋭いターンから左足シュート。ボールはバーを越えますが、いきなりチャンスを創出します。
序盤の名古屋で目立っていたのは、前述の都竹と高原。ボールを奪ったら比較的早く前に付けようというチームの狙いが見て取れる中、レフティで右SHの都竹はキレのあるドリブルでアクセントに。また、高原はボールを受けたら常に前を向くことが最優先事項になっている印象で、この2人の存在が、チームの攻撃におけるベクトルを縦方向へ導いていたように感じました。
14分には神戸のCB岩波拓也(2年・ヴィッセル神戸JY)がミスパス。奪った高原からパスを受けた森勇人(1年・名古屋グランパスU15)のフィニッシュはバーの上へ。21分も相手のミスパスから、高原のドリブルシュートは枠の右へ。この時間帯は名古屋ペースで推移していきます。
さて、ボールキープの時間は長いものの、なかなか攻撃の形を創り出せない神戸は、「立ち上がりはバタバタしちゃった」と野田監督も認めたように、イージーなミスを連発。普段はミドルレンジもロングレンジもほとんどミスなくパスを通す岩波にも、強くなってきた雨とピッチコンディションもあってか、14分のシーンのように信じられないようなパスミスが何本か見られ、後方からのビルドアップもままなりません。加えて、出場停止から帰ってきた松村亮(2年・宇治FC)も、持ち味の“間”で受けるプレーが影を潜め、「ブレーキになってしまった」(野田監督)感が。苦しい時間が続きます。
ところが、そんな悪い流れを一変させたのは、やはり頼れるこの男。25分、右寄りでゴールまで30m強のFK。角度的には左利きに任せるような位置でしたが、短い助走から岩波が直接狙った鋭いシュートは、ゴール前の混線でわずかに角度が変わり、そのままゴールネットへ吸い込まれます。それまでのミスを帳消しにする、CBの2戦連続FK弾。劣勢の神戸が先手を取りました。
ここからは一気に形勢逆転。「本人がやりたいと言うので」(野田監督)ケガを押して出場していた右SHの高見啓太(3年・たつの龍野西中)と、左SH小林成豪(3年・ヴィッセル神戸JY)の躍動で、両サイドを制圧。27分には小林の左クロスからチャンスが生まれ、最後は松村のシュートがバーの上へ。33分、山田真己人(3年・FCライオス)の鋭いクサビを内田祐介(2年・FCフレスカ神戸)が収め、松村のラストパスから、前田凌佑(2年・ヴィッセル神戸JY)のミドルは枠の上。直後も神戸は松村が左へ展開し、小林のクロスを名古屋DFがクリアしたボールは、わずかにクロスバーの上に外れる、あわやオウンゴールという弾道。サイドアタックに活路を見出だした神戸がリードとペースを引き寄せて、前半は終了しました。
後半は立ち上がりから一進一退の攻防。50分は神戸。高見が右サイドを駆け上がり、中へ送ったボールを松村、前田と回し、小林のシュートはサイドネットの外側へ。52分は名古屋。森が左へ流したボールを、SBの佐藤和樹(3年・名古屋グランパスU15)はグラウンダーでクロス。ニアへ走り込んだ高原は、神戸GK杉本康輔(3年・FCフレスカ神戸)ともつれ、シュートは打てず。55分は神戸。高見が一度はカットされたボールを自ら奪い返し、右からのカットインシュートはわずかに枠の右へ。57分は名古屋。森のパスから高原のドリブルシュートは、杉本がファンブルしながらも、何とかキャッチ。交互に攻守が入れ替わります。
59分には名古屋の高田哲也監督が先に交替策。左SHの北川柊斗(1年・名古屋グランパスU15)と右SBの加藤翼(3年・名古屋グランパスU15)に替えて、岩田考弘(2年・名古屋グランパスU15)と野崎椋(2年・名古屋グランパスU15)をそのままの位置に同時投入。サイドのテコ入れを図ります。ところが、その交替から3分後に次のゴールを奪ったのは神戸。62分、もはやキレキレの高見が右サイドで思い切りよく仕掛け、そのままシュート。名古屋GK伊藤悠稀(3年・名古屋グランパスU15)が弾き、リバウンドを拾った小林のシュートも伊藤はブロックしましたが、さらに詰めた内田がプッシュ。2点のアドバンテージを獲得しました。
苦しくなった名古屋は、73分に高原、75分に岩田と惜しいシュートシーンを創出すると、195センチの超長身CBハーフナー・ニッキ(2年・名古屋グランパスU15)を最前線に上げて、ボランチのキャプテン奥山政幸(3年・名古屋グランパスU15)が最終ラインに下がる、3-3-2-2に近い形で最後の勝負に出ます。
これに対して、神戸は「とにかくセカンドボールを拾うこと」(野田監督)を徹底。さらに84分には松村を下げて、「守備を頑張れる」(同)井上哲大(2年・厚木森の里中)を送り込むなど、万全を期して迎え撃つ態勢に。それでも195センチのハイタワーは強烈。87分、野崎のロングフィードをハーフナーがうまく落とし、裏へ飛び出した高原はGKの頭上に浮かしたループで、神戸ゴールを攻略。1点差に詰め寄ります。
もはやなりふり構わない名古屋は、88分に188センチの足立智紀(3年・吹田JFC千里丘)まで投入して、とにかくパワープレー。89分には佐藤の左アーリークロスがハーフナーの頭に合い、杉本がキャッチしましたが、何かが起こりそうな雰囲気は十分。勝利を目前に苦しい神戸はファウルが増え、何度も「こちらからチャンスを与えているような」(野田監督)形で、FKを浴びてしまいます。ただ、同様に焦りを隠せない名古屋もチャンスには結び付け切れず、三ツ沢に鳴り響いたタイムアップのホイッスル。神戸が99年にJユースカップを制して以来の全国制覇へ王手を掛ける結果となりました。
名古屋は昨年同様に準決勝で1点差の敗退。高原や都竹などタレントは擁するものの、ここまで勝ち上がってきた他の3チームに比べると、攻撃の明確な色は見えづらかったかもしれません。勝った神戸は、会場や日程の妙で今月だけで3試合を見ましたが、本当によくまとまったチームだと思います。中でも、やはり岩波とキャプテンの仲島義貴(3年・ヴィッセル神戸JY)のCBコンビはこの世代屈指の安定感。ファイナルで激突する異能集団の東京V攻撃陣とどれだけ渡り合えるかは、非常に楽しみです。素晴らしいゲームになることを期待したいと思います。     元・AD土屋

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