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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月29日

J2第2節 千葉×湘南@フクアリ

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201106300018000[1]chiba.jpg前節、栃木との頂上決戦は激闘の末にドロー。首位奪取とはいかなかったものの、絶対的なターゲットであるオーロイを欠きながらも、代役の久保裕一が奮闘を見せ、一定以上の内容を保っていたことは、千葉にとって1つ今後に向けての指針となり得るゲームだったはずです。逆に、現在3連敗と下降傾向にある湘南。特にここ2試合は、無得点の上に連続4失点と安定していたはずの守備が崩壊。嫌な流れをせき止めるためにも、アウェイとはいえ負けは許されない一戦と言えるでしょう。
湘南がエンドを入れ替え、千葉のキックオフで始まったゲームはまず2分、伊藤大介の左FKをオーロイが頭で落とし、佐藤勇人がワントラップから左足ボレーをバーの上へ。9分、伊藤の今度は右CKから、ニアへ走り込んだオーロイのボレーは大きく枠の右へ。11分、オーロイのポストプレーから、伊藤を経由して深井正樹が放ったミドルは、湘南GK西部洋平がキャッチ。最初の15分はチャンスの数で言うと、千葉が上回ります。
ただ、千葉の攻撃は「最もやり方が徹底しているチーム」と湘南の反町康治監督も話したように、当然オーロイへのロングボールが基本的には最優先。「セットプレーの時は僕が競って、CBがセカンドを拾い、流れの中からはCBが競って、僕がセカンドを拾うという話はしてた。前半は割とよくできていたと思う」とは、4-1-4-1の中盤1枚アンカーを務めた松尾直人。確かに、攻撃の大半がオーロイに入れてからということを考えれば、2回のセットプレーを含む3回のピンチというのは決して多くない数字。湘南からすれば、「プランに向こうが合わせてくれた」(反町監督)という感覚が、確かにあったかもしれません。
そうなると、“よい攻撃はよい守備から”。13分に放った松尾のミドル、19分に田原豊が強引に打つも菊池大介に当たったミドル、さらに23分にも坂本が放ったミドルと、この3本すべてにラストパスを出していたアジエルが、うまくボールを引き出し始め、流れは湘南へ。加えて23分のシーンはアジエルの守備が起点になってのチャンスと、10番の精力的なプレーがチームへ推進力を与えます。
すると26分、臼井幸平のフィードにマーク・ミリガンと並走していた田原は、エリア内で体を入れ替えて一歩前へ。直後、ミリガンともつれて倒れるも佐藤隆治主審のホイッスルは鳴らず。激高する湘南ベンチ。反町監督も珍しくテクニカルエリアを出て抗議しますが、当然判定は覆りません。それでも34分には石神直哉、菊池、田原、アジエルと繋いで、最後に受けた田原はシュートまで至りませんでしたが、かなり綺麗な形も創出するなど、「ゲームプラン上は悪くない」(反町監督)湘南の方が、ゴールの匂いを漂わせていたと思います。
そんな中、ゴールが生まれるのは一瞬で。38分、湘南は自陣深い左サイドで千葉のプレスを受け、クリアを中途半端に中へ。「あそこは反応が遅れた」と松尾も振り返る場面でボールを収めたのは、そこまでほとんどゲームに入れていなかった米倉恒貴。至近距離からのシュートは、西部が抜群の反応で弾き出しましたが、こぼれを見逃さなかった深井がプッシュ。「半分は米倉のゴールだと思います」と照れた得点ランク単独トップの9番が一仕事。千葉が先制ゴールを挙げました。
さて、前半の最後に気になるシーンが。45+3分、湘南のCK。キッカーの永木はCBの大井健太郎が上がってくるのを待っていると、主審はそれを待たずにホイッスルを吹き、前半を終了させます。確かに追加タイムは2分と掲示されており、所定の時間を過ぎているので、その判断は問題ないと思いますが、実は直前に石神が長い時間倒れ込んでいました。湘南側はアピールしていましたが、主審は気付いてか気付かずか、ゲームを止めずに続行。そしてCKは認められずという経緯。おそらく一度ゲームが止まっていれば、CKを蹴ることができたであろうことを考えると、湘南にしてみれば何とも言えない一連になってしまいました。
さて、前半の45分間を「湘南の4-1-4-1の形でどこにスペースが生まれるかを見つけることが、あまりうまくいってなかった」と感じていた千葉のドワイト監督は、後半開始からの交替を決断。オーロイを下げて、前節はスタメン出場した久保を送り込みます。この采配が、結果的にペースを千葉にグッと引き寄せる要因となりました。
「大きくサッカーは変えてない」(深井)ものの、元々「(伊藤)大介はいっぱいボールに触ってリズムを創るタイプで、ヨネや勇人とポジションチェンジすると右サイドが生きて、逆サイドの自分も生きる」と深井が話したように、右にいる伊藤がいい意味で流動的に動き回ることが、千葉にアクセントを加えているのですが、オーロイより機動力に優れる久保が、自らの下に並ぶ3枚と有機的に絡むことで、長いボール以外の選択肢が一気に広がります。
すると57分、次のゴールは地上戦で千葉。深井のパスを受けた米倉が左サイドから折り返し、久保の前を通過したボールに飛び込んだ佐藤のシュートは、西部の脇をかいくぐる追加点に。キャプテンの今シーズン初ゴール。平日にも関わらず、9228人も詰め掛けた観衆の大半を占める黄色が沸騰。点差は2点に開きました。
まずは1点を返したい湘南も、64分に2枚替え。菊池と坂本絋司を下げて、ルーカスと平木良樹を投入。中盤もダイヤモンドにシフトして、2トップと、その下に置いたアジエルで反撃を試みたい所でしたが、「ボールを収める所で収められなかった」と指揮官も振り返ったように、前半から孤立しがちだった田原は、布陣変更を経てもチームの基点にはなりきれず、75分にピッチへ登場した高山薫も、カンフル剤とまではいきません。
一方の千葉は「大人のサッカーができたのではないかと思う」とドワイト監督も満足そうに語った通り、後半はある程度余裕を持ってゲームをコントロール。深井も「2-0になってからは、そこまで動かないでもサッカーできた」と手応えを掴んだ様子。ゲームは2点差が付いたままで、終了のホイッスル。「ホームでエンターテイメント性の高いゲームができた」とドワイト監督も納得の内容で、千葉が湘南に快勝を収めました。
敗れた湘南は泥沼の4連敗。オーロイはうまく消していたものの、「オーロイじゃない所からの失点だったので悔やまれる」と松尾が話したように、ペースを握っていた中での失点が最後まで響いた格好です。ただ、2点目は完全に崩された形。「後半になって地力に優る方がだんだん優位性を保ってしまった」と反町監督が話したように、現状では少し力の差があったのではないでしょうか。
勝った千葉は「自分たちが主導権を握れる時間が長くなってきた」という深井の言葉にもあるように、“オーロイ以外”が攻撃の形と替わりの選手両面で出てきている印象です。本来、選手層はJ2でもトップレベル。ハッキリした形のベースに彩りが加わってきた今の千葉は、パレットに出された様々な色が、調和の取れた1つの色にうまく混ざりつつある状況に似ているのかもしれません。  AD土屋

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