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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月13日

J2第16節 湘南×栃木@平塚

foot!
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201106130938000[1]hiratsuka.jpg現在、6試合連続負けなし。しかも連勝で2位まで浮上してきた湘南。今日のスタメンにも今シーズンの新加入組が6人も顔を揃えるなど、昨シーズンとはまったく別のチームと言っても差し支えなさそうなメンバー構成ですが、9試合でわずかに3失点という守備面の数字も、大きな変化と言えるでしょう。
一方、開幕3連勝で首位に立つなど、目標として掲げる“J1昇格”を明らかに現実のモノとして捉えている感のある栃木。ここ最近は勝ったり負けたりで、順位も4位に下がってはいるものの、上位は勝ち点差が非常に詰まっているため、1回勝てば一気にジャンプアップが可能なだけに、アウェイとはいえ結果を出したい一戦です。
さて、やや湘南がボールキープの時間を長く持ちながら立ち上がったゲームは、6分に水沼宏太がパウリーニョとのパス交換から、枠内へ左足で飛ばしたのが栃木のファーストシュート。10分には石神直哉の35m近い無回転FKが枠の左へ外れたのが、湘南のファーストシュート。なかなか動きが出てきません。そんな中、12分に突如として巻き起こった栃木のショートカウンター。右サイドを駆け上がった水沼はリカルド・ロボとワンツーの形から抜け出すと、そのままシュート。ここは湘南のGK西部洋平がセーブしましたが、こぼれに反応したロボは豪快にゴールネットを揺らします。実はノーゴールが6試合も続いていたロボ。それでも「ゴールができないのは起こり得ること。自分の力を信じていた」という言葉を証明するゴールは、貴重な先制弾。アウェイの栃木がリードを奪いました。
チームのスタイルを考えても、早い時間帯での得点は栃木にとってかなりのアドバンテージかなという個人的な認識があったのですが、「先制直後はここ5分を集中しようと言っていた」とはCBの渡部博文。この数試合は失点で流れを手放すことが多かったようで、まずは5分間をしっかり乗り切るのが最優先事項。そして、その5分間を無失点で切り抜けると、栃木の湘南に対して敷いたプランが間違っていなかったことを立証する時間が続きます。
栃木の最終ラインは、右から宇佐美宏和、渡部、大久保裕樹、那須川将大が並びましたが、これは今シーズン初めての組み合わせ。松田監督は「高山が今の湘南の攻撃を牽引している選手なので、彼のスピードを消そうという編成」と説明。「CBのどっちがスピード対応かという話はしていなかったが、間合いを空けることを考えてやった」と渡部が話したように、抜群のスピードを誇る高山には距離を取ることでうまく対応。高山本人も「足元の周りも含めて、スペースがないのは常に感じてた」と言及。まずはキーマンの1人を流れから消し去ります。さらに、栃木ではなくてもどのチームも潰しにかかるであろうアジエルに対しては「まず裏をケアして、持ったら間合いを詰める」(渡部)ことを徹底。ラインを下げることも辞さず、裏のスペースを埋め尽くし、さらにバイタルへの侵入はパウリーニョと鈴木修人のドイスボランチと共同監視。これでJ2屈指の司令塔は下がって受けることが多くなり、一発でやられる恐怖はかなり軽減。「前半はやられる気がしなかった」という渡部の言葉を待つまでもなく、シュート2本という数字以上に湘南を抑え込んだ栃木の1点リードで、前半は終了しました。
この状況下で策士・反町康治が動かない訳はありません。後半開始から、田原豊と岩尾憲を同時投入。システムも「4バックでやっていると相手の思うツボ」と、4-4-2から3-4-3へシフトして反撃態勢を整えます。すると、53分にはビッグチャンス到来。田原が果敢なプレスで渡部からボールを奪うと、自らドリブルで切れ込み、重いシュート。栃木GK鈴木智幸が弾いたボールは、再び湘南へ。右サイドから鎌田翔雅が上げたクロスを、ここも田原がヘディングで狙いましたが、立ちはだかる鈴木智幸のファインセーブ。追い付けません。
直後には栃木に決定機。55分、湘南のキャプテンマークを巻いた遠藤航が自陣でボールロスト。奪ったチェ・クンシクが右へはたき、ロボは西部もかわしてフィニッシュ。戻った鎌田は懸命のカバーでゴールを死守したものの、湘南にしてみれば集中力を欠いた軽率なプレー。流れを掴み切れません。また、システム変更自体も、松田監督が「3-4-3のチームは少し前の3連戦でやっていたので、多少印象に残っていたかもしれない」と話し、反町監督も「相手の8枚のブロックが引いたのは思い通り。そこで3バックのサイドにいる遠藤と鎌田にドリブルで持ち出すアクションを話したが、アジエルが引いてきて近いところでパス交換していたら相手は何も怖くない。能動的にやったつもりだけど、積極性があまり見られなかった」と言及するなど、栃木がうまく対応。「前の人数が多ければ多いほど、ゾーンは難しくなる。後半は多少マンツー気味にやった所はある」とは渡部。この辺りの柔軟性は、ただ4-4-2を“やらされている”だけではないことをよく現しているのではないでしょうか。
そして69分、高木和正のCKから相手のクリアを拾うと、鈴木修人は縦にフィード。走り込んだ渡部が、飛び出した西部の目前でバックヘッドを敢行すると、ボールはゆっくりとバウンドしながらゴールへ飛び込みます。「今までのゴールは全部修人さんのパス」と話す渡部は、これでチームリーディングスコアラーのロボに並ぶシーズン3ゴール目。点差が広がりました。
苦しくなった湘南は70分に3枚目のカードを決断。坂本絋司を下げて、菊池大介を右のWBへ投入。直後のFKは田原にピタリと合ったものの、「2回もゴール前3mでキーパーにパスしているようじゃ、ゲームには勝てない」と指揮官も辛辣な言葉を発したように、またも鈴木智幸のファインセーブを引き出す、正面へのヘディング。「全体としては非常にウチらしい、カチッとした試合をやってくれた」と松田監督も評価する内容で、栃木が快勝を収める結果となりました。
栃木は相当“いいサッカー”をやっていたと思います。いわゆる「ディシプリンを持った」(松田監督)典型的な4-4-2のスタイルではあるものの、渡部が話してくれたように守備面ではゾーンとマンツーマンを柔軟に使い分けるなど、ただやらされているサッカーではないことも、実際にスタジアムで見てわかりました。例えばバルサのような派手さはない分、あまり表現として使われることはないかもしれませんが、この日の栃木のようなスタイルも“いいサッカー”と言うべきだなあと個人的には思いました。  AD土屋

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