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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月19日

J1第16節 川崎×広島@等々力

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201106190133000[1]todoroki.jpg今節最大の注目カード。序盤こそなかなか安定しない戦いが続いていたものの、ここに来て5試合連続負けなしで5位まで浮上してきた川崎。対するはそのスタイル上、どうしても攻撃陣に注目が集まる中、今シーズンは柏と並ぶリーグ最少の7失点と守備陣の安定感が光り、3位に付けている広島。上位同士の直接対決です。
攻撃的なスタイルのチームが顔を合わせるとあって、立ち上がりからのフルスロットルを予想していた所もあったのですが、実際は相当スローな立ち上がり。5分に川崎は稲本の鋭い縦パスから、山瀬のシュートがDFに当たってGKにキャッチされるシーンを創り、17分にはバイタルでルーズボールに反応した稲本が、西川にファインセーブを強いる左足ミドルを飛ばしましたが、この2つのシーンだけが開始30分までの両チームで、ゴールの匂いを感じさせたシーン。ボールキープは6対4か、あるいは7対3くらいの割合で川崎に分があったものの、そこまで川崎が攻勢だとも言い切れないような展開が続きます。
広島の攻撃が機能しなかった要因の1つは、佐藤、李、森崎浩司で形成した前の3人にまったくボールが入らなかったこと。単純に「簡単なミスが多かった」(李)こともありますが、川崎のCBを務めた井川が「ナビスコでやっていたので、修正できた所はあった。SBとも声を掛けて受け渡しはうまくできていたと思う」と話したように、割と最近に広島と対戦した経験から、ある程度は相手の動きを把握していたことがプラスに働いた様子。ライン間のスペースもドイスボランチと確実に監視し、ほとんど自由を与えなかったために、「前線でのコンビネーションもよくなかった」とペトロヴィッチ監督も触れた通り、3人のコンビネーションを完全に分断。さらに「相手の特徴でもある、切り替えの所で負けていなかった」(田中裕介)ことも、磐石のカウンター対応に繋がっていた印象です。
34分には李がこのゲームで初めて前を向いて仕掛けると、スルスルと抜け出しますが、柴崎が鋭い読みでインターセプト。すると直後の35分、柴崎が左へ回したボールを小宮山はダイレクトでアーリークロス。ニアへ走り込んだ矢島は、ヒール気味のアウトサイドで枠へ飛ばすと、ボールはクロスバーを叩いてゴールの中へ。「川崎もそれほどチャンスらしいチャンスがあったとは思えないが…」とペトロヴィッチ監督は話したものの、ワンチャンスをしっかりゴールへ結び付けた川崎の技術と狡猾さはやはり特筆すべきポイント。その前から少し主導権を握り始め、活性化していた左サイドを使った形というのも見逃せない部分でしょうか。川崎からすれば望外とは言いませんが、それに近い1-0というスコアで、前半の45分間は終了しました。
後半はペトロヴィッチ監督もスタートから決断。リーグ戦初スタメンの右WB石川大徳を下げて、ミキッチを投入。すると47分には森崎浩司のパスを受けたミキッチが、マイナスにピンポイントの折り返し。中島には川崎DFが寄せたためにシュートは打てませんでしたが、1つ形を創ると、48分にも森崎浩司が左へ展開。山岸のアーリークロスは佐藤のヘディングシュートへ。ようやく広島にこのゲーム初シュートが記録されるなど、「後半はいい形で入った。攻撃がうまく行き始めた」と指揮官も言及。52分にはトミッチとムジリを入れ替え、畳み掛ける態勢を整えます。
一方の川崎は「どうしても受けてしまって、ボールを保持できなくなった」(相馬監督)打開策として、54分には小林に替えてジュ二ーニョがピッチへ。すると10番は55分に小宮山のクロスへ合わせたヘディング、57分には左足ミドルと、交替直後から推進力をチームにもたらすさすがのパフォーマンスを披露。そして58分に飛び出したビッグプレー。広島が狙ったクサビを抜群の出足で奪った菊地は、そのまま全速力で最前線へ。左サイドから矢島が上げたクロスに、そのまま突っ込んだ菊地のヘディングがゴールに突き刺さります。言わば2人だけで完成させた「クラシックなカウンター」(ペトロヴィッチ監督)でしたが、その一連の鮮やかさは最高級。リードが広がりました。
少しリズムも取れてきた所で痛恨の2失点目を喫した広島は、最初の45分間に比べれば格段にボールも回るようになり、67分にはショートパスを繋いだ流れから獲得したCKを森崎浩司が蹴り入れ、盛田が頭で枠の上へ飛ばすシーンも創りましたが、「パスミスが多いのはウチのサッカーじゃない」と李も語った通り、イージーなミスからカウンターを受けるシーンが頻発。71分にはカウンターからジュニーニョ、山瀬と回して、田坂のシュートは懸命に戻った森崎和幸が体でブロック。事なきは得たものの、逆にピンチも増えてしまいます。
対して「全体の運動量も落ちて、自分たちでボールを動かせなくなっていた」と判断した相馬監督は、72分に矢島と中村、82分に稲本と横山をスイッチ。最終盤に向けててこ入れを図るも、ここからは広島が意地の反攻。83分、ムジリが右へ大きく展開すると、追い付いたミキッチのクロスを佐藤が頭で狙うも枠外。85分、森崎浩司のミドルパスを井川がクリアミスすると、高萩はダイレクトでシュートを放つもヒットせず。88分、佐藤の巧みなポストプレーから、山岸の素晴らしい左足クロスは、ムジリわずかに届かず、万事休す。「みんな慣れてきて、自分の色をわかってきた」と小宮山が話したように、かなりチームとしてもうまく回り始めている川崎が、2試合ぶりのホーム勝利をサポーターへ届ける結果となりました。
広島は連戦を見越して、ややターンオーバー的にメンバーを入れ替えましたが、「何人かはいい出来だったが、何人かは期待していたプレーではなかった」とペトロヴィッチ監督も明言したように、ハマらなかった部分のパワー不足がそのまま敗因に繋がったような印象です。さらにペトロヴィッチ監督は「自分たちができないことまで始める傾向が見られた」とも言及。次のホームで迎える山形戦で真価が問われそうです。
勝った川崎は「今日は菊地だったけど、2試合で6人がゴールしているし、誰からでもゴールが取れることを証明できた」と井川。攻守両面で「今までやってきたことが形になってきた」という田中裕介の言葉も頷けます。しかも、前節、今節とどちらも絶対的支柱の中村をスタメンから欠いての連勝。そこからも川崎の成熟度が着実に上昇している印象を受けました。  AD土屋

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