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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月15日

J1第15節 柏×磐田@日立台

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201106152351000[1]kashiwa.jpg7勝1分け1敗。2位の広島に“1ゲーム”以上のポイント差を付けて、首位を快走する柏。上位対決となった前節も横浜FM相手にシュート4本での完勝を収めるなど、昨シーズン途中から取り組んできた“J1を見据えた戦い方”が間違っていなかったことを、圧倒的な結果で証明し続けています。
そんな柏と対峙するのは、3勝4分け2敗で7位に付ける磐田。小林裕紀、山田大記とセンス溢れるルーキー2人が早くもチームの主力として大車輪の活躍。今日は山崎のU-22代表選出を受けて、前線では金園英学がリーグ戦初スタメンに抜擢され、試合開始のピッチには大卒1年目トリオが勢揃い。若い選手が多いため、伸びしろという意味でも楽しみなチームです。
さて、ゲームが始まると好調そのままに勢い良く飛び出したのは柏。いきなり1分、田中の突破から奪ったCK。ジョルジ・ワグネルのキックに、合わせた村上のヘディングはクロスバーの上へ。4分、レアンドロ・ドミンゲスの右FKに、二アで北嶋のバックへッドはDFがブロック。5分、レアンドロの右CKから、川口がパンチングしたルーズボールを、栗澤がボレーで狙うも枠の上へ。それでも積極的な仕掛けから獲得したセットプレーで、柏が攻勢に出ます。
ところが、10分に磐田が駒野、山田と繋いで創った前田のシュートチャンスを、栗澤が間一髪のタックルで凌いだ辺りから、ペースは緩やかに磐田へ移行していきました。この日の柏は攻撃的な中盤がレアンドロを中に置いて、大津は左に開かせる、少しいびつなボックスを採用。右サイドを少し空けるような形でゲームに入ります。「ミーティングでそこはしっかり言われていた」(藤田)という、「レアンドロがかなり中に絞るので、そのスペースを使おうということ」(ジウシーニョ)。これだけなら、おそらく他のチームも当然実行してくることですが、この策を磐田がより有効なものにしていた理由は、前線からの激しいプレッシング。特にドイスボランチの一角を担う小林が「レアンドロの位置は、那須さんと2人でかなり確認していた」と話したように、「柏の攻撃の中心」(磐田・柳下正明監督)であるレアンドロへのプレスがかなり速く、前を向く状況を創らせません。ここでスイッチが入らない柏は全体的にパスワークがブレ始め、逆に磐田は「奪ったボールから左サイドをうまく使える」(藤田)状況に。左サイドの活性化は、さらに右サイドの勢いも生み出し、「サイドの主導権が取れて、ウチのリズムになった」と小林。磐田が流れを掴みます。
すると18分に駒野がドリブルからカットインミドルを放ち、菅野のファインセーブを引き出すと、2分後に歓喜。20分、右サイドから駒野が中へフィードを送ると、ファーへ流れつつあったボールを、村上と入れ替わりながら収めたのは金園。バウンドを合わせて振り切ったボレーが、豪快にネットを揺らします。0-1。アウェイの磐田が先手を取りました。
さらに磐田の狙いが完全にハマったのは28分。ハーフウェー付近で、柏CBの増嶋に前田が激しいプレスを掛けてボール奪取。金園がドリブルでエリア内まで運び、最後は必死に戻った増嶋のスライディングを受け、シミュレーションでイエローカードをもらうという、やや不可解な判定でゴールは生まれませんでしたが、高い位置で奪ってフィニッシュまでという狙いを、一歩手前まで体現します。
磐田の前にほとんど相手陣内までボールを運べなくなった柏。たまらず、ネルシーニョ監督も30分過ぎにはレアンドロを少しサイドに押し出し、左右対称のボックスにシフト。ここからは少し磐田が対応で後手を踏み、柏はむしろ中央を効果的に活用。40分には栗澤が北嶋とのワンツーから枠内シュート。さらに44分は決定機。大谷のクサビを大津がヒールで落とし、田中のシュートはわずかに枠の右へ。磐田ゴールを脅かします。しかし45分、ゴールキックの流れから磐田のチャンス。フィードを金園が右へ丁寧に落とし、駒野が上げたクロスはニアへ飛び込んだ前田にピタリ。「柏がクロスに弱いというのは言われていた。狙い通り」とは藤田。磐田にしてみれば、最高の時間帯に生まれた追加点。リードが広がり、ハーフタイムに入りました。
2点のビハインドを負った柏。ネルシーニョ監督も後半開始から2枚替え。田中と大津を下げて、ホジェルと茨田を投入。「もっと前からハメてボールを奪っての攻撃」(ネルシーニョ監督)を指示します。これで多少持ち直した柏は攻撃の手数も多くなり、押し込む時間が続きますが、うまくいかないチームを象徴するようなシーンは55分。中央左寄り、ゴールまで約25mのFK。好機にサポーターの期待も高まる中、レアンドロはキックの直前に足を滑らせ転倒。スタンドは溜め息に包まれます。
そして58分、レアンドロ、栗澤と回ったボールを茨田がシュートに持ち込むと、キャッチした川口は素早く左へ展開。サイドをフリーで駆け上がったパク・チュホは、完璧なグラウンダーのボールを中へ送り、難なく前田がプッシュ。理想的な形で、理想的な3点目。今日の流れから考えても、勝負は決しました。
せめて1点は返したい柏も、70分には「どうしても前掛かりになって、守備のスペースを空けていた」(ネルシーニョ監督)ワグネルと橋本を入れ替え、いくつかチャンスは創りましたが、周囲となかなかプレーが噛み合わないホジェルがブレーキに。藤田が「ペナルティエリア内で持たれるのは嫌だったけど、ボランチとうまく挟めたので簡単に落とされるシーンはなかった」と話せば、そのボランチの小林も「CBとコミュニケーションが取れて、ホジェルへの対応はすぐ修正できた」と言及。こうなると柏はあまり機動力のない2トップで変化を生み出すのは難しく、決定的なチャンスは創れずじまい。ネルシーニョ監督が「文句なしにジュビロの勝利」と認め、柳下監督も「非常にいいプレーをしてくれた」と振り返ったゲームは、最後まで集中力が切れず、運動量も落ちなかった磐田の完勝で幕を閉じました。
ゲームの潮目を分けたのは、前半終了間際の逸機とゴールだったと思います。結果論ですが、田中のシュートが入っていればタイスコア。柏にすれば後半のカードの切り方も変わっていたはずです。柳下監督も「1-0でリードしてて、危ない場面があったが、相手がシュートを外してくれた直後に2点目が入ったのがこういう結果になった」と言及していました。ただ、それを含めても今日の磐田はほぼパーフェクトな内容。「前節は負けたが、選手たちもすぐに切り換えて柏戦に向けて準備できていたので、相当気合が入っていた」という指揮官の期待に、最高の結果で応えてみせました。   AD土屋

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