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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年06月12日

J1第14節 大宮×浦和@NACK5

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201106120538000[1]derby.jpg2008年9月21日以来となる、NACK5スタジアム大宮でのさいたまダービー。実は前回も取材に訪れていたのですが、その時は凄まじい雷雨によって開始13分で一時中断。50分近く経ってから再開するという、かなり珍しいゲームだったのをよく覚えています。今日は懸念されていた雨もすっかり止んで、気候的にも絶好のコンディション。オレンジと赤でスタンドは埋め尽くされました。
3勝3分け2敗と白星こそ先行するものの、実は3勝すべてをアウェイで挙げており、「こればかりはどうしようもないというか、何とも言えないです」と鈴木淳監督も苦笑いを浮かべた大宮は、ダービーでホーム初勝利を掴み、中位脱出を図りたい所。対する浦和はいまだ1勝の14位と苦戦が続く中で、スタメンに大きな変化。「(ナビスコの)山形戦で素晴らしいプレーをした。自信を持って使った」とペトロヴィッチ監督が評したGK加藤順大がリーグ戦デビューを果たします。お互い上昇へのステップにしたいダービーは19時3分、大宮のキックオフでスタートしました。
まずはホームチームが先に枠内シュート。2分、右サイドから渡部が左足の正確なクロスを上げると、ラファエルのヘディングは加藤に届きます。さらに8分、ゴール左約25m強の距離からイ・チョンスのFKも枠を捉え、加藤がファインセーブ。14分、バイタルでボールを拾ったラファエルはドリブルしながら、こちらも枠内へしっかりシュートを飛ばし、加藤を攻め立てます。浦和も16分に反撃。マルシオ・リシャルデスが左へ回し、高橋からのリターンを受けた原口がフィニッシュを取り、チーム初シュートを放つと、3分後にもチャンス。数本のパスを繋いで、最後は鈴木の右アーリーに飛び込んだ高崎は頭に当て切れず、シュートとはいきませんでしたが、形は創ってみせます。
スコアは0-0で推移していく中、全体で見ればややペースを掴んだのは大宮。ペトロヴィッチ監督が「向こうはロングボールをラファエルに入れて、イ・チョンスが裏に抜けてセカンドを拾う」と話し、鈴木監督も「前半は長いボールでDFラインの背後を突いて、セカンドをうまく拾えた」と振り返ったように、長いボールを強力2トップが収め、東と藤本がそこに絡んでいく形をある程度徹底。22分にはイが、29分にはラファエルがフィードからフィニッシュまで持ち込むなど、リズムを引き寄せます。
すると36分、渡部のパスからラファエルが無回転ミドルを放ち、ここも加藤のファインセーブに阻まれましたが、直後にビッグチャンス。右サイドでスローインを受けた渡部は「シンプルなクロスも面白いなというイメージ」で右足の切り返しから、左足でクロス。「その前にも似たようなシーンがあり、DFの前へうまく入れていたのでゴールが決まるような予感はしていた」ラファエルのダイビングヘッドが炸裂。ホーム初勝利へ向けて、幸先良く大宮が先制しました。
決して悪い訳ではない浦和は、39分にも鈴木の右アーリーが高崎へ。トラップまではうまくいきましたが、一瞬もたつくと飛び出した北野にキャッチされ、シュートは打てず。40分にエジミウソンが強引に放ったミドルはバーの上へ。内容はほとんど互角に近い中でも、2トップがより機能した大宮が1点をリードしてハーフタイムへ入りました。
ペトロヴィッチ監督1人目の交替は後半開始から。高崎に替えて、負傷明けの田中をピッチへ送り込みます。ただ、後半も先にチャンスをモノにしたのは大宮。53分、上田の右CKを中央で完全にマークを振り切り、フリーになった深谷が余裕のダイビングヘッド。「毎週毎週トレーニングで確認しているが、毎回同じように簡単に相手がヘディングできる状況になるのは信じられない」とペトロヴィッチ監督も呆れ気味に語った浦和のルーズな守備を突いて、大宮がリードを2点に広げました。
ところが直後にまたもゲームは動きます。55分、ギャップで受けた田中は左へ。1人気を吐いていた原口のクロスにマルシオが走り込むと、藤本に倒されたという家本政明主審の判定で浦和がPK獲得。エジミウソンが確実に沈め、たちまち点差は1点に戻りました。結果としてPKを招くシーンも起点になった田中の投入は奏功しました。鈴木監督が「田中の所が剥がされることが多くなり、マークが曖昧になって押し込まれた」と話し、ボランチの青木も「田中が1.5列目みたいな感じで、ある程度マークをハッキリさせようと話していたが…」と言及したように、比較的自由な位置取りでボールを引き出す田中を大宮は捕まえ切れず、これが右のマルシオと左の原口のボールタッチが増えた要因にも繋がり、浦和の攻勢が続きます。
64分に上田のCKをまたも深谷が枠へ飛ばしたヘディングは、高橋がライン上で決死のクリアを見せるなど、流れも浦和へ。67分には柏木のラストパスからエジミウソンが右ポストにぶつける豪快なシュート。完全に形勢は引っ繰り返りました。これに関しては鈴木監督が明快に理由を答えています。曰く「前半の攻撃が単調になってしまい、浦和を走らせることができず、後半はキツくなるだろうと予測していた」とのこと。浦和は長いボールの対応にDFラインこそ苦慮していたものの、中盤より前は比較的ディフェンス面での負担は重くなく、これが後半のスタミナ維持に結び付いたのは確かだったと思います。逆に大宮は「もう少しコンパクトにやりたかったが、DFラインをどこまで下げられるかは難しい所。セカンドボールが拾えなくなった」と青木。70分に東が広い視野からお膳立てした決定機も、イのシュートは枠外へ。苦しい時間が続きます。
ペトロヴィッチ監督も72分に最後のカードを決断。鈴木に替えてマゾーラを前線に投入。田中が右SH気味に移り、超攻撃的布陣で一層の圧力強化。勝負に出ました。ここで魅せたのは、今やチームの絶対的な主力として、常に気持ちを前面に押し出しながらプレーしてきた20歳の若武者。78分、宇賀神とのパス交換からトップスピードにギアが入った原口の高速スラローム。エリア内で一旦は倒れながら、そのまま左足を振り切ると、執念は結実。ゴール右スミに突き刺さったボール。「気持ちだけで決めた」と語る一撃は、まさにワールドクラス。衝撃的な同点弾で、スコアは振り出しに戻りました。
ここからは打ち合い。82分は浦和。マルシオのCKがこぼれ、拾った永田のスルーパスからマゾーラのフィニッシュは北野がファインセーブ。85分は大宮。後方からのフィードをイがフリック。石原が左へ回すと、イのシュートは右ポスト直撃。跳ね返りを途中出場の金久保が押し込むも、こちらも途中出場の渡邉が最後に触ってしまいオフサイド。93分も大宮。坪内のクサビを金久保がワンタッチでフリーのイへ。シュートを放つも、懸命に戻ってブロックしたのは柏木。両指揮官が「見ている皆さんには喜んでもらえたのではないか」と口を揃えたゲームは2-2。勝ち点1ずつを分け合う結果となりました。お互い最後まで攻撃的な姿勢を貫いた、ダービーの名にふさわしい好バウトだったと思います。  AD土屋

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