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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年06月07日

キリンカップサッカー2011 日本×チェコ@横浜国際

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201106080931000[1]yokohama.jpgペルー戦でスタートから採用された3-4-3がフィーチャーされている日本代表。ザッケローニ監督も「現時点ではオプションの1つ」と話していますが、ケガの前田に替わって李が入った以外は、内田、長友、吉田、本田などの海外組も含めて現状のベストメンバーがスタメンに顔を揃え、オプションとしての可能性を探るには悪くない舞台が整いました。対するチェコは「かなりの主力がいなかったので心配ではあった」とミハル・バラク監督が言及したように、3月にボルドーでインタビューしたので再会を楽しみにしていたプラシルや、ロシツキー、バロシュなど攻撃的なポジションの主力は来日せず。スタメンに国内組が5人起用されるなど、テスト的な要素の強いゲームです。
先に手数を出してきたのはチェコ。5分、カドレツのロングスローからフェニンが繋ぐと、レゼクのボレーはDFに当たって川島がキャッチ。7分、チェフのロングフィードに川島と吉田の連携が悪く、何とか川島がキャッチ。8分、左サイドからレゼクの上げたクロスは、ファーに飛び込んだペトルジェラがわずかに届かず。9分、カドレツのFKにライノフが頭で合わせたボールはクロスバーの上へ。「超満員で圧倒的に日本に有利な雰囲気」(ビレク監督)の中でチェコの攻勢が続きます。
ポゼッションでは上回るものの、なかなかチャンスを創れない日本。11分には本田のFKもカベに跳ね返されますが、直後に流れの中から迎えた好機。川島のフィードを本田と李が収め、長谷部が右サイドから上げたアーリークロスにニアへ飛び込んだのは内田。シュートには至らなかったものの、中盤4枚のアウトサイドがゴール前に詰めていくという、チームとしての攻撃的な意識が垣間見えるシーンでした。
さて、18分から37分まではお互いに1本のシュートも記録されない時間帯が訪れましたが、大きく分けると要因は2つでしょうか。1つは「チェコは高い位置にいる選手が下がってきて対応するなど警戒してきた」とザッケローニ監督も話したように、かなりラインも落としてSHも守備意識が高くなっていったチェコのブロックが堅く、内田と長友も含めたサイドアタックが繰り出せなかったこと。もう1つは3トップに縦方向の速いクサビのパスがほとんど入らなかったこと。右の本田はボールタッチこそ多いとはいえ、大半は低い位置に降りてきて受けるシーンが目立ち、攻撃をテンポアップさせる起動装置が見つからないような印象を受けました。
ただ、そんな状況打開に鞭を入れたのはキャプテンの長谷部。29分、長友のパスを受けた長谷部は素早く縦へ。李が1タッチで落としたボールを本田はトラップミスでシュートまで行けず。35分、またも長谷部の縦パスを岡崎が1タッチで捌き、李とのワンツーで抜け出しかけた所を倒されてFK獲得。遠藤の右スミを狙ったキックはチェフが辛うじて弾き出し、先制とはなりませんでしたが、「チェコはサイドを警戒してきたので中央が空いた」と指揮官も触れたように、縦へのスピードアップで中央からチャンスを創出し始めた日本に流れが傾いた形で、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、チェコに選手交替。CBのシボクを下げて、右SBにゲブレ・セラシエを投入。右SBだったロマン・フブニクがCBにスライドします。49分、相手のパスをかっさらった本田のスルーパスに岡崎が反応。うまくDFに体を入れられ、オフェンスファウルを取られましたが、後半も前半終盤の流れをそのまま持ち込むと、52分には決定機。遠藤のショートコーナーを本田が粘ってクロス。ファーで李が柔らかく折り返すと、吉田はフリーでヘディングもボールはクロスバーの上へ。絶好の得点チャンスを生かせません。
61分、遠藤の縦パスはバイタルに潜り込んだ本田へ。本田は左へ展開すると、長友はグラウンダーでクサビ。李がワンタッチで落とすと、走り込んできた本田とはやや呼吸がずれ、シュートには至りませんでしたが、これは後半を象徴するようなプレーだったと思います。というのは、「私と本田で決めた」とザッケローニ監督も言及した通り、後半の本田はワイドに開いている時間より中央にポジションを取ることが多く、前述の49分、61分とチャンスに絡んだシーンは共に中央にいたことで少ない手数でのエリア侵入が可能に。「サイドにはないが、中央はスペースがあるので、トップ下に入りながら岡崎を2トップの一角に押し出すことをやってくれた」とザッケローニ監督。本田も中央の方が持ち味を発揮しやすいのは明確で、これは後半の日本が攻勢の時間を続けられた大きな要因でしょう。
加えて、本田を生かすという意味では、62分にゲブレ・セラシエのクロスから、ややマークがずれて、ファーでフリーのレゼクに枠内ボレーを放たれた直後にザッケローニ監督が槙野と共に投入した家長の存在も見逃せません。遠藤に替わってボランチに入った家長は、投入直後こそなかなかボールに触れなかったものの、70分を過ぎると積極的にゲームメイクへ関与。74分には高く上がったルーズボールをエリア外からダイレクトボレー。枠は大きく外れましたが、高い意欲を覗かせます。
そして本田とのコンビネーションも抜群。70分から77分までに2人のパス交換は9回。短い繋ぎでリズムを生み出すと、78分には2人が10回目に交わしたパスの会話を起点に決定機創出。中盤で家長のパスを受けた本田が粘って左へ。長友のクロスはDFにクリアされますが、拾った本田は再びクロス。ファーで岡崎が叩きつけたヘディングはチェフがファインセーブ。詰めた李のシュートは誰もが入ると確信した中で、伸びたチェフの左手。チェコ・フットボール・オブ・ザ・イヤー受賞4回。UEFAベストGK受賞2回。プレミアゴールデングローブ受賞2回。ザッケローニ監督も「相手の素晴らしいGKを称賛しないといけない」と話した、世界最高峰の実力を遺憾なく発揮。チェコゴールに強固な鍵を掛け、絶大な存在感を見せ付けました。
84分にはまたも日本に形。相手クリアを拾った家長はダイレクトで縦パス。受けた本田が中へ付けたボールは、李が強引にシュートを放ち、DFにブロックされましたが、ここも起点はあの2人。縦関係に配置した場合の相性は代表でも屈指。攻撃面を考えた場合なら、このゲーム最大と言ってもいいくらいの収穫だったのではないでしょうか。ゲームは89分、93分と本田にFKの見せ場はありましたが、どちらも枠は捉え切れず、スコアレスでタイムアップ。大会は3試合共に0-0となり、史上初の3チーム同時優勝となりました。
いわゆる3-4-3問題で言えば、「ここ数日で言ったことを全部やろうと思うな。スタートポジションとフィニッシュの所だけイメージを持って、そのアプローチに関しては特に固執しないように伝えた」というザッケローニ監督の言葉がすべてではないでしょうか。ゲームがうまく回り始めた後半は、本田が中央に入る3-5-2気味の時間も長く、流れの中で数字が変わるのは必然。その中で本田を生かしつつ、守備のバランスもしっかり維持できており、「この数日間の練習だけでここまでできるというのは、容易いことではない」という指揮官の言葉は本音に近い気がします。
あとは3トップ中央のレギュラー候補へ、李が大きくアピールした印象も受けました。まだミスはあるものの、クサビに顔を出すタイミングと回数は十分に及第点。周囲との連携が向上すれば、このままレギュラーとして定着する可能性も小さくないと思います。色々と勉強になった代表戦でした。  AD土屋

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