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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年06月26日

インターハイ東京準決勝 國學院久我山×都立東久留米総合@駒沢第2

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201106251446000[1]higashi.jpg前のゲームの熱い余韻がまだ立ちこめる中で迎えた第2試合は、1次トーナメントから勝ち上がってきたチーム同士の対戦ですが、登場するのは國學院久我山と都立東久留米総合。東京上位進出のみならず、何度も全国出場を果たしている実力校同士の一戦です。
まず先にチャンスを迎えたのは東久留米。5分、シンプルなフィードから抜け出した小山輝(2年)がクロスバーを越えるシュート。「スピードがあるので」と齋藤登監督が準々決勝から唯一スタメンで変化を付けた小山が、いきなり持ち味を披露します。ただ、少しずつペースは久我山へ移動。11分には細かいパスワークで東久留米ゴールに迫り、最後は大畑圭輔(3年・柏レイソルJY)がエリア内で倒れるもノーホイッスルとなりましたが、右高静真(3年・横浜F・マリノスJY)を前線の基点に、ドイスボランチを組んだ小泉洋生(2年・鹿島アントラーズJY)と富樫佑太(1年・ジェファFC)も前の2試合より高い位置でボールを回すシーンが多く、パスで攻撃のリズムが生まれます。すると15分、左サイドでボールを受けた山本哲平(2年・ジェファFC)は、エリア外から思い切りよくミドル。低い弾道で枠に飛んだボールはGK及ばず。流れそのままに久我山がアドバンテージを握りました。
さて、「立ち上がりは小山をサイドのスペースに走らせて、相手の強みでもあるSBの上がりを抑える」(齋藤監督)ために長いボールが多く、なかなかキーマンのFW佐々木翼(3年・東京久留米FC)が流れに絡めなかった東久留米は、20分を過ぎると少しずつボールを回す意識にシフトし始め、前への収まりもよくなっていきます。28分には多田和明(3年・FCクレセル)、西田絋崇(3年・練馬FC U-15)と繋いで、上がってきたボランチの菅谷翼(2年・FC東京U-15むさし)がフィニッシュ。枠は外れましたが、この繋いで迎えたシュートを経ると、チームとして攻撃にかけるパワーも格段に増え、五分かそれ以上に押し返す展開へ変容していきます。
それでも、久我山も完全には流れを明け渡さず。40+1分、右高のCKから富樫が繋ぐと、小泉のミドルは枠の左へ。40+2分、市木良(3年・横河武蔵野JY)から大畑を経由し、山本のシュートは飛び出した東久留米GK野中優志(2年・練馬谷原中)がセーブするも、DFに当たってゴールへ向かったボールは何とかクリア。全体としては東久留米が押し返したものの、バランス的には互角と言っていいような内容で前半は終了しました。
後半に入ると、動いたのは東久留米。小山に替えた鈴木雄大(3年・東京久留米FC)をSHに置いて、西田を2トップの一角に移す「予定通りの交替」(齋藤監督)を行います。すると、このシフトチェンジは奏功し、東久留米が攻勢に。
44分、橋詰晃(3年・FC東京U-15むさし)が右へ送ると、替わった鈴木はサイドをえぐって中へ。DFに当たった跳ね返りへ反応した佐々木のヘディングは、ほんの少し枠の上へ。51分、菅谷が中央を約60m独走しながら、左へ流れて放ったシュートは久我山GK松尾大吾(3年・浦和レッズJY)がキャッチ。前線に佐々木と西田という2つのポイントができたことで、確かに東久留米が押し込む時間が長くなったものの、同点に追い付くまでには至りません。
逆に久我山も反撃。60分、井上大(2年・横河武蔵野JY)のフィードから、右高、山本、途中出場の渡辺夏彦(1年・FCトリプレッタ)と繋がるも、シュートには至らず。64分には抜け出した山本のシュートがこぼれた所に、渡辺が詰めるも橋詰が懸命のブロック。点差を広げたい側と広げられたくない側の意地が交錯します。
齋藤監督も勝負の采配。70分、SHの春山を下げて、森田渉(2年)をCBに投入すると、それまで右SBを務めていた「元々FWで身体能力がある」(齋藤監督)多田を最前線に置いて、何が何でもという姿勢を明確に打ち出します。すると72分、東久留米にFKのチャンス。ゴール左寄り、距離は約30m。スポットに立ったのはキャプテンでエースの佐々木。直後、スタンドに訪れたのはオレンジの沈黙と水色の絶叫。右足から繰り出されたボールは、クロスバーを叩きながらもしぶとくゴールへ転がり込みます。土壇場で東久留米が同点に追い付いてみせました。
もはやイケイケの東久留米。74分、西田の縦パスから米倉翼(3年・FC東京U-15むさし)がクロスを上げると、佐々木のヘディングはゴール左へ。80分、多田とのワンツーで前へ持ち出した米倉の強烈ミドルはクロスバー直撃。80+2分、渡辺のドリブルシュートはDFに当たって、わずかにゴール左へ。ここで後半終了のホイッスルは鳴り、ゲームは10分ハーフの延長戦にもつれ込みましたが、勢いは完全に東久留米。
82分、カウンターから佐々木がスルーパス。多田の逆サイドを狙ったシュートは松尾がファインセーブ。90+1分、鈴木の右クロスから、最後は多田が枠内シュート。90+3分、中央から1点目の再現を狙った佐々木の25mFKはカベがブロック。攻守両面での切り替えに差が出てきてしまい、久我山は耐える時間が続きます。
91分には東久留米が切り札の片岡瞭星(3年・志村四中)を投入して、さらなるパワーを追加。終了間際の99分には、右サイドへの展開から、鈴木が粘って上げたクロスに逆サイドから突っ込んだ片岡はわずかに届かず。東久留米にしてみれば後半以降は圧倒的に押し込みながら、準々決勝同様に「課題の決定力」(齋藤監督)を欠き、またもPK戦で決着を付けることになりました。
ここで魅せたのは東久留米の2年生GK野中。先行の久我山1人目を完全に読み切ってセーブ。チームに大きな勢いをもたらします。キッカーも米倉、橋詰、菅谷、多田と4人目まで準々決勝とまったく同じメンバーが全員成功。そして久我山5人目のキックが無情にもバーを越え、激闘に終止符。東久留米が「久留米時代も含めた歴史の中で初めて」(齋藤監督)というインターハイ出場を決めました。
実は東久留米は沖縄への修学旅行が震災の翌日に予定されていたために中止。学校側の配慮で関西への移動教室が実施されたのですが、その期間がこの準々決勝と準決勝の間ということで、今週はほとんど練習をしないまま、決戦に臨んだとのことでした。それでも今シーズンの東京高校サッカー界で、私が個人的に見たチームの中では、おそらく現時点での完成度はナンバーワン。近年はなかなか全国でも結果の出ない東京勢というイメージを払拭するような快進撃を、秋田で披露してくれることを祈っています。  AD土屋

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