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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年06月25日

インターハイ東京準決勝 かえつ有明×帝京@駒沢第2

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201106251215000[1]kaetsu.jpg4月の支部予選からスタートした東京のインターハイ予選もいよいよ大詰め。駒沢第2で行われる準決勝2試合の勝者が、秋田で行われる全国大会への出場権を手にします。第1試合は昨年の選手権決勝で駒澤大学高に惜敗し、4年連続の全国出場を断たれた帝京。最大の目標はその冬の王者奪還ですが、全国における現在地を知る意味でも負けられないゲームです。対するは、先週の準々決勝で第1シードの優勝候補・成立学園を6-2と粉砕したかえつ有明。3年ぶりに帰ってきた準決勝を突破すれば、初の全国に手が届きます。予想された天候とは違い、快晴の駒沢で晴れ舞台への最終関門が幕を開けました。
ゲームはおそらく30度近い気温も考慮してか、立ち上がりからゆったりとした展開に。前への圧力で上回った帝京は12分に照井久磨(3年・広島五日市FC)が獲得したFKを、松岡啓太(2年・Az'86tokyo-ome)が中へ入れるもかえつDFがクリア。また、24分には小山北斗(3年・FC東京U-15むさし)が左へ振ると、受けた伊藤遼(2年・岐阜VAMOS)のカットインシュートはゴール右へ。ただ、30分まではこの2つのシーン以外にチャンスらしいチャンスはなく、攻勢の割には手数を出せません。
一方のかえつは、序盤こそある程度長いボールを蹴るシーンも見られましたが、10分過ぎくらいからはいつもの「蹴らずに繋いでゴール前まで行こう」(かえつ有明・中込正行監督)というスタイルを表出。GKも含めて、時にはやり過ぎとも思えるショートパスを最終ラインで敢行することも少なくなく、スタンドからはザワめきも起こる中、本人たちはどこ吹く風。自信を持ってボールを繋いでいきます。31分にはその形からチャンス創出。中村哲平(3年・レイソルSS青梅)のリターンから大庭周平(3年・ジェファFC)がスルーパス。中村光春(3年・横浜FC鶴見)がオフェンスファウルを取られ、シュートは打てませんでしたが、1つ狙いを体現します。
直後の31分、帝京にこのゲーム最初の決定機。右サイドで松岡が縦パス。照井のクロスは中央へ走り込んだ大野耀平(2年・浦和レッズJY)にピタリ。ヘディングはクロスバーの上へ外れましたが、ここから流れは一気にカナリア軍団へ。35分、3バックの中央に入った新地寿史兆(3年・FC東京U-15むさし)が大野とのパス交換からエリア内へ侵入し、クロス気味のシュート。39分には小山、町田直樹(3年・東京久留米FC)、伊藤と回して、大野のシュートはDFに当たり、方向を変えてゴールに向かうも、何とか飛び付いたかえつGK大石文弥(3年・横浜FC鶴見)がビッグセーブ。さらに40+1分には、右サイドを伊藤がドリブルで切り裂いて上げたクロスに、町田が頭から飛び込むも枠を捉えられず。とはいえ、右サイドが一気に活性化した帝京がペースを引き寄せた形で、前半40分間は終了しました。
ハーフタイムを挟んで後半に入ると、まずは42分に帝京。長谷川優希(3年・グランデFC)のパスから松岡がダイレクトで枠の左へ飛ばし、ファーストシュートを取りますが、44分にはかえつにもカウンターからチャンス到来。中央でボールを運んだ藤山世開(3年・ジェファFC)が右へはたくと、上がってきたのは3バック中央の杉本一平(3年・VIVAIO船橋)。クロスはDFに引っ掛かり、シュートには持ち込めなかったものの、このCBのオーバーラップこそ「ここをこうしなきゃいけないという形はないので、それぞれが考えてやっている」(中込監督)かえつスタイルの真骨頂。するとこのチャンスから、流れはかえつへ。
50分、中村光春のスルーパスから橋村圭太(3年・横浜FC鶴見)が抜け出しかけるも、帝京CB鈴木涼太(3年・FRIENDLY)がスイープ。55分には中村哲平、鈴木美勇士(2年・FC台東U-15)、中村光春と繋いで、大庭のフィニッシュはDFに当たってゴール左へ。存在感の増してきた浜田航(3年・レイソルSS青梅)を中心とした高い流動性が、ジワジワ帝京を蝕み始めると、63分にも橋村の左クロスがクロスバーを叩くなど、予期せぬ好機も創出。先制の匂いが漂い始めます。
ところが先にゴールを挙げたのは帝京。64分、左へ流れた伊藤がマイナスに折り返すと、勢いよく入ってきた長谷川がDFと接触して転倒。主審は迷わずPKを指示します。キッカーの町田は迷いなく、ゴールのど真ん中へ蹴り込む強心臓ぶりを発揮。とうとうスコアが動きました。
追い掛ける展開となったかえつは69分、鋭いカウンターから中村哲平が左へ送ると、橋村は足元に収めて素早く右足を振り抜きましたが、ボールは左ポストを直撃。ツキもありません。逆に71分は帝京。スローインから町田を経由すると、長谷川のシュートは大石が何とか阻止。1本のパスから、ジャックナイフをかえつの喉元へ突き付けます。
かなり苦しくなったかえつは74分、中村光春がFKを獲得。スポットに立ったのは中村哲平。直後、スタンドに訪れたのは黄色の沈黙と赤の絶叫。ゴールまで約25mの距離から放たれたボールは、ゴール左スミへ魅入られたかのように吸い込まれます。「いつも練習では決めている。どちらかというと勝負強いタイプ」(中込監督)という中村哲平の起死回生弾。79分に町田が左足から繰り出したシュートもクロスバーを直撃すると、そのまま80分間が終了。組織も機能したかえつと、個人の突破が目立つ帝京という構図で10分ハーフずつ加えられた延長戦もゲームを決めるゴールは生まれず、東京1枠目の全国切符は、PK戦に決着の舞台を移しました。
初めての全国を目指す新鋭と、誰もがその名を知る超名門。メンタル勝負とも言えるPK戦において、その見えないプレッシャーは前者にかかりそうな気がしていましたが、中村哲平、浜田、鈴木、橋村とかえつは4人目まで全員がGKの逆を突いて成功。5人目の大庭も方向は読まれながら、キッチリゴール。帝京も5人全員が確実に沈め、サドンデスに突入します。
先行のかえつは中村光春が再びGKの逆を突いてゴール。そして帝京の6人目が右スミを狙ったボールは、大石が横っ飛びで完璧なセーブ。「勝っていく内にあと2つ、あと1つという意識が徐々に高まっていった」(中込監督)かえつが、あと2つやあと1つを見事に乗り越えて、創部6年目で初めての全国へ挑戦する権利を獲得しました。
新興勢力とはいえ、既に都内では上位進出の常連となっていたかえつ。「今までのかえつの中で比べても、3年生のレベルは高い」と指揮官も話すメンバーで、とうとう全国出場という確かな成果を勝ち獲りました。「全国ではチャレンジ精神でアグレッシブに戦ってきたい」と中込監督。東京の代表として、秋田で暴れてきてくれることを祈っています。  AD土屋

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