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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月01日

J2第9節 草津×熊本@正田スタ

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201104301834000[1]kusatsu.jpg3月5日の開幕から2ヵ月弱。Jリーグの中で最も遅い「待ちに待ったホーム開幕」(草津・副島博志監督)を迎えた正田醤油スタジアム群馬。アウェイ開催の2試合を経て、ようやく自らが熱量を注ぎ込む戦士たちを目の前で応援する機会を得た草津サポーターを中心に、スタジアムへ集まったフットボールジャンキーたちは3258人。“俺達に出来る事を”と“共に歩もう”の間に日の丸をあしらった横断幕が掲出される中、その場にいた全ての人々による黙祷が捧げられ、ゲームはキックオフを迎えました。
先に勢い良く飛び出したのは、開幕2連勝と上々のスタートを切った熊本。4分、エリアのすぐ外でボールをうまく収めた長沢駿が、思い切り良く左足を振り抜き、GK北一真の好セーブに阻まれたものの、いきなり草津ゴールに襲い掛かります。さらに15分、地元凱旋となる群馬出身の仲間隼斗が粘って繋ぎ、市村篤司のクロスに頭で合わせたのはここも「高さの部分ではどのチームにも勝てている」と話す長沢。「最初は入るかなと思ったけど少し軌道が逸れていった」(長沢)ボールは左のポストを直撃しましたが、惜しいシーンを創出します。
熊本のシステムは中盤ダイヤモンドの4-4-2。長沢と仲間の2トップで、その下にファビオが入る形を採用する中、「ちょっとビックリしたピッチの悪さ」(熊本・高木琢也監督)とあれば、当然共に190センチを誇る長沢とファビオを目がけたロングボールは第一の選択肢。特に長沢の高さは序盤から効果的で、「セカンドを拾おうとすると中盤も最終ラインも引いてしまう。ある程度全体が下がるのは仕方ない」と副島監督も話したように、草津は自陣へ押し込められてしまいます。ところが、先制ゴールを奪ったのは劣勢の草津。17分、右サイドの深い位置でボールを残したアレックスが中へ送ると、萬代宏樹はスルー。ここへ「スルーと声を掛けて」走り込んだ熊林親吾が右足のダイレクトで叩くと、ボールは右スミギリギリに飛び込むファインゴール。「別に仲良くないです」とスコアラーも嘯く、元ベガルタコンビの巧みな連携で、ホームチームがリードを奪いました。
そして、このゴールが双方の形勢を入れ替える効果をもたらします。草津は、「相手はCBの背後がウイークポイントと捉えていて、そこをスピードのある2トップが狙う」(副島監督)形を多用。また、これが熊本のプレスを外す作用ももたらし、相手に攻撃の時間を与えません。さらに、躍動が目立ったのは右SBに入った古林将太。32分には松下裕樹のサイドチェンジを受けると、積極的なカットインを試み、自らフィニッシュまで。40分にも彼のドリブルが萬代のシュートに繋がるなど、サイドの推進力として機能していたと思います。一方の熊本は、「なるべく近くでプレーすることを言われていた」(仲間)前の3人がなかなか有機的に絡めません。中でもファビオはボールを受けるポイントが掴めず、ピッチを彷徨ってしまう羽目に。「前の3枚は流動的だったけど、CB2人と僕でうまく回しながら我慢して対応した」とは草津のボランチを務める松下。15分以降で熊本に記録されたシュートはゼロ。ゴールを機にバランスを整えることに成功した草津が1点のアドバンテージを持って、ハーフタイムに入りました。
後半開始から動いたのは高木監督。「今日のピッチは彼の持ち場じゃなかった」と仲間に替えて、Jリーグデビューとなる中京大から加入したルーキーの齊藤和樹を投入。「とにかくゴールに向かう動きを意識した」(高木監督)交替で、まずは1点を狙います。すると47分、いきなりそのルーキーにチャンス到来。市村が右サイドの深い位置から中へ折り返すと、受けたのは齊藤。ゴールへのコースも空いており、絶好機に見えましたが、持ち出しを選択し、DFに入れ替わられオフェンスファウル。「意表を突くトリッキーなプレーがある」(高木監督)「足元に巧さがある」(熊本・根占真伍)と2人が口を揃えた特徴を聞けば納得できる部分はあるものの、ルーキーがデビュー戦で見せるファーストプレーとしては消極的。以降、齊藤には数回のチャンスが訪れましたが、いずれも無難なプレーチョイスに終始。この状況で起用されたことからも容易に想像できる期待の大きさと裏腹に、チームの停滞を招く一因になってしまった感は否めません。
50分には後方からのフィードを長沢が落とし、ファビオの左足シュートは枠の右へ。53分にも草津DFラインの連携ミスを突いて、ファビオが独走。DFに背後から倒され、ファウルかと思われたシーンに野田祐樹主審のホイッスルはならず、チャンスは潰えてしまったものの、ファビオに積極性が戻ってきただけに、それをユニットとしての攻撃に昇華できなかったのは熊本にとっても痛かった部分でしょう。それでも攻勢は熊本。63分、片山奨典の左クロスから、こぼれを狙った筑城和人のミドルはクロスバーの上へ。64分、廣井友信のフィードから最後は片山のボレーもクロスバーの上へ。68分、根占のパスを受けたファビオは、コンタクトで1人弾き飛ばすドリブルを披露し、シュートを放つもGKキャッチ。1点が重くのしかかります。
高木監督2枚目のカードは72分、片山に替えて大迫希。3枚目は80分、筑城に替えて、こちらもJリーグデビューとなる大阪教育大から加入した田中俊一。システムも3-1-4-2へシフトして、「ボックスの中にとにかくボールを入れる」(高木監督)姿勢を明確に、最後の勝負へ打って出ます。しかし、「ゴール前にかなり人もいて、ガッチリ守ってきてる感じ」と長沢も話した草津の堅陣はCBの中村英之と御厨貴文を中心に聳え立ち、揺るがず。副島監督もようやく80分に切った1枚目のカードは、「前でのキープ力が欲しかった」とアレックスに替えてラフィーニャ。さらに88分には熊林を下げて、DFの田中淳を送り込むと、92分には古林と佐田聡太郎のSB同士を入れ替える、念の入れよう。93分には田中のロングスローからフリーになった櫻田が、絶好の決定機を決め切れないシーンもありましたが大勢に影響なし。「よくファイトして、集中してやってくれた」と指揮官も称賛した草津が“再”開幕2連勝かつ今シーズンのホーム初勝利をサポーターに贈りました。
1点に泣いた格好の熊本は、昨シーズン飛躍的に向上した組織での守備ブロック形成はほぼ問題なし。あとはいわゆるアタッキングサードの部分ですが、「こういうゲームに出続けるシーズンは初めて」という長沢と、「監督の信頼度を上げて90分間出たい」という仲間の2トップは補完性も高く、コンビが熟成してくれば、ファビオも含めたユニットはJ2を席巻する可能性を十分秘めていると思います。
勝った草津はパワーに強みを持つ相手の攻撃陣に対して「ウチのCBもよく跳ね返したし、うまく凌げたと思う」と松下が話した通り、無失点で終えたのは、19歳の古林に20歳の永田拓也という、非常に若いSBを含んで構成される最終ラインにとって大きな自信になったはずです。「昨シーズンは開幕5連敗が重くのしかかった。そういうイメージを払拭する意味でも結果は凄く大事」と副島監督。季節外れの“空っ風”をJ2前線に巻き起こす準備は十分整っています。

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