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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月05日

J2第10節 東京V×FC東京@味スタ

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201105050643000[1]aji.jpg3年ぶりの再会はJ2での対峙。共に昇格を唯一の目標に頂く東京VとFC東京。東京ダービーが味スタに帰ってきました。ただ、東京に本拠を置くライバルという以上に、J1復帰にとって蹴落とさなくてはならないライバルという側面も強い両者の激突。スタジアムを埋めた“東京サポーター”は28832人。この一戦でしか歌われないチャントが渦巻く中、20度目となるキックオフを告げるホイッスルが吹かれました。
先にチャンスを掴んだのはFC東京。4分、最終ラインで少しもたついた深津に激しく寄せた梶山がボール奪取から、足を伸ばしてオープニングシュート。前節から戦線復帰した土肥が辛うじて弾き出しますが、まずは勢いを表出させます。5分は東京V。ユースから昇格したルーキーの小林がシンプルに縦へ。走った平繁はカバーに戻った森重と入れ替われず、オフェンスファウル。ここは結果的にシュートまで至らなかったので、あまり印象に残らないシーンだったかもしれません。ただ、これは“繋ぐ”スタイルを標榜する東京Vが隠し持った狙い。「後ろの4人のカバーの関係がうまくいってないように見えたし、森重と今野の間が空く」(川勝良一監督)というのはインフォメーション済み。実際に平繁が抜け出したのはCBのまさにど真ん中で、狙い通りの動き出しだったのは間違いありません。
6分はFC東京。阿部の左クロスを、高松が頭で叩いたボールは枠の左へ。14分は東京V。河野、菊岡、井上と回して、河野の左クロスを平繁はシュートまで持ち込めなかったものの、ヴェルディらしいスタイルを見せ付けます。15分はFC東京。右サイドから中へ付けた椋原のパスを高松がエリア内で収め、徳永を経由した羽生の左足ミドルは枠の左へ。15分まではダービーらしい、チャンスを創り合う展開となりました。
ところが、以降は「相手の流れの時間がいつもより長かった」と阿部が話したように、東京Vへ流れが傾きます。1つの要因は1トップ下へ入った河野が、幅広くボールを引き出したこと。ともすればそれは課題ともされているようですが、この前半に関しては動きの少ないFC東京の中盤をアクティビティで上回ったことは、リズムを生み出すことに繋がっていた印象です。もう1つの要因は「やれないことはないなと感じた」という小林の存在。5分のように縦への脅威をちらつかせながら、時間帯では繋ぎの潤滑油にも。このユース出身の2人のレフティが、ペースを引き寄せる上で小さくない役割をよく果たしていたと思います。さらに、平繁の負傷を受けて28分からピッチに登場した平本は、いきなり1分後に菊岡のフィードを受けて裏へ。最終的には森重のカバーに遭いますが、替わったばかりの平本もしっかりCBのギャップに潜る狙いを体言したように、東京Vはやりたいことがハッキリしていました。
一方のFC東京は「自分たちが持ってる時も崩す所まではいかない」と今野が話したように、攻撃はかなり手詰まり。こちらの要因は「2トップにほとんどボールが入らず、高い位置で基点ができなかった所」(大熊監督)。特にロベルト・セザーは果たすべき役割が明確に見えず、ピッチを浮遊。「ウチはCBが強いので、プレスバックしても潰せる」と東京Vのボランチを任された小林も話すなど、FC東京のアタッカー陣を消し去りつつ、縦と横を使い分けながら攻めた東京V優勢で45分間は終了しました。
後半も勢いは東京V。50分には河野が獲得したFK。菊岡が入れたボールを土屋が完璧なヘディングで枠に運びますが、ここは今野が必死にクリア。先制とはいかないものの、決定機を掴みます。苦しいFC東京に追い打ちを掛けるような判定は54分。エリア内で倒れたロベルト・セザーに対して、飯田淳平主審はシミュレーションと判断し、イエローカードを提示。前半にも1枚もらっていたため、35分近くを残して退場となってしまいました。
ここがゲームの潮目。結果として、この退場によってゲームの流れは一転、ほとんど五分か、あるいはややFC東京ペースに変化します。FC東京側からすれば「1人少なくなってやることがハッキリした」(椋原)のが好転した形。59分には高松に替わって谷澤が入り、鈴木を最前線に押し出した4-4-1にシフトすると、61分にはその鈴木が足元でボールキープする土肥に激しく襲い掛かり、あわやというシーンを創出。さらに68分、羽生に替えてペドロ・ジュニオールを1トップに送り込んでからは、一層戦い方に統一感が出てきます。逆に東京Vは「もっとチーム状態に余裕があれば、外をうまく使って相手を引き出したり、攻撃の人数に厚みを増せたが、多少焦りはあった」と川勝監督。小林も「ゴールを狙う意識が強過ぎて、前へ前へになってしまった」と話しています。また、「前半飛ばしたこともあって」(川勝監督)全体の運動量が低下したタイミングも、FC東京に10人でのゲームリズムが出始めたのと結果的にマッチした印象。まさに「サッカーにありがちな1人少なくなった方が頑張る」(川勝監督)要素が重なって、ゲームが変容したのだと思います。
78分、FC東京に訪れたビッグチャンス。右サイドで谷澤からのリターンを受けた椋原のクロスは絶妙。ペドロ・ジュニオールの頭にピタリと合ったものの、ボールはゴール左へ。アウェイ側の青赤が頭を抱えます。81分、鈴木のCKをファーで今野が叩いたボレーは、土肥が何とかキャッチ。攻勢はFC東京。さらに最終盤には思わぬアクシデント。所定の90分を回ってから、土肥が負傷によりプレー続行不可能に。既に3枚のカードを使っていた東京Vは「DF陣は絶対変えたくなかったので、身長もあるからアイツが。結構やりたそうでしたけど、逆に(笑)」(土屋)と平本が色の違うユニフォームを着込み、ゴールマウスに立ちます。時間は96分。谷澤の蹴ったCKは、ゴール前で混戦になりましたが、なんとかシュートを打たれる前にDFがクリア。98分41秒、終了を告げるホイッスル。東京ダービー第1弾は両者譲らず。スコアレスドローという決着を迎えました。
東京Vは前半の出来からすれば勝ち点3を奪いたかった所ですが、「シンプルだけどゴールに向かう所は多少見えてきた」と指揮官も話したように、繋いでいく中でも縦へ一気にスピードアップする形から何回かチャンスを創れたのは収穫。連敗も3でストップするなど、上昇の兆しになり得るゲームだったのではないでしょうか。
一方、やや深刻なのはFC東京。平山、米本、石川と絶対的とも言うべき中心選手の離脱は確かに痛い所ですが、そういう時のために大量補強を敢行したはず。特にボランチはJ1と比べても見劣りしない選手層を誇るにも拘らず、徳永を起用せざるを得ない辺りに、チーム作りが思うように進んでいない現状が垣間見えます。また、4試合を終えてわずかに1ゴールしか奪えていない攻撃面も課題が山積み。しばらく茨のJ2道が続くかもしれません。

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