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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月03日

J1第9節 川崎×磐田@等々力

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201105032025000[1]kawasaki.jpg再開幕初戦はホームで仙台に劇的な逆転負け。金曜日のゲームも昨シーズン王者の名古屋に完封負けと、連敗を喫してしまった川崎。何とか悪い流れを変えたい相馬直樹監督は、故障で出遅れていた“王様”ジュニーニョのスタメン起用を決断。さらに、稲本の負傷欠場を受けてボランチには中村を配置し、SHも右に田坂、左に山瀬とメンバーに変化を付けてきました。一方、磐田のスタメンは前節からCBのイ・ガンジン、左SBの山本脩人、前線の山崎と3人が変更点。開幕3試合で1勝2分けとある程度結果が出ているだけに、アウェイとはいえ勝ち点3を持ち帰って一層の自信に繋げたい所。水色を基調とするチーム同士の一戦は小雨の等々力です。
ゲームは非常に慎重な立ち上がり。お互いに単発で終わる攻撃が多く、なかなかシュートシーンを創れません。先にいい形を迎えたのは磐田。9分、後方からのフィードを前田が頭で落とすと山崎が繋ぎ、小林のミドルはDFにブロックされますが、シンプルに前田に当てて展開というチームの核となる狙いから、チャンスを生み出します。すると20分にも磐田に好機。川崎DFのクリアを拾った駒野が前田に付け、左へ展開したボールを山田がクロス。DFのクリアでCKになりましたが、速い攻撃で川崎を脅かすと、駒野が蹴ったCKは前田が頭でジャストミート。相澤のファインセーブが飛び出し、先制とはいかなかったものの、決定機を創出しました。
さて、20分までシュートを小宮山の強引なミドル1本に抑えられていた川崎は、「仙台戦と名古屋戦は中、中からの攻撃が多かった」(井川)ことから、「もっとサイドから攻めようと話していた」(柴崎)にも拘らず、2トップを除いてSHも含めた8枚のブロックで守る相手を引き出す仕掛けに欠け、狙いを体現できません。そんな中、流れを変えるプレーが見られたのは22分のシーン。自陣でボールを持った中村の裏を狙ったシンプルな縦パスに、走ったジュニーニョは潰され、チャンスにはならず。それでも直後、中村のスルーパスから左サイドを抜け出したのはまたもジュニーニョ。クロスは中と合いませんでしたが、「2人の縦への意識はアクセントになる」と井川。この辺りの時間帯から急激に中村のボールタッチが増え、それに比例して川崎の攻撃が勢いを増していきます。24分、山瀬のパスを収めた矢島が繋ぎ、ジュニーニョのシュートはバーの上へ。26分、中村が小宮山とジュニーニョを連続して壁に使うワンツーから、最後は捕まりましたがエリア内へ侵入。28分、左サイドで小宮山と山瀬のパス交換から、最後は中村がバーを越えるミドル。小宮山、山瀬と左サイドの2人が躍動。中村を中心にチームのリズムが生まれます。
すると、その傾いた流れを加速させるシーンが訪れたのは30分。田坂へのファウルを犯した山本脩人に西村雄一主審が提示したのは、2枚目のイエローカードと、それに伴うレッドカード。磐田は残り60分以上を10人で戦うことになりました。柳下正明監督は山田を下げて金沢を送り込み、4-4-1にシフトして対応。36分、小宮山とのワンツーから山瀬の折り返しは、ジュニーニョに合うもシュートがヒットせず。45+1分、ゴール左、約25mの位置から中村のFKは枠のわずか右へ。スコアレスとはいえ、攻の川崎、守の磐田という形がより明確になって、前半は終了しました。
ハーフタイムを挟んでも、当然流れは変わらず。「もう攻められるのはしょうがないので、前と後ろをコンパクトにした中で踏張ろうと」(那須)いう磐田を、川崎が押し込みます。48分、中村の右CKを菊地が頭で競り勝つと、ボールはフリーのジュニーニョへ繋がるも、ヘディングはゴール左へ。51分、またも中村の右CKから、最後は小宮山が放ったボレーはバーの上へ。53分、山瀬が左サイドをドリブルで切り裂き、上げたクロスへ飛び込んだ矢島のヘディングは枠に飛ばず。56分、前半途中でケガの田坂と交替した登里と田中で右サイドを崩すも、矢島はシュートまで持ち込めず。62分、中村の高速縦パスを受けた矢島が、右へ流れながら打ったシュートは枠の左へ。「サイドは機能していたと思うし、仙台戦や名古屋戦よりフィニッシュも増えていた」とは柴崎。「10人になってからもバランスよく守備していた」とは柳下監督。攻守の構図こそハッキリしていたものの、お互いにこのシチュエーション下では決して悪くないパフォーマンスを披露しながら、時間が経過していきます。
71分、中村の縦パスをジュニーニョがうまく引っ掛けて、シュートを放つも枠の左へ。78分、中村が山瀬とのパス交換から左へ送ると登里はフリーでしたが、トラップが大きくなり川口がキャッチ。直後にもジュニーニョのラストパスから登里が抜け出すも、飛び出した川口がファインセーブ。日本を背負った守護神の貫禄。スコアは動きません。
79分、相馬監督の決断。「左サイドからかなりクロスが上がっていたので、クロスに入る人数を増やしたい。右サイドから思い切って突っ込めばチャンスが来るからと送り出した」小林が、登里に替わってピッチへ登場します。84分には磐田に決定機。駒野のFKから、一瞬のエアポケットを見逃さなかった前田が左足ボレー。ボールはわずかに枠を逸れましたが、後半最初にして最大のチャンス。2年連続得点王の怖さを垣間見せます。逆に川崎が掴んだ決定機は87分。左サイドで2人を外した中村がクロスを入れると、飛び込んだのは小林。まさに指揮官の采配ズバリ。ところが頭に当てたボールは枠を捉えられず。等々力にため息が広がります。
時間は90分に突入。もはや万策尽き果てかけたかに思われた時、突如としてスタジアムに訪れたのは歓喜と熱狂。左サイドから小宮山が上げたクロス。ジュニーニョのシュートはDFがブロック。再びジュニーニョのシュートもDFがブロック。「よく覚えてないけど転がってきた」ボールをプッシュしたのは、右から詰めていた小林。「途中から試合に出ても、なかなか結果が出せずに悔しい想いをしていた」ストライカーのJリーグ初ゴールは、チームに勝ち点3をもたらす貴重な貴重な決勝弾。川崎が土壇場で連敗をストップする大きな勝利をモノにする結果となりました。
磐田は「後半44分まで非常に良い仕事をした」という柳下監督の言葉が全て。チームのスタイルとして、前線が1枚になると攻め手が相当限られるのはやむを得ず、ドローで十分という戦い方は奏功していましたが、最後の最後で決壊してしまいました。ただ、「全員で守る意識はできていた。戦う姿勢は今後に必ず生きる」と那須。守備面では一定の手応えを掴んだようです。
川崎は前述したように、サイドを使う意識の高さが攻撃のバリエーションを増やした印象。特に決勝点にも繋がった左サイドは、山瀬に小宮山と単騎でもコンビネーションでも崩せる2人がかなり効いていました。「今日の勝利をキッカケにできれば、自分たちの自信に繋がる」と柴崎。川崎にとっては、苦しみながらも結果と自信を手に入れた価値のあるゲームだったのではないでしょうか。

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