デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2011/05

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月28日

J1第13節 甲府×山形@中銀スタ

foot!
  • Line

201105282252000[1]kose.jpg前節の横浜FM戦は、前半での4失点が響いて大敗。小瀬に帰還してのホームゲームでは、名古屋戦に続いて確実にホーム連勝となる勝ち点3を獲得したい甲府。一方、大きな注目を集める中で行われたみちのくダービーはホームで手痛い黒星を喫し、現在3試合連続で完封負け。「同じような順位のチーム」(秋葉)を叩いて、何とか浮上のキッカケを掴みたい山形。ここまで1勝同士。勝ち点6の13位と勝ち点4の17位が対峙する一戦は、梅雨入りを改めて実感するような冷たい雨の中でキックオフを迎えました。
「立ち上がりはよくなかった」と甲府の三浦俊也監督も認めたように、いいゲームの入り方をしたのは山形。2分、佐藤が左へ展開すると、廣瀬を経由して宮本がクロス。ダニエルのクリアに遭ったものの、以降も速いボールアプローチで、セカンドも含めてボールを回収。そこからうまくサイドに基点を創り、攻勢の時間が続きます。
山形でアクセントになっていたのは、このゲームがJリーグ初スタメンとなった左SHの伊東。サイドにこだわることなく積極的にボールを引き出し、13分には左サイドからグラウンダーの素晴らしいサイドチェンジで廣瀬のシュートをお膳立てするなど、CBの園田も「いい活力剤になってくれた」と認めるパフォーマンスで、チームに推進力を与えます。本来、山形は守備のタスクがはっきりしているため、割と個人のプレーエリアが決まってくるのですが、伊東は広範囲に顔を出しながらリズムを創る、チームの中でも希有な存在。このゲームでは、そのプラス面がよく出ていたと思います。
ところが、好リズムも暗転。21分、山形の左SBを務める小林がイージーなパスミス。阿部のカットから、犬塚が左へ展開。永里を追い越して受けたボールを、吉田がクロス。ハーフナーが競り合ったこぼれを永里がシュートに持ち込み、これは山形GK植草がよく弾きましたが、いち早く反応したハーフナーが頭でプッシュ。「自分たちのペースでできない時間が15分前後続いた中での先制点」(三浦監督)で、甲府がリードを奪いました。
「最近は個人のイージーミスで失点を食らってるのが凄く多い」(小林監督)中、山形はこのゲームもパスミスをキッカケに失点。「3連敗している中での失点で、嫌な感じが脳裏をよぎった」とは園田。またかというような雰囲気は正直あったと思います。ただ、過去3試合と違ったのは躍動していた伊東の存在。26分、スローインの流れから、古橋がボールをキープ。宮本の上げたクロスが密集の外に流れると、そこにいたのは伊東。巧みにバウンドを合わせて叩いたボレーは、飛び付く甲府GK荻を破ってネットへ到達。「失点して硬くなるなって言ってもなっちゃう中で、チームを助けてくれた」と指揮官も称賛する伊東のJリーグ初ゴールが飛び出し、ゲームは振り出しに戻りました。
以降は40分にショート、ショート、ロングというシンプルな3人目を生かす形から、ハーフナーが完全にラインの裏へ抜け出しながら、トラップしきれずにチャンスが潰えたシーンはありましたが、全体的には山形ペース。この理由として大きかったのは園田と石井で組む山形のCBコンビが、ハーフナーに入るクサビをことごとく遮断していたこと。特に園田は「ほとんどマンツーマンでやってる感じ」だったハーフナーとの空中戦にも「競る前に離れて、距離を取ってから行った。どう行けば勝てるかは徐々に掴めた」と手応えを語ったように、互角以上の勝率。キーになるセカンド奪取も佐藤と秋葉を中心にして優位に立ち、「前半に危ないやられ方はほとんどなかった」と秋葉も語るなど、結果的には「前半は山形のペースだなあと思った」と三浦監督も話すような45分間となりました。
後半スタートから動いてきたのは、その三浦監督。内田に替えて、「攻撃に停滞感を感じたので、タメを創ったり周りの選手を生かしたりすることを期待して」片桐を投入。すると、48分には早速片桐が右サイドで阿部とのパス交換から対面のDFを1人かわすと、アーリークロス。ハーフナーが頭で落としたボールはクリアされたものの、名古屋戦でもゴールを生み出したホットラインがいきなり見られました。53分には小林監督も1枚目の交替を決断。1トップ下の古橋を船山へ入れ替えます。54分も甲府のチャンス。替わったばかりの船山が軽いプレーでボールロスト。阿部、山本と繋ぎ、吉田の左クロスに合わせたハーフナーのヘディングは当たりが薄く、植草がキャッチしますが、サイドをしっかり攻略。手数は甲府が多い中、お互いサイドに収まるポイントがあるため、互角の攻防が続きます。
山形が迎えたビッグチャンスは61分。左サイドで船山からパスを受けた伊東のクロス。ニアの密集からボールを持ち出したのは長谷川。GKも外し、至近距離から枠へ飛ばしたシュートの帰結は、ゴールカバーに入っていた山本の頭によるクリア。ゴールを決めるのにも匹敵する、キャプテンのビッグプレー。勝ち越しは許しません。ここからゲームは膠着。62分、甲府は負傷の犬塚を諦めて保坂を投入。68分、山形はゴールを決めた伊東と宮沢をスイッチ。77分、甲府は永里を下げて、切り札の柏をピッチへ。ただ、いずれの交替策も劇的に流れを変える要因とはなり得ず、どちらも攻撃をシュートまで繋げることができません。
85分は甲府。市川の右クロスから、二アで阿部が巧みにフリックしたボールは、飛び込んだハーフナーもわずかに届かず。そして90分には山形にビッグチャンス。攻撃に人数を掛けていた相手の裏を取ったカウンター。抜け出したのは長谷川。追い掛けるDFはわずかに1人。中にはフリーで船山。しかし、選択としてはワーストに近い、距離があり角度のない位置から放たれたシュートは、サイドネット外側にヒット。チームも自身もゴールが遠いだけに「プレッシャーが掛かっていたのかな」と秋葉。92分に片桐のCKを信じられない打点の高さで叩いた阿部のヘディングも、わずかに枠の右へ逸れ、タイムアップ。共に勝ち切れない現状を象徴するような1-1というスコアで、ゲームは終了しました。
87年生まれ、J2でブレイク、守備に特徴のあるチームの長身ターゲットと、共通項の多いハーフナーと長谷川。この2人がどれだけ機能するかがゲームの流れを左右すると予想していたのですが、それぞれ園田とダニエルに封じ込まれ、ポストワークは不発。それでもハーフナーはゴールへの嗅覚を発揮し、長谷川は2度の決定機を失敗。その部分が結果に与えた影響は大きなモノとなりました。スケールの大きさは十分で、日本人にはサイズを含めても珍しいタイプの2人なので、是非フル代表に到達するようなパフォーマンスを今後も期待したいと思います。

  • Line