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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月22日

J1第12節 山形×仙台@NDスタ

foot!
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仙台にとって「震災後、初めてブーイングで迎えられた試合」(仙台・手倉森誠監督)。通算で34回目を数える今回の“みちのくダービー”は、その開催自体に大きな意味合いを持つ特別なダービー。モンテディオ山形とベガルタ仙台。東日本大震災で甚大な被害を受けた東北地方に本拠地を置く、たった2つのJリーグクラブが、震災後初めて激突するという、東北のサッカー界、あるいは東北のスポーツ界にとっても歴史的なゲームはNDソフトスタジアム山形で行われます。
1勝1分け4敗の17位。第9節では今シーズンのJ1を席巻している柏にここまでで唯一となる黒星を付けたものの、ここ2試合は磐田と大宮に連敗。なかなか勝ち点が伸びない中、何とか流れを変えたい山形。3勝3分けの3位。前節の磐田、前々節のC大阪と共に後半アディショナルタイムの失点で勝ち点2を逃してしまいましたが、バランスの取れた戦い方でいまだ無敗を続ける仙台。置かれている状況は対照的ですが、まだ序盤戦とは言っても、このゲームの結果いかんが今後に大きな影響を与えるのは間違いない所。キックオフ前には雨も上がり、スタジアムを埋め尽くした青と黄色は18008人。13時4分、関口がボールを小さく蹴って、ダービーの火蓋は切って落とされました。
3分、仙台のファーストチャンス。リャン・ヨンギを起点に、太田が左へ繋ぐと、パク・チュソンは精度の高いクロス。赤嶺のヘディングはヒットせず、GK植草がキャッチします。6分に角田の強引なミドルを挟み、14分にはまたも左からチャンス。これもリャンを起点に、関口を経由して赤嶺のクロス。前節ゴールを決めている右SBの菅井が走り込み、宮沢が間一髪でクリアしたものの、「前半にいくつか続いたクロスは怖い感覚」と小林伸二監督も話したように、仙台がサイドを意識した形からチャンスを創出します。ただ、このシーンだけを抽出すると、仙台がきっちり回してサイドを攻略していた印象を受けるかもしれませんが、実際は割と手数を掛けずに長いボールを使うシーンが多く、山形も立ち上がりから「シンプルに前へ前へ入れてくる」(手倉森監督)形を選択したために、序盤はお互いに慎重な時間帯が続きます。
17分は山形。長谷川が粘り強いキープから左へ展開。小林のクロスを仙台ディフェンスがクリアすると、宮沢がボレー。ゴールとはいきませんが、ようやく1本目のシュートを記録します。19分は仙台。2人のDFが寄せる間をぶち抜いたパクが中へ。赤嶺の落としを太田が枠内へ。23分も仙台。左サイドからパクがここもいいクロスを上げると、飛び込んだ菅井のヘディングは叩きつけ過ぎ、GKにキャッチされましたが、磐田戦でもゴールを生み出した、左SBのクロスに右SBが飛び込むというシーンが見られました。さらに25分にも仙台は怒濤の4連続CKを記録するなど、サイドの攻防も含めてこの時間帯までは、ある程度仙台が主導権を握っていたと思います。ところが、仙台が前半で記録したシュートは、この一連のCKから角田が放ったヘディングが最後。少しずつ山形が持ち直し、展開も五分に近い所までは引き戻すことに成功しました。
実際、「前半はいい入りができた」と小林監督が話し、「前半は全体的に押し込めていたと思う」とボランチの佐藤も言及したように、山形からすれば自らの右サイドから多少攻められるのは想定内。また、確かに攻撃の手数は食らったものの、中央をしっかり締めることで、仙台に決定機と呼べるようなシーンはほとんど創らせておらず、これも冷静なゲーム運びを実行できた一因でしょう。こうなると、山形にも勢い。30分、植草のロングキックを長谷川が頭で繋ぎ、廣瀬のクロスは宮沢がわずかに届かず。32分、自ら得たFKを直接狙った古橋のシュートはカベに当たりましたが、スタンドの青を湧かせます。「ロングボールでボランチとCBの間を広げさせられ、セカンドを拾われて苦しい時間帯はあった」と手倉森監督も話し、「セカンドの反応はこっちの方がよかった」と石井。シュート数は4対7で仙台が上回りましたが、25分過ぎからはある程度狙いがハマり出し、いくつかのチャンスも創り出せていた山形にとっては、スコアレスながら「立ち上がりと終了間際の失点が多い」(石井)という課題もクリアするなど、決して悪くない45分間だったようです。
ところが、ハーフタイムを挟むと「ボールに行けず、後半は入りが悪かった」(小林監督)山形を尻目に、1本のセットプレーを生かしたのは仙台。52分、リャンが右サイドから入れたFKを角田が頭でクリーンヒット。ボールはクロスバーを激しく叩きましたが、こぼれ球に誰よりも早く反応したのは白の25番。「元々は攻撃的なMFの選手。そういう感覚はゴール前に行けばある」と手倉森監督も認める、山形出身の菅井がダービー初ゴール。アウェイの仙台が先制ゴールを奪いました。
これで3試合続けてビハインドを追い掛ける形になった山形は、1枚目のカードとして59分に宮沢と伊東をスイッチ。62分にはその伊東が小林とのコンビネーションから、左サイドを崩しての折り返しは、中と呼吸が合わずにチャンスは潰えたものの、好機を演出します。それでも、リードを奪った上に「CBとボランチの間を後半は修正した」(手倉森監督)仙台は守備に比重を置きながら、少ない手数でカウンターというスタイルを徹底。中でもボランチに入った角田は、厳しい局面でのスイープや、セカンドを奪取する出足の良さで、存分に持ち味を発揮。山形の中盤に自由を与えません。
70分には古橋の右CKを石井が完璧に頭で捉えたものの、ボールは枠のわずか左へ外れ、山形最大の決定機も同点とはいかず。小林監督も71分には古橋を下げて下村を投入。秋葉を1トップ下に移し、下村と佐藤のドイスボランチで勝負に出ますが、「判断が遅れて、いいタイミングで前にパスを出せなかった」と佐藤が話したように、テンポアップするような前へのボールが入らず、ボールの回し自体も遅くなってしまい、なかなかシュートへ持ち込むまで至りません。さらに85分には長身FWの大久保を送り込み、パワープレーを試みると、その直前くらいから不思議と山形が風下になるような風が吹き始め、長いボールがしっかりゴール前まで入らない状況になってしまいます。逆に仙台はここ2試合の課題として挙がっていた「最後の時間の使い方」(手倉森監督)も、コーナー付近でのボールキープに加えて、「ボールを繋ぎながら時間を使うこと」(同)にチャレンジし、確実に時計の針を進めることに成功。そして93分11秒、ゲームの終演を告げるホイッスル。0-1。みちのくダービーはアウェイの仙台が凱歌を揚げました。
負けた山形は「前半凄く頑張ってくれた」と指揮官も認める内容ながら、後半のファーストピンチでFKから手痛い失点。以降は「少し冷静じゃなくなったのかなあ」と佐藤が話したように、「最近は点が取れていなかったので1点が重い」(小林監督)中でほとんどチャンスを創れず。キックオフ前には青い星のコレオグラフィでチームを鼓舞したゴール裏のサポーターに大ブーイングを浴びる結果となってしまいました。
勝った仙台は14回目となるダービー勝利で無敗をキープ。「無失点に抑えたことは非常に大きい」と手倉森監督が話したように、前節3失点を喫した守備陣の奮起で、3試合ぶりの完封勝利。ここまで来ると、もはやこの躍進はフロックで片付けられないでしょう。現在の両者における勢いが如実に現れたダービーだったと思います。   AD土屋

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