デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2011/05

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月21日

J1第12節 横浜FM×甲府@日産

foot!
  • Line

201105212048001[1]nissan.jpg前節は広島と打ち合いを演じた末に3-2で敗れ、今シーズン初黒星を喫した横浜。それでも昨シーズンは苦しんだ渡邉が前線で軸として定位置を確保。また、新加入の谷口や小林も既に欠かせない戦力として躍動するなど、4位という現在の順位も頷ける安定感を誇っています。対する昇格組の甲府は、昨シーズン王者の名古屋を小瀬に迎えた前節で3-1とようやく今シーズン初勝利を記録。残留という大きな目標に向けても、アウェイとはいえ、上昇気流に乗って勝ち点を持ち帰りたい一戦です。26度、快晴という絶好のコンディションながら、観衆は17151人と少し寂しい数字。空席の目立つ日産で、ゲームはキックオフを迎えました。
4分、中村の縦パスに、持ち前でもある相手DFラインとの駆け引きから抜け出した大黒。中への折り返しはDFにカットされましたが、2分後にはさらなるチャンス。6分、やはり谷口の縦パス1本から、渡邉がまったくのフリーで抜け出します。甲府GK荻がファインセーブで凌ぎ、スコアは動かなかったものの、ボールを回しながら縦へとシンプルに蹴り込む形から、横浜が続けてチャンスを創出。すると11分、横浜が奪ったCK。キッカーの中村から「ニアに立っとけ」と言われた谷口は、ニアサイドのゴールカバーに入った伊東とハーフナーの間へ潜り込み、難なくヘディング。谷口の移籍後初ゴールが飛び出し、ホームチームが先手を奪いました。さらに14分、やはり中村の縦パスから谷口が抜け出すもオフサイド。ただ、常に裏を狙っているタイプの大黒と渡邉で組む2トップに加え、今日は中盤ダイヤモンドの頂点に入った谷口が、いずれも開始15分までに1本のパスで裏を突く形を体現。「ラインの間でアクセントになりながら、相手が前に出てきたら裏に出ることは話していた」と中村。狙いがハマります。
そして次のゴールも横浜。17分、大黒からパスを受けた谷口はドリブルから右へラストパス。渡邉は飛び込んだ永里を冷静な切り返しでいなすと、さらなる冷静さでゴール左スミを射抜くフィニッシュ。攻撃的なタスクを託された3人で奪った追加点。2点差が付きました。こうなると止まらないトリコロール。19分には中村が右足のミドルを枠へ飛ばし、甲府ゴールを脅かすと、3度目の歓喜は25分。渡邉が左へ展開したボールを、上がってきた波戸は切り返して中へ。しっかり走り込んでいた渡邉がワンタッチでコースを曲げ、大黒が鋭い腰の回転から左足ボレーを叩き込みます。これで早くもアタッカートリオ揃い踏み。大きな大きな3点目が横浜に入ってしまいました。
さて、シュートを1本も打てないままに、3つの失点を重ねてしまった甲府。「前からのプレスが効かなかった」とは左SHの永里。「最終ラインもよくなかったけど、ボールの出所にプレスが掛からず、いい状態で蹴られてしまうシーンが多かった」とは右SBの市川。やはりプレスがうまく掛けられず、「サイドも使われ、中も使われてキツかった」と左SBの吉田が振り返った状況になってしまったのは、チームの共通認識。さらにドイスボランチの一角で「テルさんとは2枚でコースを切りながら、前の中盤の選手も見ながら」守備に奔走した保坂は、「プレスの行き方が中途半端だったというのは感じた。結果的にだけどああなるんだったら、ラインを落としても良かったし、行くならもっとタイトに行ってもよかったと思う」と話しています。そういう意味でも、「自分が思うようなことをやってくれた」と木村和司監督も称賛した谷口の、少し浮いたポジショ二ングが甲府に混乱をもたらしたのは間違いなく、それは攻撃のユニットが機能したことで「相手のFWの良さを出させてしまった」(甲府・三浦俊也監督)ことにも繋がってしまいました。
甲府も37分にはCKを獲得し、38分には永里がやや強引な左足ミドルで実質チーム初シュートを放っても流れは変わらず。逆に40分、栗原の正確なクサビを谷口は完璧なボストプレーで右へ。開いた渡邉がクロスを上げると、ニアへ飛び込んだ大黒が確実に頭でゴールへ流し込みます。クサビ、ポストプレー、開いてクロス、ニアに入ってヘディング。まるで練習の1コマかと見紛うほどの、基本的なプレーと動き方を忠実に実行して奪った4点目。大差が付いたとはいえ、内容を考えれば決して驚きではないスコアで、両チームの平等な45分間はコントラストを描きました。
正直、「前半で決まったな」(木村監督)「ゲームは前半で決まってしまった」(三浦監督)と両指揮官が話した中での後半45分間に、取り立てて見るべきシーンがなかったのは仕方がないことでもあり、少し寂しいことでもありました。あえて甲府で光明を見出だすとすれば、後半スタートから投入された2人が悪くないアピールを見せたことでしょうか。右SHに配された柏は、持ち前のドリブルを生かしながら積極的に突破を試みます。また、片桐も最初は左SH、途中からはボランチとしてよくボールに絡み、64分には無回転ミドルでチーム初の枠内シュートを記録するなど、攻撃のリズムを生み出していました。とはいえ、実際ゲームの流れを劇的に変えるまでには至らず、4点ビハインドでの登場ということを考えれば、少し物足りなさは残ります。
一方の横浜は「ハーフタイムで監督に『ここからやっと久々に“ちゃぶれる”時間が来たな』と言われた」(中村)後半で、決定機に数えられそうなシーンは2回ほど。87分には途中出場のキム・クナンがDFをかわしてシュート。荻が弾いたボールに、こちらも途中出場の長谷川が飛び込むも、荻がファインセーブ。92分にも兵藤とのワンツーからキムがフリーで打ったシュートはバーの上へ。「後半も5点目6点目を取りにいけと言ったんですけど、言うことを聞かんかったね」と木村監督も苦笑するなど、あまり収穫を得られるような45分間にはなりませんでした。そういう意味でも少し消化不良というイメージを残しつつ、横浜が勝ち点3と得失点差プラス4を上積みして、ゲームは終了しました。  AD土屋

  • Line