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このブログについて
2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。
川崎と鹿島。2005年の川崎再昇格以降、リーグとナビスコを合わせて18回の対戦は、川崎の9勝2分け7敗とかなり拮抗していますが、そんな結果以上に、2008年リーグ戦の等々力、2009年ナビスコの等々力、さらに2009年リーグ戦の荒天による延期と再開試合など、印象に残るゲームの多い両者の対峙。5試合を終えて2勝3敗と黒星が1つ先行するなど、まだ相馬直樹新監督のスタイルが浸透しきっていない印象の川崎と、ACLを並行して戦う中で、リーグ戦は1勝1分け1敗という成績もさることながら、3試合で7失点と守備に綻びが見られる鹿島。お互い「勝ちが欲しいゲーム」(相馬監督)は等々力です。
まず勢い良く飛び出したのは川崎。5分、矢島が岩政から体でボールを奪い取り、サイドネット外側へぶつけるシュートを放ったのが猛攻の号砲。6分、田中裕介のスローインから矢島、ジュニーニョと繋いで、山瀬のシュートはGK正面もゴールへの意識を前面に打ち出します。すると10分、早くも3本目となるCKを中村が少しゴールから離して蹴り込むと、菊地が頭を伸ばし、こぼれたボールに反応したのはジュニーニョ。これが小笠原の股間をすり抜け、ゴールに転がり込みます。ケガで出遅れたエースの今シーズン初ゴールで、いきなり川崎が先手を取りました。
なおもホームの進撃。12分、中村のボール奪取から矢島のシュートは枠内へ。15分、再び中村のボール奪取からジュニーニョの枠内シュートは曽ヶ端がセーブ。17分、ジュニーニョが右へ展開し、田中裕介のクロスに矢島が合わせるも、岩政が何とかブロック。18分、CKの流れから中村が右クロスを放り込み、登里のシュートは曽ヶ端がキャッチ。川崎の一方的な展開になってしまいます。
「前半の鹿島は眠っているように見えたが」という会見での質問に対して、「僕も同意する」とオズワルド・オリヴェイラ監督が話したように、あらゆる面で後手に回った感のある鹿島でしたが、特に気になったのは攻守の切り替えの遅さ。24分には小笠原が蹴ったFKをクリアされて浴びたカウンターに対して、リアクションが極端に遅く、青木はやむを得ずイエローカード覚悟のファウルで流れを切りましたが、ストロングとも言うべき部分で相手に上回られる鹿島らしくない時間が続くと、31分に川崎が追加点。中村からパスを受けた矢島は、狭い局面から優しいラストパス。「ヤジがいい所にボールを落としてくれた」という山瀬は、やや角度のない所からサイドネットへ一刺し。曽ヶ端は一歩も動けず。リードは2点に広がりました。
鹿島も39分、相手のミスからカウンター。西、遠藤が絡み、野沢の左足ミドルは枠を捉えたものの、相澤が好セーブ。ようやくフィニッシュを取りましたが、前半はこれが流れの中から生まれた唯一のシュート。内容を考えれば妥当か、あるいは川崎にもっと点が入っていてもおかしくない展開で、45分は終了しました。
「もったいない前半」と切り捨てたオリヴェイラ監督がハーフタイムに檄を飛ばしたのは、火を見るより明らか。すると後半開始わずかに13秒。右サイドから野沢が入れた低空クロスに、頭から飛び込んだのは興梠。ボールはわずかにゴールの右へ外れましたが、ここから鹿島が牙を剥いて襲い掛かります。49分にも小笠原、興梠、野沢、大迫とパスが繋がり、獲得したCKは岩政が頭に当てきれなかったものの、止まらない勢い。そして50分、後方からのフィードを大迫が競り勝つと、興梠は右へ。野沢がグラウンダーで絶妙のクロスを送り、遠藤が確実にゴールへ流し込みます。攻撃的なポジションを務める4人全員が絡んで奪った一撃。等々力の雰囲気が一気に変わりました。
直後の51分には川崎。小宮山の縦パスに抜け出した登里が左からマイナスに折り返すと、ジュニーニョのフィニッシュが枠の右へ外れる決定機はありましたが、以降のペースは完全に鹿島。要因としては「こちらのラインが下がり、足が止まってルーズボールが拾えなくなった」ことを相馬監督は挙げています。これを「鹿島は大きな展開が増えて、味方の距離が離れてしまった」と補足するのは川崎のゴールマウスを守る相澤。この鹿島に長いボールが増えたことは、川崎のラインを間延びさせて、中盤でボールを拾うための人数とスペースを確保する効果と同時に、中盤で頻繁に起きていたイージーなミスを奪われてのカウンターを激減させる効果も、結果的にではありますが併せ持っていたように感じました。
60分には相馬監督が最初の交替。登里を下げて「ルーズボールが拾えない中盤を助ける」狙いで横山を投入し、中村を1列前へ押し出します。62分、伊野波が右へ蹴ったフィード。野沢はトラップミスを南米のプレイヤー並みに生かし、浮き球で中へ入ると左足シュートを枠の左へ。63分、右サイドから遠藤がカットインしながら打ったシュートは、DFに当たってなんとか相澤がフィスティング。72分、野沢の左CKを二アで合わせた興梠のヘディングは、またも相澤がファインセーブ。水際でリードを保ちます。勝負を賭けたオリベイラ監督の決断は77分。大迫と体の重さを隠せなかった小笠原に替えて、カルロンと増田を同時投入。直後にはカルロンが高さを生かして頭で繋ぐと、遠藤の右足シュートは枠の左へ逸れましたが、同点ゴールが生まれそうな雰囲気は十分に感じられました。
ところが、次のゴールは同点弾ではなく、ダメ押し弾。78分、鹿島陣内で相手の浮かせたボールを柴崎晃誠が跳ね返すと、中村はワンタッチから刹那、最高のスルーパス。「感覚でダイレクトでコースを変えた」小林のシュートは、ゴール左スミへ転がり込みます。2戦とも途中出場ながら、ホーム連発となった小林のスーパーサブ襲名ももちろん称賛の対象ですが、やはり中村のキラーパスは圧巻。大きな1点が川崎に入りました。
苦しくなった鹿島は82分、野沢に替えてルーキーの柴崎岳を投入。92分にはスローインの流れから、その柴崎岳がヘディングで前へ送り、カルロンが自ら放ったシュートのこぼれ球を押し込んで1点差までは詰め寄りますが、反撃もそこまで。96分6秒、激闘に終止符を打つホイッスル。「今日はどうしても勝つという気持ちが表れていた」と指揮官も言及した川崎が勝ち点3を手にする結果となりました。
鹿島はやはり「戦うとか機動性とかシステムとか戦術的なもの以前に、気持ちを入れて試合に入らなければならない」とオリヴェイラ監督も嘆いたように、前半の不出来が全て。後半にあれだけペースを奪還するのは強いチームにしかできないことですが、それ故に残念な勝ち点0となってしまいました。
川崎は山瀬に待望の加入後初ゴールが生まれ、小林も自身の地位を確立するようなダメ押しゴール。「少しずつ形になり始めてきたのかな」と山瀬も話した攻撃面に、一定の手応えを感じた様子。「やりたいサッカーを相手は関係なしにしてやれるようにしていきたい」(相澤)というレベルまで、もう一息の所まで来ているような印象を受けました。 AD土屋
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