デイリーサッカーニュース Foot!

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2011/05

S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

このブログについて

2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

Jリーグ 2011年05月15日

J1第11節 新潟×柏@ビッグスワン

foot!
  • Line

201105141327000[1]bigswan.jpg5試合を消化した時点で2勝3分けと負けなし。失点もリーグ最少タイの2失点と、堅い守備をベースに上々のスタートを切った新潟。ただ、攻撃の中核を担っていたチョ・ヨンチョルとブルーノ・ロペスが共に負傷欠場。さらにスタメンが予想された川又も体調不良を訴えたため、黒崎久志監督は酒井高徳の弟で18歳のルーキー酒井宣福を起用してきました。一方、ビッグスワンへ乗り込んできたのは昇格組ながら堂々の首位に位置する柏。前節も浦和相手に完勝を収め、その猛威はJ1を席巻中。ディフェンスリーダーを務めるパク・ドンヒョクの離脱も、増嶋が代役以上の活躍で完全にカバー。磐石の布陣でこの一戦に臨みます。
ゲームは6分、木暮がほとんどフリーで左サイドからアーリークロスを放り込み、三門がわずかに届かなかったシーンと、9分に北嶋のポストからレアンドロ・ドミンゲスが右へ展開し、酒井宏樹のクロスが中と合わなかったシーンが、20分までに両チームが創出したすべてのチャンス。ほとんど動きのない展開が続きます。
当然、「失点が少なく速いカウンター」(柏・ネルシーニョ監督)を特徴とするチーム同士の対峙と言う面もありましたが、それ以外にも両SBが共に積極的なオーバーラップを敢行する所や、ドイスボランチはバランスを重視し、そこまで前に出ていく回数は多くない所など、両者は非常に似た部分の多いチームという印象。加えて「相手SBへプレッシャーに行くため」(栗澤)に、柏の攻撃的な中盤に入ったレアンドロと大津もワイドに開いたポジションを取ったことで、システム的にも一般的な中盤ボックスの4-4-2同士となり、完全にマッチアップする状態。これも動きの少ない展開の一因になったように感じました。
ところが、「システム上、マンツーマンになる分、個の力はウチの方があるのでチャンスは増えるかなと思っていた」と栗澤。そして、ゲームを動かしたのもその“個”の輝きでした。23分、左サイドの深い位置からジョルジ・ワグネルのスローイン。レアンドロと相手DFが競り合ったルーズボールへ飛び込んだワグネルは、巧みなコントロールからボールを浮かしてDFを外すと、利き足とは逆の右足一閃。直後、激しく揺れたゴールネット。「レイソル対策でスローインからああいうコンビネーションがあるとは言っていた」ものの、「ブラジル人は浮き球の処理に長けている所はある」と黒崎監督も認める技術の高さを発揮したワグネルのゴールで、柏が先手を取りました。
追い掛ける展開となった新潟は35分、三門、ミシェウと繋いで、木暮がダイレクトでスルーパスを狙い、酒井宣福が感じ切れなかったものの、意図ある惜しいシーンを創り出すと、「35分くらいまではコントロールしていたが、その後の7、8分は相手のペースに陥ってしまった」とネルシーニョ監督も言及したように、42分にも連続してCKを獲得するなど、反攻態勢に入ります。45分には木暮が左サイドから右足で上げたクロスを、エリア内へ走り込んだ本間が落とすと、ミシェウがボレー。ヒットせずに柏GK菅野が難なくキャッチしましたが、ボランチの飛び出しというゲームをブレイクする要素から、1本目となるシュートを新潟が記録して前半は終了しました。
ハーフタイムを挟むと、ネルシーニョ監督は「ニュートラルにする力が弱まっていたので、守備をもう少し前から仕掛けよう」と明確に修正。51分には木暮のサイドチェンジから、ミシェウがフリーになりかけたシーンも、察知した大谷が圧巻のスイープ。「隙がなくてやりづらかった」とは本間。新潟はシュートまで持ち込むパワーを出させてもらえません。ただ、北嶋が「オーガナイズされた守備にやりにくさはあった」と言及したように新潟も守備面での破綻はなく、膠着した時間が経過していきます。こうなると、当然ではありますが、ゲームを揺り動かすキーファクターはセットプレー。そして今シーズンの柏には、そのセットプレーで威力を発揮するレフティがいるのです。61分、左サイドでFKのポイントに立ったのはワグネル。左足から放たれた軌道は、鋭い弧を描いて近藤の頭にヒット。0-2。ゲームの流れを考えると、決定的とも言うべき2点目を今シーズンの「レイソルの武器」(黒崎監督)で柏が強奪しました。
なんとか反撃の糸口を掴みたい新潟は70分に小林と長谷部を、76分には酒井宣福と加藤を相次いでスイッチ。木暮を前線に押し出し、三門がボランチへスライド。SHは右に長谷部、左に加藤を配し、変化を付けたものの「2点入ってしまってからは前に出ていけなかった」と指揮官も振り返ったように、チャンスメイクまで至らず。逆に81分には酒井宏樹の縦パスから、完全にフリーで抜け出した途中出場の工藤が、熾烈なFWのポジション争いへ自身をアピールする冷静なゴール。「1勝1勝自信を積み上げていっている。これからの自信に繋がる大きな勝利」とネルシーニョ監督も満足そうな表情を浮かべた柏が、首位らしい磐石のゲーム運びで、アウェイから勝ち点3を持ち帰る結果となりました。
新潟は主力の不在も含めて、うまくチームが回らないゲームになってしまいました。それを象徴するようなシーンは83分。イージーなパスミスで自らレアンドロにボールを渡してしまった千葉が、ふてくされたようにタラタラ歩いて守備対応に移ります。その後、千葉は大野との交替を命じられましたが、黒崎監督の「何回もミスをしたので替えた」という言葉を待つまでもなく当然の交替。千葉はなぜ自分がここまでリーグ戦全試合でフル出場していたかを改めて考える必要があるでしょう。猛省を促したいと思います。
柏は前半に先制、セットプレーで追加点、途中出場の選手がダメ押しと、まさに強いチームの勝ち方で首位キープ。「こういう相手から点を取って勝てたのは、強くなってきたかなと思う」とは北嶋。いよいよ勢いもホンモノの予感を帯びてきています。  AD土屋

  • Line