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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年05月04日

高円宮杯プレミアリーグイースト第4節 東京Vユース×FC東京U-18@アミノバイタル

foot!
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201105041025000[1]amino.jpg トップチームと同じ日に実現した、東京VユースとFC東京U-18による、ユース版東京ダービー。舞台も今年から新設された高円宮杯プレミアリーグ。格好のシチュエーションが整いました。会場が味の素スタジアムではなかったのが少し残念ではありましたが、それでも隣接するアミノバイタルフィールドでのゲーム。双方のサポーターも多数集まり、「モチベーションは高かったですよ」(東京V・楠瀬直木監督)「前座的にやれたのは素晴らしいことだね」(FC東京・倉又寿雄監督)と両指揮官。トップチームと同じチャントが響き渡る中、東京頂上対決であり、関東頂上対決であるビッグマッチは幕を開けました。
杉本竜士(3年・ヴェルディJY)が出場停止でトップのベンチ入り、楠美圭史(2年・ヴェルディJY)、中島翔哉(2年・ヴェルディJY)、高木大輔(1年・ヴェルディJY)がU-17日本代表のスロヴァキア遠征、端山豪(3年・ヴェルディJY)と南秀仁(3年・ヴェルディSS相模原)が負傷と、6人の主力クラスを欠いてのゲームとなった東京V。その影響もあってか、「相手のプレッシャーが速くて、どんどん蹴ってしまった」(楠瀬監督)ために、立ち上がりからなかなかボールが落ち着きません。この東京Vを見て「あそこまで蹴ってくるとはね」と倉又監督。ただ、こちらも現在は2種登録でのトップ帯同中ながら、今日はユースでの出場予定だった橋本拳人(3年・FC東京U-15深川)を負傷で、昨年からのレギュラーである村松知稀(3年・FC東京U-15深川)を出場停止で、ボランチの野沢英之(2年・FC東京U-15深川)をU-17日本代表で欠くFC東京もこれに付き合う形となり、ボールが両陣内を行き交う展開になってしまいます。そんな中、ミスが出たのは東京V。10分、ボランチに入った山口陽一朗(1年・ヴェルディJY)が後方に下げたFKは味方と呼吸が合わず、かっさらった岩田拓也(2年・FC東京U-15むさし)が独走。ところがシュートは枠の左に外れ、ため息と歓声がスタンドに交錯しました。次のチャンスもFC東京。14分、右サイドでSHの福森健太(2年・FC東京U-15深川)を追い越した、SBの吉田一彦(2年・FC東京U-15むさし)が中へ。ここにフリーで冷岡幸輝(3年・つくばFC)が飛び込むと、これもフィニッシュは枠の左へ。2度の決定機を生かせません。
一方、東京Vは「全体的にFWの裏ばっかりになって回せなかった」と山口陽一朗も話したように、相変わらず単発のロングボールを多用。20分にはそのフィードから相手のミスを誘い、菅嶋弘希(1年・ヴェルディJY)が仕掛けたドリブルは、FC東京のCB下川陽平(3年・FC東京U-15むさし)がストップ。25分にも長いボールから、頭で高橋愛斗(3年・ヴェルディJY)が競り勝ち、安西幸輝(1年・ヴェルディJY)のランニングボレーはバーの上へ。こちらも2回のチャンスは得ましたが、攻撃の明確な形は打ち出せません。
すると25分は再びFC東京。後方からのフィードに抜け出した左SHの岩木慎也(3年・FC東京U-15むさし)がドリブルから放ったシュートはゴール右へ。さらに30分、再び左サイドを持ち上がった岩木は、カットインからそのまま右足を振り抜くとボールは枠の右へ。「2トップがなかなか収められなかった」(倉又監督)中で、独力突破できる岩木はFC東京にとってやはり大きな武器。ゴールには至らなかったものの、チームに縦への推進力を与えます。38分には東京Vに前半最大のチャンス。エリア内で体の強さを発揮した高橋が、強引な態勢から繰り出したシュートは左ポストに激しくクラッシュ。スタンドもざわめくパワフルなシーンもゴールは生まれず、前半はスコアレスで終了しました。
迎えた後半は、開始から両指揮官が動きます。倉又監督は2トップの一角を務める斎藤凉汰(2年・FC東京U-15深川)に替えて、「スピード勝負では絶対勝っちゃう」という1年生の岸寛太(FC東京U-15深川)を投入。楠瀬監督は前半のパフォーマンスを脅威に感じた岩木対策として、右SBへ田中貴大(3年・ヴェルディJY)を送り込みます。加えて楠瀬監督は「ちょっと繋げって命令した」のと同時に、「相手のボランチの所がスッと空くので、ウチのボランチの舘野(俊祐・3年・SQUARE富山FC)をもう少し前に出した」とのこと。そしてこの指示が、東京Vに“繋ぐ”リズムを甦らせることになります。
本来は左SBを務めているものの、端山と楠美の欠場を受けてボランチに入った舘野は、慣れないポジションということもあって、特に攻撃面での役割がハッキリしていなかったような印象が前半はありましたが、後半は監督の指示が奏功してか、「今年はラインが少し間延びする傾向がある」と楠瀬監督も指摘した、FC東京のライン間でボールをうまく引き出します。すると、彼を中心に高まる東京Vのポゼッション。49分、CB吉野恭平(2年・A.C AZZURRI)のフィードを、安西、菅嶋と繋いで、舘野のミドルはバーの上へ。64分、やはり中盤のルーズボールを高い位置で回収した舘野のミドルは、FC東京のGK谷俊勲(3年・FC東京U-15むさし)がセーブ。流れの中からフィニッシュを取るシーンも増加。同じく64分には山口陽一朗のCKから、前田直輝(2年・ヴェルディJY)のミドルはわずかにゴール左へ。「回せるようになれば相手が疲れてくるので、後半はいつも自分たちのペースになる」という山口陽一朗の言葉を証明するように、流れは緑に傾きます。
もちろん「ボランチの所が空いてきたのはわかってた」倉又監督が策を施したのは69分。福森に替えて、徳田康朗(2年・FC東京U-15むさし)を山口泰志(3年・FC東京U-15深川)と中盤の底へ配し、1トップに入る岸の下へ、岩田、冷岡、岩木を並べる4-2-3-1にシフト。「中盤を厚くして」(倉又監督)バイタルを引き締めにかかります。しかし、そこからわずか4分後に均衡を破ったのは、やはりこの男。73分、右サイドに流れた高橋からのボールを受けた舘野は、バイタルに侵入すると左足一閃。ボールはゴール左スミへ強烈に飛び込みます。「選手がいないからできると言えばできる」(楠瀬監督)布陣で臨んだゲームの中で、ストロングである“繋ぐ”スタイルを取り戻した東京Vがリードを奪いました。
さて、ビハインドを負ったFC東京は76分に3枚目のカードとして、湯浅寿紀(3年・FC東京U-15むさし)を冷岡とスイッチ。再び4-4-2に戻して、ゴールを狙います。80分には東京Vが左サイドを吉野と長田海人(3年・ヴェルディJY)で崩し、前田のシュートは谷がファインセーブ。そして85分、FC東京にビッグチャンス。湯浅からパスを受けた徳田は、相手DFラインの裏へ絶妙のロブ。走り込んだ岸はスピードにも乗っていましたが、トラップで前へ持ち出すことができず、DFに潰され万事休す。ユース版東京ダービーは緑に凱歌。東京Vが2月の東京都クラブユース決勝で敗れた借りを、キッチリ返す結果となりました。
ゲームのポイントは、「ああいう所で1本でも決めてくれてれば」と倉又監督が振り返り、「ウチが凌いだというより外してくれた。今日はあそこですよ」と楠瀬監督も言及したように、前半にFC東京が外した2回の決定的な得点機でしょう。特に10分のシーンは、東京Vからすれば1年生のミスから迎えたピンチでしたし、あれで失点していればユースでの実戦経験が少ないメンバー構成だっただけに、ズルズルと崩壊してしまう可能性もあったと思います。それでも結果はそのメンバーたちが、監督のヒントによってゲームの中で修正を図り、ペースを奪取し、勝利まで掴み取った訳です。そういう意味でも、色々なサッカーのエッセンスが散りばめられた、非常に勉強になるゲームでした。

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