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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年05月15日

高円宮杯プリンス関東1部第6節 大宮ユース×前橋育英@NACK5

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201105151057000[1]nack.jpgここまで1勝1分け1敗。「ウチを考えたら、そのくらいがちょうどいい結果」と横山雄次監督は笑う大宮アルディージャユースですが、前節は優勝候補筆頭との呼び声も高かった横浜F・マリノスユースを、敗れたものの内容では圧倒。サイド攻撃を明確なコンセプトに掲げる注目のチームです。一方、2勝1敗の前橋育英は昨年度のレギュラーに3年生が多く、ほとんど再構築と言っていいチーム編成。ただ、個の能力で言ったら高体連の中でも全国トップレベル。今年も選手権の頃には仕上がったチームを見られるはずです。
ゲームは開始35秒、育英が横山翔平(3年・図南SC群馬)の落としから高森翔太(3年・クマガヤSC)が枠の右へ外れるミドルでファーストシュートを放ちますが、実質育英にとってはそれが前半唯一のシュート。「前からどんどん行こうという意識があった」(大宮・小山大貴・3年・FC深谷)という大宮が圧倒的攻勢に打って出ます。8分、右サイドでボールを持った平野篤志(3年・大宮アルディージャJY)が寄せるディフェンス2人の門を通すと、飛び込んできたのはSBの飯高颯生(3年・大宮アルディージャJY)。シュートはクロスバーに弾かれたものの、ダイナミックなオーバーラップにどよめくスタンド。10分、左サイドで小山を回って受けたSB菊池翔(2年・大宮アルディージャJY)のクロスは、中に入った吉田圭吾(3年・大宮アルディージャJY)の目前で育英CB唐木澤真也(3年・ザスパ草津U-15)が辛うじてクリア。18分、右サイドで後方から入ったボールを平野がダイレクトで素晴らしいサイドチェンジ。菊池のクロスを小山が叩いたヘッドはゴール右へ逸れましたが、この3つのシーンはいずれもSBが絡んだサイド攻撃から。「サイドから攻めるというコンセプト」(大宮・大山啓輔・1年・大宮アルディージャJY)を今日もしっかり体現します。
一方の育英は、時折中盤で奪ったボールを速く前へと運ぶ意識は窺えますが、なかなかフィニッシュまでは繋がらず。押し込まれる時間が続きます。すると、ようやく大宮の攻撃が結果を出したのは33分。CB工藤将太朗(3年・大宮アルディージャJY)からの縦パスを、大山はスムーズに右へ。飯高はファーストタッチで縦に持ち出しクロス。流れたボールを拾った小山は、ワンテンポ置いて高精度シュートをゴール右スミへ送り届けます。やはりこのシーンもサイドから。狙いがハマった格好で、大宮が先制ゴールを挙げました。38分にも面白いシーン。小沢佑太(1年・大宮アルディージャJY)に当てて、リターンを受けた大山はダイレクトで中央を射抜くスルーパス。吉田は反応できず、チャンスには結び付きませんでしたが、かなりセンス溢れるプレーでした。本人に聞いてみると「サイドからというチームコンセプトの中では出てきにくいプレー。縦に入れてサポートというのは好きなプレーです」とのこと。こういう変化を意識して付けられる辺りが、1年生で10番を背負っている理由でしょう。そのまま大宮が1点をリードして、45分間が経過しました。
さて、ハーフタイムを挟むと流れは一転。育英が攻勢に。52分、白石智之(3年・前橋FC)が縦に付け、松井聖也(3年・前橋FC)は反転からチーム51分ぶりのシュートを放つと、57分にもチャンス。高森から右サイドでパスをもらった横山はカットイン。大宮のブロックも堅く、シュートを打てないまま外に追い出され、最後は後ろに戻さざるを得ず、白石のミドルはバーを越えてしまいましたが、形としては決定機一歩手前といった所。流れを引き寄せます。すると62分に生まれたのは同点弾。松井が右サイドへ下げたボールを、山本裕天(3年・ヴェルディJY)がアーリークロス。これを二アで松井が捉えたヘッドは、ワンバウンドしてゴール左スミを捕獲。これには大宮の大山も「自分も含めたウチの対応ももっとできたけど、ヘディングが上手かった」と言及。リズムそのままに育英が追い付きました。この前後半で勢いが入れ替わったことについて、「セカンドを拾われた」とは小山。「足が止まり始めた」とは大山。「相手はカウンターの精度が時間の経過と共にどんどん上がってくる感じ」とは横山監督。表現は三者三様ですが、やはり暑さの堪えるコンディション下で、大宮は運動量が落ち、育英は落ちなかったというのは、確実にあったと思います。
ただ、スコアが振り出しに戻ってからはお互いがチャンスを創り合う展開に。64分は育英。縦パスをうまく収めた横山はターンから素早くスルーパス。抜け出した外山凌(2年・ヴェルディJY)のシュートは枠の左へ。66分は大宮。青木捷(3年・幸手西中)のスルーパスをふくらんで呼び込んだ小沢のシュートはDFがブロック。72分は大宮。平野とのコンビネーションで右サイドを破った飯高がマイナスの折り返し。中山雄希(2年・FC KASUKABE)は懐の深いキープから左足で枠を捉えるも、育英GK川原雅之(3年・前橋FC)が足でファインセーブ。74分は育英。1本のフィードに飛び出した、投入されたばかりの齋藤祐志(3年・前橋FC)が左クロス。白石が試みたオーバーヘッドはわずかにヒットせず。お互いに負けたくない気持ちが交錯します。
81分、横山監督の決断。キーマンの1人である飯高に替えて、「1対1の強さなど、“個人”に期待して」小泉郁弥(3年・クマガヤSC)を右SBへ送り込みます。ドロー濃厚の気配が漂う90分。幕切れは突然に。右サイドで下げるパスを受けた小泉は「びっくりするくらいのクロス」と横山監督も苦笑した最高のボールを中へ。二アに飛び込んだのは「いつかチャンスが来ると思ってた」という小山。高い打点のヘディングがゴールを捉え、広がるオレンジの歓喜。「勝たなきゃいけない試合」(小山)というチーム全体の想いを、最後の最後で結実させた大宮が“ホーム”で劇的な勝利を収める結果となりました。
育英はほとんど攻撃できなかった前半に引き換え、「鍛えられてるし、全然諦めない」と敵将も舌を巻くような、後半のラッシュは圧巻。やはりただでは終わらない好チームでした。特に白石、横山、松井、外山は揃ってFWも攻撃的な中盤もこなすタイプで、ここの流動性は大きな武器だと思います。今年も各大会でタイガー軍団の強さを見せてくれることでしょう。
「先週負けたのが本当に悔しかった」と横山監督が話したように、内容では圧倒しながら勝利が付いてこなかった前節を経て迎えたゲームだけに、大宮の今日に懸ける気持ちはかなり強かった様子。「最終的に誰が点を取るのかが課題」(横山監督)という中で、小山が2ゴールを挙げたのも収穫。今後に繋がる勝ち点3獲得となったようです。  AD土屋

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