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2000年の番組開始から15年以上に渡り、良質かつ多彩な企画で人気を博してきた、J SPORTSオリジナルサッカー番組「Foot!」。
2011年8月から、週5日放送のデイリーサッカーニュースとしてリニューアルし、世界のサッカー情報を余す ことなく紹介する。

その他の試合 2011年05月08日

高円宮杯プリンス関東1部第5節 横浜FMユース×大宮ユース@MM21

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201105081244000[1]MM.jpg今年も最激戦区と言っていいであろう、関東プリンス。今日はおそらく各会場の中で一番近未来っぽい、みなとみらい21トレーニングセンターにやってきました。昨年末のJユースカップではFC東京U-18を延長の末に振り切り、日本一に輝いたものの、関東プリンス1部では勝ち点差1に泣いて、高円宮杯プレミアリーグへの出場権を逃した横浜F・マリノスユース。それでも熊谷アンドリュー(3年・横浜F・マリノスJY追浜)、喜田拓也(2年・横浜F・マリノスJY)、早坂翔(1年・横浜F・マリノスJY)、武颯(1年・横浜F・マリノスJY)など年代別代表選手も抱えるなど、今年もクラブユース界を牽引する存在であるのは間違いありません。
一方、初参戦となった関東プリンス2部をいきなり7勝4分けと無敗で優勝。1部昇格を果たした大宮アルディージャユース。近年は渡部大輔、昨年の宮崎泰右とトッブチームへの昇格選手を輩出。さらに大宮ジュニア1期生で1年生の大山啓輔もU-16日本代表で高い評価を得るなど、「着実にクラブとしての体制も整ってきている」と横山雄次監督も話す、注目のチームです。
さて、そんな両者の激突は立ち上がりから“アウェイ”の大宮が主導権を奪取。いきなり2分には右サイドを完全に崩してSBの飯高颯生(3年・大宮アルディージャJY)のクロスも、ニアの小沢佑太(1年・大宮アルディージャJY)にピタリ。ただ、シュートだけが枠を捉えられず、飯高も思わず「アレは決めて欲しかったですね」と洩らす絶好機を生かせません。大宮で目立ったのは球際の強度。特に中盤での競り合いに対するボールアプローチに躊躇がなく、逆に少し球際が軽かった横浜からセカンドを含めて、ボールを回収していきます。また、2トップの一角に入った吉田圭吾(3年・大宮アルディージャJY)を先鋒にした、前からのハイプレスも強烈。14分には横浜の最終ラインがもたついた所に、吉田が猛ダッシュ。正当かつパワフルなタックルを受けたGKの鹿野洋司(1年・横浜F・マリノスJY)は立ち上がれず、交替を余儀なくされてしまいました。
ただ、それ以上に目を奪われたのは果敢なサイドアタック。「そういう特徴を持った選手がいるので、強みにしたいなと思ってる」と横山監督も話したように、右はSBの飯高とSHの平野篤志(3年・大宮アルディージャJY)が、左もSBの菊池翔(2年・大宮アルディージャJY)とSHの小山大貴(3年・FC深谷)がユニットとして抜群に機能。22分には工藤将太朗(3年・大宮アルディージャJY)の縦パスを受けた小山が、左へスルーパス。走り込んだ菊池のクロスはDFに引っ掛かりましたが2人でチャンスを創出すると、27分は右が躍動。飯高のショートパスを、平野がダイレクトで裏へ落とすと、飛び出した飯高はフリー。クロスは精度を欠き、フィニッシュには結び付かなかったものの、連続して両サイドを完全に崩します。
一方の横浜はここ数年の持ち味だった、前線の絶妙な流動性が影を潜め、前にうまくボールが入らないため、長いボールが増えてしまいます。また、全体的にプレーの判断が遅く、大宮のプレスをモロに受ける格好に。頼みの熊谷もチームパフォーマンスへ引きずられるようにミスが多く、チェンジペースを図れません。
36分には大宮に決定機。菊池のショートコーナーを平野が中へ入れると、吉田のヘディングはGKの正面を突く不運。38分にも大宮に決定機。小山、吉田、青木捷(3年・幸手西中)、平野と繋いで、飯高はクロスではなく、「練習している形ではある」というグラウンダーのパスを選択。小沢がトラップで持ち出し、枠へ飛ばしたシュートはGK鈴木椋大(3年・名古屋グランパス三好)が足でファインセーブ。45+1分にも大宮に決定機。平野が右サイドから切れ込んで打ったシュートは、辛うじて鈴木椋大が触ると、クロスバー直撃。こぼれを狙った青木のボレーはヒットせず。スコアレスながら、大宮が「前半はずっと押していた」(飯高)展開で、45分が終了しました。
ハーフタイムを挟むと、両指揮官が決断。横浜の松橋力蔵監督は宇佐見康介(2年・横浜F・マリノスJY)と汰木康也(1年・横浜F・マリノスJY)をスイッチ。横山監督は、「10番を背負うだけの選手」という大山をボランチへ送り込みます。後半もペースは大宮。49分、菊池が小山とのワンツーから鋭いターンで抜け出し、狙ったシュートはわずかにゴール右へ。51分、小山の横パスを大山はスルー。青木のミドルは枠の右へ外れますが、左サイドを基点に続けてチャンスを生み出します。横浜にようやく決定的なシーンが訪れたのは54分。木村魁人(3年・横浜F・マリノスJY追浜)とのパス交換から、鈴木雄斗(3年・横浜F・マリノスJY)が巧みにフィニッシュ。大宮GK河野隼人(2年・大宮アルディージャJY)が足で弾き出しましたが、昨年の全国制覇メンバーが個の強さを発揮しました。
再び大宮のラッシュ。57分、「アイツは1人で行けるんで」とパートナーの飯高も話す平野が持ち場とは逆の左サイドからドリブルシュートを放つも、鈴木椋大がセーブ。61分、平野のCKにGKのパンチングは小さく、青木のシュートはゴールを捉えるも、DFが何とかクリア。押し込み続けます。62分に横浜はダブルチェンジ。後半はほとんど守備に追われ続けた右サイドをそっくり入れ替え、SBにはFW登録の鈴木浩一郎(1年・横浜F・マリノスJY)、SHに高野遼(2年・横浜F・マリノスJY)を投入。さらに、70分には前線に武も送り込み、1年生2トップで劣勢打開に打って出ました。すると79分、熊谷が左サイドからクロス気味の速いボールを中に送ると、汰木を経由したボールは武の足元へ。シュートは大宮CB高野晃大(2年・大宮アルディージャJY)が捨て身のブロックで阻止しましたが、松橋監督の期待へ応えるかのように、1年生2人が決定機に絡んでみせます。
それでもまだゲームのリズム自体は大宮。ゴールが生まれそうな雰囲気も大宮サイドだったと思います。ところが試合を決めたのは、“個”の輝き。84分、このゲームで初めて前へ駆け上がってきたCBの宮本和輝(3年・横浜F・マリノスJY追浜)が、熊谷のヒールを受けるとエリア内の鈴木雄斗へ。右へ持ち出して角度を付けた位置から、右足に振り抜かれたボールはゴール左スミを捕獲。意地の一撃。苦しみ続けた横浜に先制ゴールは記録されました。
まさかのリードを許した大宮も、87分には平野のクロスがDFに当たり、ゴール方向へ。GKも見送ったボールは、しかしクロスバー。跳ね返りに反応した林崎洸(1年・大宮アルディージャJY)のヘディングも鈴木椋大が掻き出し、同点ならず。「1点入って勝ってれば、いいプレーもあったと褒められるような内容だったんですけど…」と横山監督も悔しそうな表情。大宮にしてみれば、まさに“試合に勝って勝負に負けた”結果で、横浜がリーグ初勝利を収めました。
横浜は伊東海征(2年・横浜F・マリノスJY追浜)と相場遥介(2年・横浜F・マリノスJY)をケガで、喜田を代表で欠いていたとはいえ、正直物足りない内容だったことは否めません。特に気になったのは、イージーミスに対して味方同士で文句を言い合うシーンが見られたこと。チームのまとまりという点でも、まだまだこれからといった印象です。
大宮は敗れたとはいえ、ほとんど狙い通りのゲームだったはず。「前半のいい流れの時にゴールを決めて欲しかった」という飯高の言葉に、ゲームの敗因は集約されていました。それでもサイドを徹底的に生かしたスタイルは魅力十分。「ちょっと出来過ぎでしたけどね」と横山監督は謙遜しましたが、十分今後に繋がる敗戦だったのではないでしょうか。

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